電子辞書がやって来た
電子辞書がやって来た
世間様がスーパームーンで賑やかに騒いでいるころ、九藤はお誕生日プレゼントに電子辞書を貰いました。
以前使っていた物は、お話した通り、踏み潰したからです。
それで新しい子がやって来ました。
もう踏まないようにと念を押されました。
もちろんです。
もちろん、そう心がけます!
キリッとした顔で言ったのに、胡散臭いものを見る目で見られました。ははは。
で、です。
早速、使い方が解りませんでした。
伊達に機械音痴で鳴らしてません。
単純な電池式じゃないよこれ?
頭の中で家人にそう文句を言いながら、コードっぽい付属品を取り出し、充電式ねはいはいと思い、それでこれはどこに入れるんじゃいと危うく差込口を壊しそうになりながら、何とか充電したような感じになるまで、だいぶかかりました。
それから、どれを押せばどうなるのやらおたおたしながら、何とか単語を調べる機能だけは使えるようになりました。
そして今日、家人に頼まれて電子辞書を貸した九藤のセリフ。
「早く返してよ!」
九藤は家人の電子辞書をぱく、借りたままでした。
「借りた物は絶対返さないとダメなんだよ?」
そんで借りて私物化してたやつを踏み潰しました。
控えめに見積もっても悪党です。
どの口がそれを言う、とちゃんと怒られました。
それで画面が九藤の指紋で汚れてるから拭きなさいとも言われました。
こまけえなあ。
九藤はそう思いましたごめん。
使えりゃいいじゃんとか思ったすまん。
「眼鏡のレンズを拭く布で拭いたら良いよ」
「…ああ、うん」
その布、どこにやったっけ?と思いました。
遮光グラスなんてかったるいもん、最近使っとらんよ。
そうしてまだ見つからないから、ティッシュで拭くと思います。
なんか色々とごめんなさい。
九藤の人間性が危ぶまれますね。




