第一話 神択肢
選択肢第二弾です
選択肢を使った物語が書いていて面白かったので、自己満で書きました
ストック5万字弱ですので、のんびり投稿していきます
昔は良かったなぁ。
とある田舎の村に生まれた僕、ロイス・ジャスパー。
田舎の村で、僕は神童と呼ばれるほどに様々な才能に満ち溢れていた。
「お~ロイス! 今日も剣術の鍛錬か?」
「うん! 今度開催される剣術大会に出場するんだ!」
「頑張れよぉ! まぁお前さんなら優勝間違いないだろうけどな!」
剣を振らせれば負けなしで、魔術の才能だってあると言われていた。同じ年頃の子供たちは元より、三つも上のお兄ちゃん達にだって負ける事はなかった。
―――――
「子供の部優勝は、ロイス・ジャスパー君ですっ!」
「やった……! やったよ! 父さん、母さん!」
「流石は俺の息子だ! こりゃ将来が楽しみだな!」
「五歳も上の子に勝ってしまうなんて、凄いわロイス!」
僕が六歳の時に開かれた、十一歳以下が参加できる剣術大会で、僕は優勝する事ができた。
父さん母さん、村の人は大喜び。村から英雄が誕生するのだと、大いに盛り上がった時期もあった。
―――――
「……え? ロイスを国指定の育成者に!?」
「ええ。国王陛下はロイス殿の成長に期待しておいでです。その成長に掛かる資金を国で負担しようと言うのです」
「凄いわロイス! まさか育成者に選ばれるなんて!」
僕の噂は遠く離れた王都まで届き、王都から使いが来るほどだった。
僕の生まれた国は、昔から優秀な子供を見つけては先行投資を行い、才能を埋もれさせないようにと国家単位で動いていた。
育成者に選ばれた者は、例外なく英傑となる。
そう歴史が物語っているように、みんながみんな僕に期待し始めた。
村から英雄が誕生すれば、村の発展にもつながる。両親は元より、村の皆の期待も非常に高かった。
僕自身もそれを誇らしく思い、いずれは国で最強と言われるほどまでに成長するのだと、意気込んでいたものだ。
―――――
「十ニの誕生日、おめでとうロイス!」
「おめでとう! ついに十ニ歳ね! どんな神託が下るのか楽しみだわ!」
「ありがとう父さん、母さん!」
そして迎えた、十ニの年。僕の運命の年……というより、この世界で生きる者にとっての運命の年だ。
この世界に生を受けた人間は、十ニの時に神様より神託が下る。
神託といっても内容は様々で、才能を告げられる者もいれば天職を告げられる者もいて、中には未来の出来事を告げられるなんていう、所謂ハズレ神託もあった。
「いよいよ明日だね、ロイス」
「うん、リリアは去年だったよね? 確か神託は……」
幼馴染のリリア・アネモネ。村の中では一番の美人と呼ばれる女の子。
「私はオリジナルマジック!」
「そうそう。いいなぁ~、当たり神託だもんね」
「きっとロイスはもっとすごいよ! 何ていたってロイスだもん!」
「あはは……でも最近、どうにも上手くいかないんだ」
「上手くいかないって、なにが?」
「剣術も魔術も……」
「そうなんだ。でも大丈夫だよ! ロイスなら絶対に当たり神託だもん!」
リリアが授かったような、当たり神託と呼ばれるものがあった。
リリアのようなオリジナルマジックを授かる者は少なく、授かっただけで未来は明るいと言われるほどに貴重なものだ。
―――――
「おお! スキルだ! カイゼル殿にはユニークスキルの神託が下った!」
「いよっしゃーー! 俺はやったぜーー!」
僕より先に神託の儀に臨んだカイゼル。こいつも幼馴染なのだが、僕とリリアの仲が良い事が気にくわないようで、なにかと因縁を吹っかけてくる奴だった。
カイゼルにはオリジナルマジックと同じくらい貴重な、ユニークスキルの神託が下ったようだ。ハズレ神託じゃないのか、つまんね……そう思ったっけなぁ。
「おらおら、どんなもんだ! 次はお前の番だぞ、ロイス!」
「ロイス、頑張って!」
リリアに見守られる中、行われた僕の神託の儀。
もの凄く緊張したのを覚えている。この神託がハズレ神託であれば、僕に期待してくれているみんなに申し訳ない。
それほどまでに重要な、未来が決まる神託の儀。
未来の出来事だったらどうしよう。確か二年前、村のガキ大将だったタロウ君は、三日後に財布を落とします……なんていうハズレ神託だったのを思い出した。
オリジナルマジックやユニークスキルじゃなくてもいい、でもハズレ神託だけは勘弁してください!
才能でも天職でもいいです! ハズレ神託だけは……!!
