第三十一話 茜色革命
新章スタート! しかし終わりが見えねぇ!
こちらスネーク、時は朝礼前、とある事情によって結界のようなものの張り詰めた教室からは席を外し、階段付近に移動。
それでもまだ感じられる何者かの視線についてはもういい。この視線が消える日が来るとすれば、おそらくそれはこの騒動が収まるか私が転校するか、そのどちらかだ。妥協の末に開き直り。カルシウムを取っている私、秋津晴希はあくまで寛容なのだ。
壁に背中を預けて、さあ話そうじゃないか。こいつに対しこちらから会話を始めるってのは少し気が進まない所もあるが。
「どうしてあんなつまらん事でわざわざこんな事になんだろうな。……一般的な一学生が体験すべき事じゃないだろ。常識的に考えて。
……ああ、あと昨日は帰ってきたそばから一体どうしたなんて親に訊かれたぞ。説明も面倒だったし、どうせこんなスチャラカな説明しても狼少年みたく冗談と取られて流されるだろうからもう何もないと言っといたが」
「…………」
話の相手はそれに対し、無言でこちらを見ている。
ちなみに誤解されそうだが、母親が私みたいな中性顔だったりする事はない。かといって私は父親似でもないのだけれど。そして兄に似ているとも言い難い。遺伝子学の奇跡だな。迷惑な奇跡だ。
いや、話を戻そう。声を掛けてきた理由としては、私の顔色が相当悪かったのかいつもより溜め息が深かったのか。多分その二沢。お母様、貴女の勘は鋭いですね。今の私はややこしくて頭皮を掻き毟りたくなっていますよ。
とりあえず悩みの種があり、おかげで今時の若者らしく心が健やかでない。死にはしないだろうが、禿げるのは避けたい。私女だし。
「本当にくだらん理由だよ。人間ってそこまで根に持てるのかね。しかし嘉光も、あんだけ人をネタにするってのはどうなんだか」
「…………」
それでも話し相手は無言を貫いている。……今唯一頼りにできる奴がこれだもんな。ストレスも相乗効果で溜まっていく。不快指数も高まっていく。
「とりあえずだな、邦崎すらどっか行ってしまい使い物にならないんだ。これはお前にしか頼れないって事だ。」
「…………」
「……だから喋れ、杭瀬」
「…………」
話し相手、杭瀬弥葉琉はそれでも喋らない。喋った所でまともな事を言うかは分からんから、これでいいのかもしれないけどな。それでも私が一人で喋っている痛い人に見えると言うデメリットは余りある。
さて、読者諸君にそろそろ事情を説明しておくべきかもしれない。
実は、内藤嘉光と私と文芸部と、その繋がりが断ち切られてしまった。
「ああくそ、内藤はいてもいなくても迷惑だ本当に」
「……ツンデレ」
「ちょっと黙っていようかそこの杭瀬さん」
やっぱりこいつは黙っていてよかったかもしれない。だれがツンデレだ。私はそんなキャラを確立した覚えなど一切ない。
「……しかし、嫌な事件だったな」
私はあの時の事を思い出す。嘘のように短かった、あのゴールデンウィークが明けた日の事を。