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8、復讐への一手

.....。

家に帰宅すると優樹菜が来た。

そして心配げに俺を見てくる。

大丈夫?、と聞いてきた。

俺は、まあな、と答えながら肩を竦める。


「なら良かった。お兄ちゃんが大丈夫って言うなら安心だよ。復讐.....はしなくて良かったよ」


「そうだな。まあ色々あるけど生きているし良かった」


「.....あ。さっき2人の人が来たよ。暴走族の服装だったからビックリだったけど」


「それは知り合いだな。.....結菜の」


「え?結菜さん.....の?」


そうだ。結菜の知り合いだ。

俺はそう返事をしながら苦笑する。

すると優樹菜は、へぇ。お知り合いの人、幅広いね。結菜さん、と目を丸くした。

それからアイツ自身が暴走族だったらしいからな、と答える。


「え!?」


「話して無かったか?.....レッドピースのメンバーだ」


「へ!?」


優樹菜は愕然としながら俺を見てくる。

それって本当に?、と聞きながら。

俺は頷きながら、だからたまにキレると柄が悪くなるぞ、と答える。

それから苦笑いを浮かべる。


「彼女自身はその事を悪いって思っているらしいから。あまりその事は触れるなよ」


「う、うん。ビックリだね。気をつけるよ」


「ああ。頼む。それから優樹菜。優に関してだが」


「.....うん」


「あのドグザレには気を付けて欲しい。何があってもおかしくない」


「うん。ゴミクズって認識だよね」


「そうだな」


正直言ってそんな事は思いたく無い。

仮にも友人だったしな。

でも今となってはもう恨みしか湧かない。

そう考えながら俺は複雑な顔をする。

そうしていると、お兄ちゃん、と声がした。


「.....今は何も考えない方が良いよ。募るのは恨みばっかりだから」


「まあそうだな。有難うな」


「爆発しない様にしないとね。取り敢えずは今出来るのはそれぐらいだと思う」


「まあ相変わらずだな。お前」


「私は私なりの事をしているだけ。お兄ちゃんじゃ無いから何も変える事は出来ないけどね」


言いながら俺の手を握った優樹菜。

それから、リビングに行こう、と誘って来る。

俺は、そうだな。ちょっと疲れたから休むか、と言いながら靴を脱いで上がる。

そして俺は鞄を下ろしながら溜息を吐く。


「先ずはそうだね。.....取り敢えず紅茶飲む?」


「そうだな。.....紅茶もらおうかな」


そして俺は紅茶を淹れてもらっていると。

そういえばお父さんの会社の事聞いた?、と聞いてくる。

俺は、いや、と答えながら優樹菜を見る。

優樹菜は、また忙しくなるからゴメンだって、と言ってくる。

ああ、成程な。


「人助けばかりしていて.....まあ寂れた会社経営者だけど.....凄いよね」


「尊敬はするな。確かに」


「.....だね。お兄ちゃん」


うちの父親は会社経営者だ。

だけどNPOとかやっているので毎回プラマイゼロの感じの会社経営。

人助けが好きなのだ親父は。

その為にうちは裕福では無いのだが。

まあ好きにさせておこうと思う。


「会社経営してNPOでお金を吹っ飛ばす.....ってのも凄いよね」


「慈善活動だからな」


「そうだねぇ。.....でもお父さんも物好きだよね」


「そうだな。でもそれが憧れになっているから」


そんな会話をしながら俺達は紅茶を飲み合う。

それからクッキーを食べた。

美味かったクッキーだが優樹菜が作ったらしい。

相変わらず繊細な事だと思う。

全てが上手い。


「そういえばさ。お兄ちゃん」


「何だ」


「.....嫁子さんとまた付き合うの?」


「アイツはもう付き合う気は無いって言ってる。.....自分が心から悪いって思っている様だ」


「.....そうなんだね」


「ああ」


それから俺達は考える。

すると優樹菜は、じゃあ見守るのかな、と聞いてくる。

俺は、もう恋はしないよ、と俺は苦笑いを浮かべながら答える。

流石にもう堪える感じだしな。

思いながら俺は紅茶の面を見る。


「そうなんだね」


「ああ。.....だから俺は普通に学校生活を送るよ」


「そうだね。テストもあるよね?」


「.....嫌な事を思い出させたなお前」


「アハハ。でもやらないと。しっかり。お兄ちゃんの成績は良くないし」


「まあそうなんだけどな」


俺は苦笑い。

確かに学年成績で優秀じゃ無いから。

そうなると嫁子が結菜に教えてもらおうかな、と思う。

6月も後半に差し掛かる。

取り敢えず嫌なものは対策して壊しておくべきだな。


「期末考査だよね?」


「そうだな」


「面倒臭いよね。アハハ」


「そうだな。でもお前は優秀じゃないか。うちの学校でも」


「そうだけど毎回の勉強は面倒臭いよ?」


そして苦笑し合う俺達。

すると優樹菜は神妙な顔をした。

それから俺を見てくる。

ねえ。お兄ちゃん、と言いながら。

そうしてから、嫁子さんは何でゴミクズに頼ったのかな、と話してきた。


「.....アイツも相当悩んでいたと思う。.....だからこそ優に言い寄られたんじゃ無いかな」


「外道だね」


「人じゃないと思う。そんな手口を使うのは。弱みに漬け込むのは嫌いだ」


「だからこそそっちに復讐しないとね」


「そうだな.....確かにな。これは復讐でも良いと思う」


何をもってして復讐と呼ぶかは知らないが。

だけど.....それでも復讐しないと駄目な気がする。

金で成り上がっている様な馬鹿野郎にはそういうのがお似合いだと思う。

アイツにどうやって復讐するか.....だな。

金ばかりで全て解決出来ると思ったら大間違いだ。


「お兄ちゃん。取り敢えずは具体的な事は置いておいて。こうなった以上、長門には確実に復讐すべきだと思う。このままでは長門がやりたい放題だと思うよ」


「そうだな。だけど具体的な策は思い浮かばないから今は考えるのを止めておくよ」


「それは確かにね。自由な時に自由な気分の時に考えるべきだと思う。私が提案していてなんだけど」


「ああ。でも助言有難うな。役に立ちそうだし心を震え立たせれそうだ。このザマでは駄目だって、な」


「お兄ちゃんはヒーローだから。昔から」


「.....ヒーローねぇ」


まあ何というか。

そんな勇敢なもんは無いけどな。

もう昔と違うしな。

思いながら俺は苦笑いで優樹菜を見る。

そして目を伏せた。

.....。

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