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神託
水神様の御神託
眼に映る確かな未来
決して変わらぬ事象の予言
〝奴隷市にて保護した子どもを姫の従者としなさい〟
「水神様、子どもの詳しい特徴などありますでしょうか」
「そうですね……。とても美しい少女です。流国古来の民特有の濡羽色の髪と黒曜石の瞳を持った幼子で、通った鼻筋とぱちりとした輝く瞳が印象的な子です」
「承知いたしました。すぐ、手配いたします」
「水神様、その子は本当に私の友になってくれるの?」
「ええ。彼女は違いなく良きあなたの友になりましょう。あなたの将来に欠かせない唯一無二の人となる子ですよ」
「水神様が面食いなのはもう咎めませんので、幼子に手を出すのはよしてくださいね」
「不敬罪で吊しますよ」
春の訪れが近づく季節、御神託が下った。