「お……おおォォォ!! ロイス殿もスキルだ! ユニークスキルだ!」
「え……や、やった……やった!!」
「ッチ、面白くねぇ」
「流石ロイスだね! やったぁ!」
カイゼルの憎たらしい顔と、自分の事のように喜んでくれるリリアの顔は今でも忘れられない。
―――――
僕がユニークスキルを授かった事は王都まで届き、王様に謁見する事になった。
流石に緊張したなぁ。普通はオリジナルマジックだろうがユニークスキルだろうが、授かっただけでは王に謁見なんて出来ないのに、自分は特別だと言われているようで嬉かった。
「ロイスよ。ユニークスキルを授かったようだな? 期待している、これからも励むように」
「はは、ははいっ! ご期待にこここ応えて見せます!」
「うふふ。そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ? 楽しみにしていますね、ロイス様」
王女様、綺麗だったなぁ。
冗談なのだろうけど、王様が将来は王女の専属騎士になってもらうとか言ってたっけ。
王女様もまんざらじゃない様子だったので、なんて栄誉なのだと興奮したのを覚えてる。
―――――
「流石はロイスだ! これでこの村は安泰だ!」
「国の育成者に選ばれた上、神託はユニークスキル! こりゃまさしく神童だな!」
「今日はなんて目出度い日だ! 祝日にしないか!?」
「ねぇねぇロイス? 冒険者になるって聞いたけど本当?」
「私も冒険者になろうかなぁ~? ねぇロイス、パーティー組まない?」
「ちょっと、それはあたしが言おうと思ってたのよ!?」
「なによ!? アンタはカイゼルの所に行けばいいじゃない!」
大人はもちろん、同世代の人たちも俺の周りに集まっては、口々に賛辞を述べてくれた。
そんな僕が選択した職業は冒険者。オリジナルマジックやユニークスキル、戦いの才能があると神託が下った人が選ぶ事が多い職業だ。
危険が付き物な冒険者だが地位が高く、実入りもいいので人気があった。
更には冒険者として名を馳せれば、王宮の騎士にもなれるという話があったので、それを選択したのだ。
そんな優良物件に、我先にと投資しようとする女の子達が印象的だったけど、後ろで睨みを利かせるリリアが鬼の形相でいたのは今でも夢に見る。
―――――
「ねぇロイス。その……冒険者になって、一区切りしたらさ……」
「う、うん」
「け……結婚、しようよ?」
「あ、う、うん……僕も、リリアと結婚したい」
お互いに好き合っていた僕達は、結婚の約束までしたもんだ。
でもやっぱり恥ずかしかったから、『最高ランク』の冒険者になったら迎えに行くとか、そんな事を言ったっけ。
「うん……待ってるね? 早く、迎えに来てよ?」
夕日に照らされたリリアの美しい顔、あれは忘れられない。
すぐさま僕は冒険者になり、ランクを上げようと意気込んだっけ。
思えばあの約束の時が、僕の人生のピークだったんだろうな――――
――――
――
―
―
――
――――
そして現在の僕は、みんなの期待に応えて英雄街道をまっしぐら……ではなく。
無能街道をゴロゴロと転がり落ちていた――――
「――――うわぁぁぁぁぁ!! く、くるなぁぁぁぁぁ!!」
(どうしてこうなった? どうしてこうなったんだよぉぉ!?!? 僕の人生、どこで何を間違ったんだぁぁ!?)
現実を受け入れられずに、過去の思い出に逃避行していたが、そろそろ現実を見つめなければならない。
僕は現在、『最低ランク』の冒険者でも頑張れば倒せると名高い低級モンスターから、逃げ惑っていた。
あれほど賞賛されていた剣術は、ある時を境に成長を見せなくなった。僕は大器晩成の逆、平凡早熟だっただけのようだ。
いつの間にか剣術も魔術も平凡となり、気が付けば同世代の人に抜かれていった。
戦いの才能がない者に冒険者は勤まらない。最低ランクであろうが、常人を超越している者が冒険者をやるのだから。
え? お前にはスキルがあるだろって? 持っているだけで輝かしい未来が待っているという、ユニークスキルを持っているだって?
ああ持ってるよ! 持っている事は持ってるよ! 今現在でも貴重なスキル持ちだよ!
例えばカイゼルのスキルなら、こんなイノシシの化け物なんて瞬殺だろうさ。なんのスキルを持っているのか知らないけど。
それほどユニークスキルは強力なんだ。そんなユニークスキルを僕も持っている、持ってはいる!
(いいさ、見せてやるよ! 僕のユニークスキルをっ!!)
「いくぞ……スキル【神択肢】!!」
「ブモぉぉぉぉぉぉ!!!」
スキルを発動しても、モンスターの勢いは止まらない。
何が発動したのか、なにが変わったのか。端から見れば何も変わっていない、何も起きていない。
変化が起きているのは僕の目の前。目の前に浮かび上がった複数の文字。そう、ただの文字。
【土下座して命乞い————※※】
【このまま逃げ続る————※※】
【身を低くし体当り————※※】
【死んだ振りをする————※※】
【※※※※※※※※————※※】
(なにこれなにこれなにこれェェェェ!?!?)
やっぱり何度使っても意味が分からない! どうすればいいのか分からない!
目の前に文字が現れるだけ! モンスターに攻撃している訳でも、身体能力が向上している様子もない。
今の状況に対応している文字ではあるけど、だからといってどうすればいいのか分からない。
(土下座して命乞い!? まさかそれを実行しろって!? そんな事したら踏み潰されてミンチだよ!)
というか邪魔! 半透明なので視界が閉ざされている訳じゃないけど、逃げ惑っている今の状況下では邪魔で仕方ない。
「なんで……なんでこうなったぁぁぁぁぁ!!!」
神童と呼ばれていた僕は、一転して無能と呼ばれるように。
三年も経つのに冒険者ランクを一つも上げられない、万年最低ランク。
授かったのは、誰もが羨むユニークスキル……なはずなのに。
「ハズレスキルがあるなんて聞いてないィィィィィィ!!!」
僕はモンスターに食べられないように、必死に逃げ続けるのであった。
➡【このまま逃げ続る————87%】
お読み頂き、ありがとうございます
モチベーションになりますので、宜しければブクマや評価、お願い致します
本日は数話投稿します




