外伝1話 アモルとフエルテの出会い
この日は雨が降っていました。私の家はとても大きいです。石造りで二階建てのお屋敷で、叔父さん夫婦を含めた使用人がたくさん住んでいます。
私のお父さんはフエゴ教団の司祭様で、とても偉い人です。でも32歳なのに女の人みたいにとてもきれいな人です。でも私はあまり好きではありません。だって私はお父さんに似ているから。
今日は司祭学校がお休みなのでトレーニングをしています。司祭学校は司祭になるために勉強するための施設です。人間の私はもちろんのこと、亜人の子供たちが大勢通っています。
私はハンドグリッパーを握っていました。今日は握力を鍛えるためです。
まずはゆっくりと握り、手を広げます。これを何度も繰り返します。
自分ができる回数に3回プラスする感じで、3セット続けるのです。ただ適当に握ってはいけません。ゆっくりと動作を行い、前腕に負荷がかかっているか確認しないといけませんね。
今は1セット目で2345回続けてます。でもまだ物足りません。
器具を使わないトレーニングだとグーパー法もあります。
これは両腕を前に突き出します。そして両手を閉じて前腕筋に力を込めるのです。
ぱっと両手を広げるのを、繰り返します。
これは1回100回、5セットが基本ですね。こちらは肩に力が入りすぎてはいけません。腕をまっすぐ突き出すのがコツです。
私の握力の強いです。家では固いジャムの蓋も簡単に開けられます。
握力にはピンチ力、クラッシュ力、ホールド力の3つに分かれます。
ピンチ力は物をつかむ力です。柔道やレスリングなど相手を引っ張るのに不可欠です。
クラッシュ力は物を握る力です。ちなみに私はよく学校で握力計を壊してしまうので、参加できません。
ホールド力は物を掴んで維持する力です。体操の鉄棒や平均台などはこのホールド力が重要ですね。
コンシエルへ叔父さんは「そこまで筋肉を鍛えてどうするんだい?」と聞かれたことがあります。
私は男らしくなりたいと答えました。すると叔父さんは悲しそうな目を向けます。
「男なのに女の子にしか見えないのは、兄さんの血筋だね。義姉さんはゴリラなのに」
私のお父さんはシンセロと言い、人間です。でもコンシエルヘ叔父さんは羊の亜人です。
お母さんのフエルサはマウンテンゴリラの亜人です。あと私にはアミスターという2歳の弟がいますが、こちらもマウンテンゴリラの亜人です。
お父さんも身体を鍛えていますが、あまり太くなりません。大胸筋がまるで乳房のように膨らんでいます。腰の周りも引き締まっており、お尻が大きく見えました。
お父さんは付け髭をつけてますが、あまり効果はありません。子供の頃は男の人から愛の告白を受けたことが多かったそうです。しかも男と分かっても諦めない人がいたそうです。なんて恐ろしいことでしょう。
そのお父さんは今布教活動で留守にしています。布教と言ってもよそ者を嫌う村に無理やり押し入り、逆らう人間がいれば見せしめに拳銃で相手の頭を打ち抜くのです。
排他的な村は優しい言葉を並べるよりも、暴力で解決することがほとんどです。一度フエゴ教団の教えを知れば元の生活には戻れません。
私が住んでいるところはノースコミエンソと言い、192年前はスペインのマドリードと呼ばれていたらしいです。今は奇麗な更地になり、私のご先祖様が新しく町を作りました。
ここでは太陽光発電が主流で、電化製品に溢れています。掃除機や冷蔵庫、洗濯機など便利な道具があります。さすがに自動車や船は石油が必要ですが、これはフエゴ教団でも希少で非常時以外に使われません。
「3003……。よし1分間休憩したら再開しよう」
私はハンドグリッパーを1セット終えました。すると玄関に声がしました。
「ただいま帰りましたよ」
お父さんの声です。そこに執事服を着たコンシエルヘ叔父さんがタオルを持っていきました。叔父さんはお父さんの留守を守る執事なのです。
そこにマウンテンゴリラが現れました。私のお母さんフエルサです。足元にはアミスターがお母さんの足を掴んでいました。まだ甘えたい盛りなのでしょう。
「ふむ、帰ってきたようだね。アモル一緒に迎えようじゃないか」
お母さんはとても男らしいです。女だけど男前でおっぱいのあるイケメンと称されています。
お父さんはち……、が生えている美女と呼ばれてました。
お父さんは一人ではありませんでした。左側には私と同じ年齢の男の子が一緒です。
同年代に比べてがっちりした体つきですがどこか目が死んでいます。まるで幽霊みたいな薄気味悪さがありました。
「お父さんおかえりなさい。……その子はだぁれ?」
「この子はフエルテ。今日からうちで暮らすことにしたから」
フエルテ。私はその名前を聞いて驚きました。だってフエルテはフエゴ教団では禁忌の名前だからです。
ひさしぶりのマッスルアドベンチャーです。
今回はアモルとフエルテの出会いを書きました。




