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白世界  作者: 白龍閣下
どうでもいい掃き溜め的ななにか
1/87

序章 白世界は白より現る

 えー、であるからして作者初の作品であるわけですが。

 最初からこれです。作者は偏屈です、シニカルです。

「……どういう事だ」

「……」

「……おい内藤、どういう事かと訊いている」

「? 何がだ?」

「しらばっくれるな。どういう事か答えてくれ」

「待ってくれ晴希、まず日本語で話すんだ」

「鼻から尻尾まで日本語だ。更に念を押すと、かつて琉球王国(りゅうきゅうおうこく)と呼ばれた場所で発達した沖縄弁でも発音がフランス語っぽいと言われている津軽弁でもない。れっきとした標準語で言ったんだが?」

「そうか、じゃあ俺がお前の話をよく聞いてなかったんだな。悪かった」

「いや、聞いてたろ」

「……エ? ボクキイテタヨ?」

「そうか図星か。やっぱりちゃんと聞いてたか」

「ホワッツ?」

「……往生際が悪いな」

「何事も諦めないからな」

「まさかポジティブに受け取られるとは思わなかった」

「俺なりの至高の精神だ」

「今のもポジティブに受け取られるとは思わなかった」

「失礼な。俺は俺なりにちゃんとやっているんだぞ。例えば毎月の小遣いも晴希のブロマイド写真を買──この話は終わりにしよう」

「待て、今非常に気になることを言ったぞお前は」

「安心しろ。パソコンのデスクトップとかにはしていない」

「普通はしないだろ!」

「携帯の待ち受けにはしてるけどな」

「結局するのかよ!」

「他の人に見られて『これ誰ですか?』とか訊かれたらちゃんと『はい、僕の彼女です』とか返してるぞ」

「やめろよ! いい迷惑だ!」

「え? そんな……彼女じゃなくてもう妻として?」

「何故そう話が全力で逆方向に突き進むんだ!?」

「……ま、冗談はさておき、本当に携帯の待ち受けだけだな。抱き枕にすらしてないぞ」

「当然だ。抱き枕なんぞにされてたまるか」

「三次元は本物で満足出来るから一切持ってないわけだ」

「油断した! そんな理屈か!」

「俺は晴希とは違うからな。そこらへんの境界は厳しいんだ」

「そこで私の名前を出すな! 抱き枕は(おろ)か、私はお前の写真にすら興味は無いぞこのセクハラ野郎!」

「へ? 誰も俺の写真がどうこうなんて言ってないぞ?」

「お前の名前を出したのは全面的な信頼その他諸々の計算の結果だ」

「まさか誘導尋問に引っかかってくれるとは……」

「成り立ってないよな、誘導尋問」

「これでお前のツンデレも立証されたな」

「されてない。そして私の話を聞け」

「ん、どういう話だ」

「だからなあ……」

「最初の方に言った、どういう事か、って話か?」

「そうだ。そしてそこでお前は先ほど私の話をちゃんと聞いていたという事をあっさりと告白するんだな」

「……参ったな、誘導尋問とは」

「まさか、ばれてないと思ってたか?」

「ああ……お前は天才か」

「……お前は馬鹿か」

「それはどうでもいいとしてだ」

「そこで流すか」

「流すさ」

「そうか。それで、うんざりするくらい話が脱線したような気がするんだが」

「その通りだ。ちゃんとしてくれよ、晴希」

「私のせいか」

「そうだ」

「なぜそこまで自信が持てるのやら……。まあいい、とにかくこれはどういう事だ」

「何の事やら」

「あー、まだ分からんか。とにかく私が言いたいのは、どうしてお前なんぞと二人っきりという偏屈な状況なのかって事だ」

「神のお導きだな」

「嫌な神だ。チェーンソーにでも切られてしまえばいい」

「これはデートみたいなもんだ」

「最近はこういうのもデートと言うのか」

「愛があればいい」

「……もういい、私が馬鹿だった。ところでこの対話だけのグダグダなスタイルで話を進める理由を教えてくれ」

「いいんだよ。これは最初の最初。アニメで言うオープニングテーマの前奏までだ」

「本当に最初の最初だな」

「だから構わない。それより、この話のちょっとした紹介でもしようじゃないの」

「やっぱりそうか。だと思ったよ」

「とりあえず俺が一人で話す。だから晴希は安心して体を俺に預けろ」

「早速安全性に問題のある発言だな」

「では、話を始めよう」

「無視かよ」

「俺は董城(とうじょう)高校二年で文芸部の内藤嘉光(ないとうよしあき)。これといって語る事も無い、普通と言う要素が服を着たような男子生徒だ」

「そうやって自分をフォローするには遅すぎるんじゃなかろうか。焼け終わった石に水を掛けるようなもんだ」

「──そう。こうやって全力でアピールしてくれるこいつは秋津晴希(あきつはるき)、俺と同じく文芸部の二年であり、かつ俺の嫁だ」

「待て。お前の所に嫁入りした覚えはない」

「こういう恥ずかしがりやさんなんだ。見た目は中世的だけどハートは乙女なんだよな。それを男口調で隠そうとしてるのが残念だ」

「よくもそうやって出鱈目(でたらめ)を言えるもんだな。お前の事だからそういうのは常に脳内で温めてるんだろうけど」

「このツンデレめ」

「黙れ内藤。……あー、分かっているだろうがこの馬鹿の言う事は大体が出鱈目だ。情報化社会に生きる諸君ならそれくらい正しく取捨選択できていると信じるぞ。私は」

「それで真実が闇に追いやられる事が無いようにな」

「いいから黙っとけ。……それで、私はさっきの阿呆が申した通り文芸部二年の秋津晴希という。誤解の無いように言っとくとあいつではなく私が主人公だ。自分で言うのもなんだが男容姿男口調男性格──まあこれについては育ってきた環境と言うものがあってだな。この話は文芸部において、私が色々と苦悩を抱えてたりするわけだな。あと念を押しておくとツンデレではないしこいつの女でもない。まあとにかく、文芸部には内藤みたいなのが色々といる。実に悩ましい」

「……いや、晴希も十分変だが?」

「……気のせいだ。目の錯覚だ」

 いやーほんと、プロローグにすらなってないってどうなんでしょ。

 ……あー、次からはまともにしますとも。

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