コラム☆1 周平と洋平の関西弁講座♪
「なんや、このタイトル」
周平が渋そうな表情をする。
「そんな顔すんなやー! タイトルのままやないか!」
「え? じゃあオレらが関西弁の説明すんの?」
「せやせや」
ますます渋そうな顔をする周平。
「何が気に入らんねん?」
「全部」
「全部て……」
洋平が苦笑いする。周平は声を大にして言った。
「そもそも、毎日オレらが喋ってる言葉を今さらなんで説明せなアカンねん!」
「いや、でも関西地区に住んでる人ら以外は明らかにわからへん言葉とか、なんとな~く雰囲気でしか意味わからん、っていうコトあるかもしれへんやろ?」
「ん……それはあり得るけど」
「せやろ? んでな、今回は標準語」
「ちょっと待て!」
周平が洋平の言葉を遮った。
「今度は何やねん!」
「標準語言うのやめろや! オレ嫌いやねん!」
「はぁ?」
洋平が今度は渋そうな顔をする。
「ほな、どない言うねん?」
「東京弁って言え。なんか、何でもかんでも東京を基準にされんの、ごっつ嫌いやねん!」
「せやけど、東京の言葉はみーんなどの地方行ってもたいがい通じるんちゃうか?」
「ウ……」
「まぁ、周平の気持ちわからんでもないけど、ここは妥協しようや」
「うん……」
周平はまだ不服そうであったが、とりあえずは折れたようだ。
「ほんで! 関西弁と標準語を比較するために今回は特別ゲストです!」
「で、ゲストが彼女と?」
「そう! この部唯一の関東出身、バスクラリネット奏者の安西 菜砂さん!」
菜砂が恥ずかしそうに出てくる。
「よろしくなぁ!」
「は、はい!」
少し赤くなりながら菜砂がうなずく。
「ほな、早速やけど……。とりあえず、関西弁と東京弁の比較する?」
周平は意地でも標準語と言わないつもりのようだ。二人は苦笑いしつつうなずいた。
「じゃあ、たとえばさっきのオレらの台詞を標準語に言い換えよか?」
「おう」
<関西弁>
「そもそも、毎日オレらが喋ってる言葉を今さらなんで説明せなアカンねん!」
「いや、でも関西地区に住んでる人ら以外は明らかにわからへん言葉とか、なんとな~く雰囲気でしか意味わからん、っていうコトあるかもしれへんやろ?」
「ん……それはあり得るけど」
「せやろ? んでな、今回は標準語」
「ちょっと待て!」
「この文章を安西さんに標準語に書き換えてもらったんが、下のヤツやねん」
<標準語>
「そもそも、毎日オレらが喋ってる言葉を今さらなんで説明しないといけないんだよ!」
「いや、でも関西地区に住んでる人ら以外は明らかに分からない言葉とか、なんとな~く雰囲気でしか意味わからん、っていうことあるかもしれないだろ?」
「ん……それはあり得るけど」
「そうだろ? それで、今回は標準語」
「ちょっと待て!」
「……なんか文字にすると東京弁って堅苦しいなぁ」
周平がしかめ面をする。
「まぁ、そう言うなや」
「他になんかないんか?」
「じゃあ、続きで換えてもらおか」
<関西弁>
「今度は何やねん!」
「標準語言うのやめろや! オレ嫌いやねん!」
「はぁ?」
「ほな、どない言うねん?」
「東京弁って言え。なんか、何でもかんでも東京を基準にされんの、ごっつ嫌いやねん!」
「せやけど、東京の言葉はみーんなどの地方行ってもたいがい通じるんちゃうか?」
「ウ……」
「まぁ、周平の気持ちわからんでもないけど、ここは妥協しようや」
「うん……」
<標準語>
「今度は何だよ!」
「標準語言うのやめろよ! オレ嫌いなんだよ!」
「はぁ?」
「それじゃあ、どう言うんだよ?」
「東京弁って言え。なんか、何でもかんでも東京を基準にされんの、とても嫌いなんだよ!」
「だけど、東京の言葉はみーんなどの地方行ってもたいがい通じるんじゃないか?」
「ウ……」
「まぁ、周平の気持ちわからなくもないけど、ここは妥協しようよ」
「うん……」
「なんか全然違う国の言葉みたいやな……」
「おおげさやな。他にも、関西特有の言い回しあるから比較してみたで」
<「関西弁」 → 【標準語】>
「いがむ」 → 【歪む】
今日は「えらい」疲れた → 今日は【とても】疲れた
プレゼント「ぎょうさん」もらった → プレゼント【たくさん】もらった
この楽譜「なおしといて」 → この楽譜【片付けておいて】
そこの紙くず「ほかしといて」 → そこの紙くず【捨てておいて】
「ごっついなー!」 → 【すごいなー! 大きいなー!】
「しんどい!」 → 【疲れた!】
めっちゃ「ちっこい」な! → めちゃくちゃ【小さい】な!
