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村の近くにある森になにやら真剣な面持ちのカイとセンリの姿があった。



カイの右腕を黒い鎧の一部のようなものが包み、村の外にある木に向かって右腕が振り抜かれる。



木は強烈な衝撃に軋み、音を立ててゆっくりと倒る。


「やっぱり動物変化系の能力みたいだな」



センリはその光景を見ながら、リンゴのような果実をかじりそう言った。



「いや、多分そうじゃない気がする。能力者は能力が発現すると、自分の能力が最初からわかっているかのように使い方がわかるって聞いたが、ほんとうだったんだな」



カイは黒い装甲に包まれた右腕を解除し、センリの言葉に返答する。



右腕だけを鎧で包むだけならもっと長く能力を発動できるとカイは知ったため、カイは部分的に能力を発動する練習を行っていたようだ。



「よくわからんが、ま、何にせよこれよりは強いな」



センリはライターに火を付けると、指先に火を移してそう言った。センリの能力は支配系という系統の能力だ。特定の物体や現象を精神力に応じて操作する事のできる能力で、使い勝手はいい。



但し、例えば血を支配する能力を持っていて、他の能力者の血を支配しようとしても、相手の方が高い精神力を持っていれば抵抗されてしまうし、他にも条件は存在するのでで、使い勝手が必ずしも良いとは言えない。



カイはもう一度右腕を変化させると、自らの腕を握りながらその力を感じとる。


(この辺りの生き物ならこの力で一撃で殴り殺せる筈だ。もう大人達にも足手まといとは言わせない)


「戦いの時程、能力を発現しやすいっていうのも本当だった。やっぱり試してみるもんだ」




カイが住む村とこの国の軍隊である自衛隊の支部が存在する街は、山によって隔てられている。



一応税は払ってはいるものの、魔物から村を守るために軍を派遣してくれるとは思えない。


カイが能力に目覚めた事をきっかけに、二人の生活に変化がおとずれ始めた。



センリはカイよりも早く能力に覚醒したものの、その能力は他と比べて弱く、それ故に能力の訓練はほとんど行わず、剣技ばかりを鍛えていた。



しかし、カイの能力覚醒以降身体の鍛錬だけでなく、能力の鍛錬も前向きに行うようになったのだ。


「リクが能力の訓練をするなんて珍しいな」



カイが右腕を能力で黒く変化させ、その状態を維持する訓練をおこないながら、火球を操作するセンリに話しかける。


「カイの能力のパワーを見て、もしかしたら山に住むトカゲ野郎共を退治できる可能性がまだ残ってるんじゃないかと思い始めてな」



センリはそう言いながらも他力本願な自分の考えに、内心嫌気がさす。カイはそんなセンリの複雑な心境までは読めなかったが、センリが力不足に嘆いていたのは知っている。



カイ達の村は他の村と比べても魔物の襲撃が多い。原因は村のすぐ近くにそびえる山にある。山の山頂に竜の亜種であるワイバーンが住み着いたのだ。



ワイバーンに元々山に住み着いていた魔物達が麓へと追い出され、食料不足に陥った魔物達がカイ達が住む村を度々襲うようになったのだ。



村の村長は軍に応援を要請しているのだが、どのような返答を受け取ったかは、村の大人たちの表情でわかる。


どうやら自衛隊はワイバーンの群れと戦う戦力を出すくらいなら、この村くらいは見捨てても良いと思っているらしい。


カイももはや軍には期待していないが、自分一人でワイバーンを倒せるのかと考えた時に、今のままではまだ勝機は薄いと結論を出す。


完全にこの能力を把握し、使いこなす。そうすれば、勝てるかもしれない。カイはそう思い、鍛錬を続ける。




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