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一言で仕様が変わる世界シリーズ

準備完了した瞬間が一番楽しい問題

作者: 山田りく
掲載日:2026/05/19

「ロマン砲」というものがある。

圧倒的な火力。派手な演出。一撃必殺。


ただし代償として、だいたいクセが強い。

準備が重い。条件が多い。燃費が悪い。実用性は低い。


でも説明文を見た瞬間、思う。


「これ、男のロマンじゃん」


たぶんここが罠だ。

冷静に考えれば、汎用キャラを育てた方が強い。

でもロマン砲は“強さ”ではなく“物語性”で刺してくる。

だから作ってしまう。


素材を集める。

条件を調べる。

足りないステータスを埋める。

気がつけば、編成がロマン砲中心になっている。


「あれ?これ最適解じゃないよな?」


一瞬よぎるが、見なかったことにする。


そしてついに、条件は揃う。

ボタンは光っている。

撃てる状態だ。

ここが一番楽しい。

実際の戦闘よりも、ここがピークまである。


「これ、いつ撃とうかな」


そう思いながら、出番を待つ。

だが気づく。撃つ場面がない…


敵は倒しきれる火力で出てくるか、

そもそもロマン砲を撃つ前に終わるかのどちらかだ。


いや、そもそも発動条件がややこしすぎて、実戦で使う判断が遅れる。


「これ、設計ミスでは?」

一瞬思うが、やめる。

ロマンだからだ。


結局、ロマン砲は一度も撃たれないまま日常編成に埋もれていく。


でも、ふと思う。


一番楽しかったのって、たぶん“完成した瞬間”だったな、と。


撃ってないのに満足している。


ロマンとはそういうものなのかもしれない…

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