表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トレース・ファンタジー  作者: 青の剣士
第1章 俺は異世界にはお呼びじゃ無いらしいです
15/40

のじゃロリ見参!

なんとか今日中に投稿出来ました……

この調子で頑張っていきたいです。

「如何にも妾がここの最高権力者であるギルドマスター、"シグレ"じゃ!!」


"シグレ"と名乗るギルドマスターは、無い胸を張りつつ、そう高らかに言った。

そんな自信満々に言っても精々小学生が「私、100点取ったんだよ!偉いでしょ〜、えっへん!」って威張ってる様にしか見えないんだよな……


背は俺の腰より少し上の高さ、サイドの髪が耳たぶを覆うほどの長さまで切られたピンク色の髪と大きなお花の模様があしらわれたTシャツ、そしてフリルのついたスカートは、彼女が本来持っている可愛さをより一層引き立てている。しかし、小さな手足やぺったんこな体つきからは、立派なレディには程遠い印象を受ける。

まぁつまり、見た目は完璧な幼女だって事だな。それでも本人の言葉を信用するなら、彼女はかなりの高い地位を任されている様だが……


「こんな初対面の人間にいきなり蹴りを入れてくる様な幼女に、本当にギルドマスターなんて務まるのか?」


「失敬な!そもそも元はと言えば貴様が妾を幼女なんて呼ぶからこんな目にあうんじゃ!」


見れば見るほど最高権力者には見えないんだが……


「ユウトさん、シグレさん、話が進まないのでじゃれ合うのはそこまでにして下さい」


「「じゃれ合ってない(などおらんわ)!!」」


「ユウトさん、ギルドマスターと仲良いですね……」


セラさんがあらぬ誤解をしてたので慌てて否定するが、その言葉が幼女と被ってしまった。そして後ろでむくれてるティアは怒ってるのに天使だった。


––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––


「では、私は失礼いたします」


「うむ!ご苦労じゃった」


騒ぎが一段落しセラさんが受付の方に戻っていく。その後、俺とティアは用意されていた椅子に腰掛けた。もちろん隣の席だ。そして奥にある大きな椅子にギルドマスターが座る。


「では本題に入るとしようかのう」


「それで、俺たちに何の用なんだ?」


「おい小僧。こんな形でも妾はギルドマスターじゃぞ?ギルドマスターにそんな口を聞いて良いと思っておるのか?」


「いまさら敬語使ったところで違和感しかないし、それにお前だって今更俺に敬語使われても嬉しくないだろ?」


「まぁ、形だけの敬意など貰ったところで喜びはせぬが、セラには丁寧に話しておいて妾にはこんな対応というのもな……」


「細かい事を気にしてもしょうがないだろ?さっさと本題に入ろうぜ」


俺はギルドマスターに先を促す。


「細かくは無いんじゃが……まぁ良い。お主らにここに来てもらったのは他でも無い。今回のクエストについてお主らから話を聞こうと思っての事じゃ」


話って言われても、俺たちにだってあの時の状況はよく分かって無いんだ。答えられる事なんてそんなに無いと思うが……


「話も言われましても、私達に話せる事はそんなにあるとは思えませんが……」


俺の代わりにティアが答える。やっぱり人前になると敬語に戻るのか。俺の前でだけ普段の話し方にしてくれてるのは、なんか特別って感じがして嬉しいな。


「もちろん出来るだけで構わん。お主らの知っている情報を教えて欲しいのじゃ」


「それ位でしたら……」


そうして、俺たちはあの洞窟で体験した事を話し始めた。

悲鳴が聞こえて駆けつけたら大きなトカゲの魔物がいた事、そいつを従える"バティン"という魔族の存在、そいつは雷を操るという事、固有スキル持ちを集めているという事など、知ってる情報は殆ど話した。イマイチはっきりしていない俺の爆発的な強化に関しては話さなかったが……


「なるほど、バティンか……厄介な者が現れたのぅ……」


「知ってるのか?」


「いや、知らんが?」


じゃあ何でバティンを知ってるような感じを出してたんだよ……


「それよりも、お主らのお陰で魔族に関する情報や、強化された魔物の情報が得られた。礼をするぞ」


「いや、大した事じゃ無いさ。それよりも、強化された魔物ってどういう事だ?」


あの魔物は唯の魔物って訳じゃ無かったのか?


「お主らが戦った魔物じゃが、『狂化』という状態じゃった」


「狂化?」


「詳しくは分からんが、その状態になった魔物は、普通の状態よりも力や速さが底上げされるそうじゃ。実際、あの魔物は本来、『ジャイアントリザードマン』と呼ばれるDランク指定の魔物じゃったが、本来同ランクのパーティーなら倒せるはずの敵に圧倒されておった」


確かに、普通ならDランク指定の魔物は同ランクのパーティーが1組で倒せるレベルのはずだ。でも今回の敵は倒すどころか一方的にやられていた。


「おそらくあの魔物は『狂化』によってCランク指定相当まで強化されていたはずじゃろう」


魔物のランクは、一つ上がるだけで別次元の強さにまで変化する。例えばDランクのパーティーは、Dランク指定の魔物を単独で倒す事ができるが、Cランク指定の魔物はDランクパーティーが10組集まらないと倒せない計算になっているらしい。単純に1ランク上がるごとに10倍の戦力が必要になってくるって事だ。


「それにしても、よくそんな事が分かったな?」


「妾にかかればこんなのは余裕じゃよ。なんせ妾には【閲覧】という固有スキルがあるからのぅ。どうじゃ、凄いじゃろ!」


この人固有スキル持ちなのか。というかあっさり教えてもいいのか?


