耽美派は真夜中にドーナツを喰う
さてこのエッセイもだいぶんに間が空いた。
腕がなまってはおらんだろうか(何の?)。
なんとなればすなわち、このエッセイの最終更新が今年の一月である。
実に一年近くに及ぶ間、他の作品にかまけてこちらをほっぽりだしていた訳だ。
面目次第もない。
このところの話題として、九藤は初めて自ら主催して企画を行った。
題して「耽美コンテスト」である。
開催の動機は至って単純。
九藤が耽美に飢えていたからだ。
はっきり言おう。この「小説家になろう」のサイトに耽美は極少数である。
広大なテンプレの海に漂うミニマムな木片である。
ところで耽美と言えば何やらもやんと美しく儚く、それでいて翳りがありちょっと退廃的な、もっとありていに言うなら背徳的な匂いのする言葉だ。その正体を知る者、九藤も含め実は誰もいないのではあるまいかなどと思い、昔の文豪に思いを馳せる。
谷崎潤一郎さん。
あなたは耽美を知っていましたか?
そんな訊かれても困るだろうことを考えながら、九藤はここのところの悪習となっている真夜中の間食に走る。
今日はね、ドーナツがあるんだ。
しかも賞味期限が今日までだから急いで食べなくてはいけないというお題目があるんだ。
シンプルな卵ドーナツには牛乳が合う。これも一種の背徳の美ではあるまいか。なんちゃって。
そういう次第で九藤は真夜中にもそもそとお菓子を食べて虫歯を作り、歯科医師業の活性化に一役買っているという訳である。
歯磨き大事です!




