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烏合の衆  作者: みどふ
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第一話【8年前の校舎にて】

思い切って書いてみました。はい。


誤字あったら申し訳無い。


考えるのって、疲れるね。


 5月19日。


 天候は晴れていて最近なんだか絶好調な俺。

 大迫おおさこ正風(まさかぜ)。20歳。


 職業は学生で良くも悪くもない大学に通っている。

 決して何かが半端ないわけでもなく一般的な大学生だ。


 春の季節。

 今年一番ではないだろうか。

 こんな暖かくて風が気持ちいい日に部屋にこもるのは勿体無い。

 そんな休日なわけでアパートの一室に住む一人暮らしの俺は近所のスーパーに出かけていたのだ。


 普段なんの警戒もしない俺だが、さすがに鍵はしっかりとかけてから家を出ている。


 家からスーパーまでは約二百メートル程で、行き帰りに気になった事があったといえば、スーパーにたむろしていた常連のおばさま方が

「今度ファッションモデルのオーディション受けに行くのよ」

などという会話で混乱したくらいしか無い。

 合否が気になる…!

 というか冗談であってほしいものだ。


 スーパーでスポーツ雑誌や食料品などを購入し、買い物を済ませた俺は寄り道することなく帰宅したのだった。

 

 鍵を開けて玄関に入り足元を見下ろして靴を脱ぐ。

 



 俺の今日の日常に水が差す5秒前。





 ――なんてこった。





―――――





 ――そして今に至るのである。



 シールが貼られていた箇所は、テレビの液晶画面に冷蔵庫の扉。それと壁。

 全部で8枚ものシールが貼られていた。


 ちなみに剥がすのは簡単で綺麗に剥がせるタイプなのだ。

 再剥離(はくり)シールというものである。

 綺麗に剥がせるといってもテレビの液晶画面に貼るのはどうかと思うが。

 

 さて、このシールは捨てるか否か。


 最近ではこのシールを鞄やバッグに貼って自慢気に外を歩く女の子も出てきたわけだが、

客観的に見ると“空き巣に入られました”とアピールしているようにしか見えない。


 まあ、このシールはどこを探しても無いような魅力を持っているので無理もないか。

 今なら女の子の気持ちが少しだけわかるような気がする。


 記念に保管でもしておこう。


 そう思いつつ俺は8枚のシールを机の引き出しに入れておくのであった。





 その時だった。



 あれ?気のせいだろうか。


 このシールどこかで見たような気がする。


 デジャヴか?いや違う。


 確かに俺はこのシールを見たことがあるのだ。



 このハートのデザイン。

 

 しかし明確には思い浮かばない。

 なぜか懐かしい…。

 

 記憶があやふやなまま俺は過去を振り返っていた。

  

 思い出そうと必死になっていた。


 必死になって過去を連想させていた。


 なぜかはわからないが、思い出さなければならないような気がする。

 


 すると、一つの思い当たる過去に辿り着いたのである。





―――――





 ――8年前



 小学校を卒業した日の出来事だ。

 

 俺はクラスメイトと送別会をすることになった。

 送別会といってもただのガキの集まりである。

 

 主催者は長谷川はせがわ咲夢(さくら)

 成績優秀で考える点がまわりの人と違って個性的な女の子。

 しかし俺とは無関係で話す機会も無いに等しい。


「集合場所は夜の10時に校舎の前に集合だから。来なかったら…」


 そこまでは覚えている。

 それ以降は恐ろしいことを言いつけられたに違いない。


 そして夜の10時に校舎に集まったのは俺と3人。


 長谷川咲夢は勿論いる。

 

 他には西川にしかわたけし。

 俺もよく知っている友達で西川は自己中心的な性格でいつも先生に怒られている。そしてアホである。

 

 そしてもう一人が田村たむら麻衣(まい)