「その固有スキルはどんな効果があるんだ?」


「このスキルを使うと、あらゆる物や人、魔物のステータスが見える様になるのじゃ!しかも詳細な情報まで見る事が出来るんじゃぞ?【情報閲覧】や【情報看破】など比べものにはならん!」


て事は、【情報閲覧】や【情報看破】の究極の形がその【閲覧】って事か。固有スキルならではの出鱈目さだな。

それよりも俺は君が悪い大人に引っかからないかが凄く心配だよ……何でもかんでも素直に教えすぎ……


「ヘぇ〜。それは凄いな」


「そうじゃろ?分かったら妾を敬うが良い!」


「はいはい、ギルマスさんは凄いですね〜」


そう言いながら俺はギルドマスターの所まで歩いて行き頭を撫でる。この子の頭って丁度撫でやすい高さにあるんだよな。


「こら、妾を子供扱いするでない!じゃが…も、もう少し撫でさせてやっても良いぞ……えへへへ」


こういう反応をするから子供扱いされるんじゃないのか?まぁ撫でさせてもらうが……


「そういうお前こそ、中々面白いスキルを持ってるではないか。【模倣】と言ったか?」


そっか。この子には俺のステータスも見えてるのか。待てよ?この子のスキルが【情報看破】よりも上のスキルなら、ティアの固有スキルも分かるかもしれない。


「なぁ、そのスキルを使ってティアの固有スキルを見てくれないか?」


「その女子のスキルがどうかしたのか?」


「あの子の固有スキルが何かを知っておきたいんだ。今はまだ未開放のままだが、お前なら見えてるんだろ?」


「それは構わんが……少しは妾への態度を改めても良いのだぞ?……ほうほう、なるほど」


「んで?どうだった」


「【白銀ノ狼フェンリル】と書いておるが?」


やっぱりか、これで確信した。俺のスキルは通常スキルだけじゃなくて、強力な固有スキルまでコピー出来る。でも部屋で見たときに気づいたが、固有スキルをコピーした場合、使う事が出来るのは一度だけって訳だな。要は使用回数3回分を1回に凝縮する事でやっと固有スキルが1回使えるというわけだ。

あの洞窟で魔族を追い払った時、俺の力を底上げしたのはこの【白銀ノ狼フェンリル】だ。


それにしても、俺でさえ使ったら魔族を追い払うだけの力を得るスキルだ。ティアが使えるようになったら無敵なんじゃないだろうか?


「どうかしたんですか?」


考え事をしていると、ティアが話しかけてきた。


「さっき、ギルドマスターにティアの固有スキルを確認してもらってたんだ。やっぱり【白銀ノ狼フェンリル】だったよ」


「そうでしたか。あんな凄いスキルを私が持ってるなんて……」


「まぁ、使えるようになるかはティアの頑張り次第だな」


「頑張ります!」


「お主ら、そろそろクエストの報酬を渡したいのじゃが……」


そんな話をしていると、ギルドマスターが話を進める。そういやまだ撫でたままだった。

ギルドマスターの頭から手を離し、椅子に戻る。


「それで報酬なのじゃが、お主らを緊急クエストの達成、そして魔族を追い払った栄誉を称え、Eランクの冒険者に昇格させようと思う」


「ありがとうございます」


「そしてもう一つ報酬として、お主らに500000アルを贈ろうと思う」


ご、ゴジュウマン!?なんでそんなに報酬が貰えるんだよ!?


「なぁ、これは幾ら何でも貰いすぎじゃないか?」


「いや、これでもまだ足りない位じゃぞ?それだけ魔族というのは危険な存在なのじゃ」


「まぁ、そういう事ならありがたく貰っとくか」


「いいか!?これはお主じゃない、そっちの女子に渡したのじゃ!決して無駄遣いなどするではないぞ!」


「誰がそんなもったいない事するか!!無駄遣いなんてしねぇーよ!」


最後の最後でこいつは……いい気分が台無しだ。


「それより、その"お主"って言うのはやめないか?俺の事は『ユウト』って呼んでくれよ」


「私の事も『ティア』とお呼びください」


「そうか?なら妾の事も『シグレ』と呼んでくれて良いぞ」


「分かった。じゃあ報酬はありがたく貰っとくよ。ありがとな、シグレ」


「うむ!生意気なやつだが、少し気に入ったぞ、ユウト」


「お前は一言多いんだよ……」


そんな感じで俺たちはEランク冒険者となり、所持金533000アルを持つ、少しリッチな生活が始まるのだった……


––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––


「ユウト、か」


二人の冒険者が部屋を出た後、妾はそう呟いておった。あやつはだいぶ生意気な奴じゃった。初対面で妾をいきなり幼女扱いしおって。たまらず渾身の蹴りをかましてやったわ。

でも、妾をギルドマスターとしてではなく、一人の人間として接してくれたのはあやつが初めてじゃった。全てを見通す妾のスキルの存在は他の者にとっては危険なものらしく、人前ではあまり使った事がなかったが、つい、あやつの前で使ってしまった。じゃが、あやつは妾のスキルを凄いと褒めおった。

今はまだ妾の秘密を明かす事は出来ぬが、もしかしたらあやつには明かす事が出来るかもしれぬ。その時あやつは妾を受け入れてくれるだろうか?

そんな事を思いながら、妾はただ彼らが出て行った扉を見つめ続けていた。

〜のじゃ!って口調書くのって中々難しいんですね……違和感とかあったらごめんなさい。できるだけ修正していこうと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