「南京」食べる? → 【カボチャ】食べる?
今日は「ぬくい」なぁ~ → 今日は【暖かい】なぁ~
「はよ」食べろや! → 【早く】食べろよ!
「なんや!? オレら普通に使ってるやん!」
「これも全部他の地域では通じへんからな。おっと。この「~へん」っていうのは否定語のことやで」
「関東では、これも全部他の地域では通じないからね、ってなります」
菜砂がフォローを入れる。
「あと、下の言葉は全部言葉の一部省略しとんねん。関西人、いらちが多いから」
「えっと、下の言葉は全部言葉の一部を省略しています。関西人、せっかちな人が多いから」
菜砂も即座に標準語に言い換えるのが大変なようだ。
<単語 → 関西の発音>
学校 → がっこ
勉強 → べんきょ
先生 → せんせ
煎餅 → せんべ
貧乏 → びんぼ
蚊取り線香 → かとりせんこ
辛抱 → しんぼ
「それから、形容詞の連用形は『~く』は普通省略して言うねん」
「連用形とかムズいコト言うなや!」
周平が耳を塞いで顔を左右に振る。
「見ればわかるって!」
<単語 → 関西の言い回し>
暑(熱)くなる → あつなる
寒くなる → さむなる
暑(熱)くて → あつーて
寒くて → さむーて
冷たくなる → つめたなる
長くなる → ながなる
安くなる → やすなる
「んで、形容詞の前に『あぁ』つけたら『い』は消えるねん」
「意味不明やん!」
「見ればわかるって!」
「お前さっきからそればっかやんけ!」
周平が呆れて洋平にツッコんだが、洋平は気にせず続ける。
< 関西弁 → 標準語 >
あぁ、しんど → あぁ、疲れた
あぁ、暑! → あぁ、暑い!
あぁ、寒!(さぶ!) → あぁ、寒い!
あぁ、おもろ! → あぁ、面白い!
あぁ、汚な! → あぁ、汚い!
「どない? 関西弁と標準語やったらだいぶちゃうやろ!?」
「どうですか? 関西弁と標準語でしたら、ずいぶん違うでしょう?」
周平は几帳面に東京弁に直す菜砂に感心していた。
「なぁ、もうこのへんでえぇんちゃうの?」
「そう?」
「わからへんことあったら、いつでも作者にメッセージ飛ばしてもらえばえぇやん? アイツも関西人やし」
「そやな……。そうしてもらおか」
「それでは! 引き続き『じょいふる! Music♪』をお楽しみください! 以上、佐藤 洋平と」
「安西 菜砂に」
「森田 周平でしたー!」
~周平と洋平の関西弁講座♪ 完 ~
今回、この講座を作るにあたり「関西弁基礎講座」を参考にさせていただきました。http://homepage2.nifty.com/GANSO_hirokun/kouza00.html