 天然というのが印象的でクラスでもその天然さから人気のある女の子。


 10時5分を回ったところでもう来ないと確信したのか長谷川咲夢は校舎の方に俺達を誘導し始めた。


 送別会と聞かされていたが、4人しか集まらないのでは意味が無いのではないかと思いつつ俺は足を進めた。


 そして長谷川咲夢は校舎の窓を勝手に開けて侵入したのだ。

 俺達もダメとわかっても好奇心からか次々と窓から入っていった。

 入った部屋は図書室で、扉の内側から鍵を開けて侵入成功。

 こういう体験は初めてなもので不法侵入なんてことは忘れていた。

 

 そこから先は自分達がお世話になった二階の教室へ向かうのであった。

 校舎は静かで先生も居ないらしい。


 やがて教室の手前に着くと長谷川咲夢はポケットから鍵を取り出していた。


 まさかとは思うが。


 どういうことか教室の鍵を隠し持っていたのだ。


 これから何をするのかもわからないまま教室に入ると西川が沈黙を破った。


「おい、本当に送別会なんてやるのか?誰もいねぇじゃねーかよ」


 どうやら西川は俺達の他に教室で待っていると思っていたらしい。


 そこで長谷川咲夢も口を開いた。


「ここに君達を呼んだのは他でも無い!私の勝手を聞いてほしい!」

 

 どうやら騙されたらしい。

 

 田村さんを見る限り表情がわくわくしているので未だ送別会だと思っているに違いない。


 西川が騙されたと気づく。


「おい!なんだよこれ!お前の愚痴なんて聞いてらんねぇよ!おい帰ろうぜ正風!」

 

「西川ちょっと待ってくれ。長谷川さん、なんのために呼んだんだ?」


 俺は西川を止めて長谷川咲夢の意見を聞くことにした。


「まず、君達を呼んだ理由、それは個性だ。クラスでも個性のある君達を選んでここに呼んだの。そして協力して欲しい…!」


 他の二人はわかるが、俺には個性は無い。

 なんの取り柄もないはずだが…。


「言っていることがわからない。何に協力したらいいんだ?」


 更に俺は言葉を返す。


「正風!コイツに耳を傾けるなよ!おいもう帰ろうぜ!」

 

 俺は西川を無視して長谷川咲夢の返しに耳を傾けた。


「私は思う。この時間と共に流れている世界に不思議な事を巻き起こしたい!そう、SFや怪奇現象ってのは人間の中にある架空でしかない!だからこそそれを実在に変えるのよ!」


 俺は長谷川咲夢の言っていることの5割程度しか理解できなかった。


 なぜ、なんのためにそんなことをするのか。


 この平和な世界に水を差す?


 わからない。



 西川は呆れていた。


 「こんな奴に構ってらんねぇよ!おいもう帰ろうぜ!」


 田村さんに至ってはさっきとはまた別の楽しそうな表情をしていて長谷川咲夢に対しての興味が全面に出ていた。


「咲夢さんの言ってること、私気になります!」


 俺は西川と同じく気が気でないのは確かだった。


「すまないが、他をあたってくれ。協力なんて出来やしない」


「ちょっと待って!今じゃなくていい。まだ私達は子どもだし何も出来ないのはわかってる」


 すると長谷川咲夢はこんなものを見せてきた。


「このデザインを覚えていて欲しい!これは私が丸一年かけて作ったものなの!」


 なんだこれは。


 物凄い細かく作り込まれたオリジナルのハート型のデザイン。


 そこには、吸い込まれるような魅力を感じた。


 またそこにしか無い世界があるんじゃないか。

 そんな魅力さえ感じた。



 西川が俺の腕を引っ張る。


「こんなもん覚えてどうなるってんだ!おいもう帰ろうぜ!」


 田村さんの目はキラキラと輝いている。


「このデザインを再度見た時、それは再集合の合図!集合場所はこの教室!集まらなかったら…」




 俺は口を開かず、西川の引っ張る力にも抵抗せずその場を後にした。



 




 ――長谷川咲夢は知っていた。

 





 この世界には俺達の知らない、






 “非現実的な奴”の存在を。




ご朗読ありがとうございました。


次回も投稿未定ですがよろしくお願いします。


もうやりきった感がありますが。(笑)

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