第二十一話 戦いは終わらず
ようやくです。ようやく終わりです。
菅原くんの一閃(カジキマグロの鼻)が、(仮)を両断した。勝負は僅か三十秒。
いや……これは虚しすぎる……。
「無駄な回り道ばっかりしてたけど、これでようやく終わり、わたしは大事な大事な参考書を持って帰って終了ってわけ?」
もう本当に疲れた。早く家に帰って、世界史と物理を枕に敷いて眠りたい。
「いえ、そうでもないようです」
「……え?」
まさかと思って体育館の闇の中を見やる。そこには、なんと三本の足と二つの頭を持った人間がいた。どうせあれも幽霊なんだろうけど……。
「きゃー--ーーーーーー!」
「まさか、『煉獄兄弟』までいるとは……」
また変なの出て来た! というか見てくれすごく怖いんだけど!
「大丈夫です」
そう言って彼は、煉獄兄弟とやらに向かって走り出した。
ズバババババッ!
纏めて一閃。この間、なんと十五秒!
「だからそんなあっさり終わるなら難しそうな顔をするのはやめて!」
「まさか……この上、『天魔六芒星』まで!?」
更に奥を見ると、翼を生やした六人の人間──いや、幽霊がいた。
「よかった……これはまだ怖くない……」
「見た目だけで判断しないで下さい! あいつらは──」
ズバババババッバ!
「とても強いですから!」
「とか言って五秒で倒してるけど!?」
まぁ、いずれにせよ、これでようやく──
「あれは……『冥皇神』!?」
「もういいわよっ!」
話はそこから劇的な展開をする。
何があったのやら、目を覚ませばそこは教室、わたしは自分の机で寝ていたみたい。
まさかの夢オチかなんて思ったけど、上履きの裏がざらざらしてると思ったら砂が挟まってたから、そんなことはないと思う。もしかしたら「夢じゃないけど夢だった」なのかもしれないけどね。
昨夜のことはよく覚えちゃいないけど、とりあえず彼が何らかの術でわたしをここに寝かせるという不親切極まりないことをして、せっかくわたしが怖い怖い夜の校舎に入り込んだという苦労を不意にしてくれたのは確か。
だから、放課後わたしは文芸部室に行って、彼に責任を取ってもらわなきゃならない。
……ところで、文芸部室ってどこだっけ? まあいいか。
わたしは立ち止まり、叫ぶ。
「荻原くんの馬鹿ぁ! 何してくれてんのよ!」
叫んだ後、歩き出そうとして机に引っかかり、わたしは派手に転んだ。
周りの目?……もういいもん、わたしは諦めが早いから……。
杭瀬「というわけで、ご愛読ありがとうございます。白龍閣下の次回作に乞うご期待下さい」
晴希「待て。話を終わらすな」
杭瀬「確かに晴希の気持ちは分かるけど。今回こんな短い話を書くくらいだったら余白で全裸になりたいっていう気持ちは」
晴希「だから待て。初見の人にわたしのおかしなイメージを与えないでくれ」
杭瀬「そして、次回からは通常巡業で晴希が脱ぎます」
晴希「それも嘘だ。お前はそんなにこの小説を消されたいか」