ペンギンさんはのほほんと街さんぽ
人間語を喋る人間のようなペンギンの話です。
俺はタカシ。コウテイペンギンだ。今は友達のコウジに誘われて電車で新宿に来たところだ。
俺の毛はしっとりとしてて全身を覆っている。首の黄色い所がチャームポイントだ。洋服は合うのがないので着ていない。
「タカシといると本当に目立つよな」
「俺いつまで経っても慣れないんですよ。ジロジロ見られるからあまり出かけないんです」
「まぁ、ペンギンだもんなぁ」
「この前も着ぐるみ脱げと引っ張られて、困りましたよ」
そう言って肩を上げるが、撫で肩すぎて見えてないかもしれない。すれ違う人々は振り返って俺を見てくる。
「タカシ身長も高いから余計目立つもんな、いくつだっけ?」
「171cmです。高いですか?」
「うん、高い方だと思う」
おれはクチバシをカチカチ鳴らして考えてしまうが、コウジはにこりとして、コーヒー飲まないか?と言ってきたので、少し休憩することにした。
「い、いらっしゃいませ……」
驚いた顔をしているカフェ店員を華麗にスルーして俺たちはコーヒーを注文する。すぐにコーヒーが運ばれて来て、クチバシを付けて器用にひと口飲んでため息をつく。
「深煎りだなぁ、美味しいですね」
「コクがあるな」
二人でコーヒーを堪能していると横から声を掛けられた。
「あの、すいません!」
見上げると真っ赤な顔をした20代くらいの女性が机の横に立っている。
「何でしょうか?」
タカシが答えると満面の笑みを浮かべて興奮気味に話し始めた。
「私、さやかって言います。私ペンギン好きなんです! 人間サイズのペンギンさんに会えるなんて……!」
「はぁ」
「あの、抱きしめてもいいですか?」
「えっ!」
予想外の申し出に思わず大きな声を出してしまった。さやかはタカシの反応を見て悲しそうな表情になる。
「駄目、ですか?」
タカシはそれを見て慌ててしまう。
「すいません、大きな声を出してしまって……俺はペンギンですが男なので」
と、やんわりと断ろうとする。触らせて。はあったが抱きしめてっていうのは初めてだ。狼狽えていると、さやかはキョトンとした顔をした。
「でも、ペンギンですよね?」
「いや、そうなんですが」
慌てるタカシをみてコウジが吹き出した。
「いいじゃん、やってやれよ。さぁ、どうぞ!」
そう言ってタカシを後ろから腕を取り動けなくする。実はコウジは空手の有段者だ。ガッチリと固定されて動けない。
「ちょ……!」
タカシが抵抗しようとすると、さやかが抱きついてくる。タカシは驚いて言葉を無くしてしまうが、もうこの状況を受け入れるしかないとじっと離れてくれるのを待つ。さやかはほんのりとフローラル系の香りがして小さくて柔らかい。恥ずかしくなって声をかけようとすると、スッと離れてくれて思わずため息を吐く。
「ありがとうございます。あの、よかったら連絡先交換してください」
言われるがままにスマホの連絡先を教えるとさやかは笑顔で店を出て行った。
「やったじゃん、連絡先GET」
「多分ペンギンだからだろうな……」
座り直してコーヒーを飲み、店を後にした。
「タカシの中身の良さを知れば惚れてくれるさ」
楽しそうの笑うコウジに笑みだけ返して二人は新宿の街に消えて行った━━
こんなに街中に人間語を話す大きなペンギンがいたら……素敵かも。
でも色々とどうしているんだろうと考えてしまいますね。
続きがあるかはまだ決めていません。




