第1-4話:勇者として立ち、魔王を倒し……
魔王軍の先鋒エンマ将軍を斃した後2年半をかけて全国各地の魔王軍を撃破し続けたオレは、ようやく魔王城下に迫るところまできた。ついに勇者対魔王直接決戦の刻が訪れたのである。
魔王城とは街道を挟んだ向かいの観音寺山に、既に魔王は支城を築いていた。三方を湖水に囲まれた山城である魔王城は既にそれだけで自然の要害として充分堅い立地であるにも関わらず、更にはこの支城の存在である。攻城軍-要するにオレ-は大いに頭を悩ませることになるであろう。魔王城を攻めれば観音寺山城から、観音寺山城を攻めれば魔王城から、いずれの城を攻めたとしても必ず、攻城側は挟撃を受けることになる。一方で、両城を同時に囲む兵力となれば、一体何十万の兵が必要になることか。そもそも魔王城は湖水の利用による補給路の確保が万全である。これを長期包囲するなどしては、逆にこちらの兵站が保たないであろう。だからオレ達は、短期決戦をこの魔王城-観音寺山城防衛ラインに挑まなければならなかった。
「魔道具『タンク』を曳けぇい」
オレが令すると大友義統-かつてはオレも御館様と呼んでいた人物その人である-が配下に下知する。義統と景勝が建てオレが承認した作戦の第一段階が始まった。
魔道具『タンク』とはつまり、21世紀流に表現すれば戦車である。オレの率いる勇者軍は、既にいくつかの戦場でこの魔道具を使用し、その威力をこの時代の者どもに十二分以上に見せつけていた。従って、今更いちいち細かい指示をせずとも「タンクを曳け」などというラフな命令一下、今や我が軍は攻撃準備に取り掛かることが可能であった。『タンク』を以ってまずは、敵の戦線を分断するとしよう。
オレの『タンク』は戦車とは名ばかりの、所詮は鉄骨製のシャシーに鋼鉄製の装甲を乗せただけの簡易なものである。4輪が取り付けられた-残念ながらサスペンションすらない-鉄骨製のシャシーにフロアパネルを敷き、その前方部分に直流モーターが据え付けられてーそう、『タンク』の主動力はお察しの通り電力だ-おり、モーターの動力はデファレンシャルギアを介して左右前輪を駆動する、この『タンク』はいわゆるFF車だ。わざわざ長いドライブシャフトを車体中央部に通す必要もないだろう。
運転席に当たる場所にはステアリングホイールと速度切替把手がついている。ステアリングホイールはラックアンドピニオン機構で前輪を左右に操舵する。また速度切替把手は前進1、前進2、停止、後退の切替式である。
「魔道具『バッテリー』を搭載せよ」
いわゆる鉛蓄電池だ。この国では、鉛がよく産出される。自然には硫化鉛として存在する鉱石を高温で製錬し一酸化鉛を得れば、後はこれを石炭で還元すれば金属鉛電極を、硝酸に溶かした溶液を電気分解すれば二酸化鉛電極を得られ、この2種類の電極を硫酸に浸してやれば鉛蓄電池の完成である。1個の『バッテリー』内にはこの蓄電池を6個直列に接続してあるので、『バッテリー』は概ね12Vくらいの電圧を発生しているはずだ。『タンク』の動力にはこの『バッテリー』を2直2並列接続-つまりは4個の『バッテリー』だ-を2組使っている。すなわち、速度切替把手の操作により『バッテリー』接続を切り替えることで、正転/逆転および12/24V-速度-の切替を行っている。
無論オレも、この貧相な動力とサスペンションすら無ければ無限軌道も無い動輪で、鋼板の装甲で覆われた『タンク』を各地に転戦させようなどとは考えていない。通常時の『タンク』は分解された上で牛馬により牽引されることを前提として設計している。換言すればこの『タンク』は現地組み立て式であり、4つの動輪と動力は前線での展開のみを目的に装備されているのだ。
『タンク』の組み立ては、だから比較的簡便に行えるよう配慮したつもりだ。まずE字型に成型された鉄骨製ピラーを3セット、シャシー前部、中部、後部の3箇所に-車体左側面から天面を通って右側面に渡るように-設置する。次に、シャシー最前部および最後部に、三角形に成型された鉄骨製ピラーを各2セット設置する。後は各ピラーに対して厚さ5mmの鋼板をボルト留めしていけば装甲版の取り付けは完了である。前後左右の4面についてはピラーの内側からと外側から2重に鋼板を貼り付けることで装甲を強化することにした。また正確に言えば各ピラーには傾斜を持たせた避弾経始としており、跳弾効果と同時に装甲板の実効厚を厚くしている。モジュラー装甲、と言ったら言い過ぎであろうが、いずれにせよ鉛玉を丸めた程度の16世紀の種子島では、100mmの空気層を間に挟んだ2枚の鋼板を打ち抜くのは困難であろう。
『タンク』の主武装は12mm6連装の魔道具『ガトリング』である。『ガトリング』は電動式であり、『タンク』の動力とは別系統の『バッテリー』に接続する。『ガトリング』への給弾は魔道具『マガジン』-60発の実包を実装した箱型弾倉-により行う。この『タンク』の乗員定員は3名、すなわち操舵手、射手、装填手である。装填手には『マガジン』交換の他に『バッテリー』の管理-横倒や液漏れ有無の確認-が求められている。まぁ、これがオレの魔道具『タンク』の全容だ。
「上様、魔道具『タンク』の用意が整いました」
義統が報告するところの「用意」とはすなわち、『タンク』外装の組み立て、『バッテリー』の搭載、『ガトリング』の設置、および乗員の搭乗までが全て完了したことを言う。義統と景勝が建てた作戦では、可動全40両の『タンク』を約100mおきに2列、全長約2kmに渡って配置することになっている。要は100mおきに重機関銃を配したトーチカが突如現れるようなものである。確か歴史によれば秀吉などは通称「一夜城」などと呼ばれる砦を墨俣や石垣山に築いたと言われるが、『ガトリング』を装備した『タンク』の車列はその比にもなるまい。
「上様、ご下知を」
オレの足元に跪いた義統がオレに進軍命令を求める。
「上様、今こそ勇者のお導きを」
同じくオレの足元に跪いた景勝が請う。そう、勇者たるオレが魔法を発動することにより初めて『タンク』は稼働する……という建付けだ。『バッテリー』と『マガジン』はオレが予め魔力を注入した魔道具てあり、オレが魔法によりその魔力を発動させる仕組みなのだ、という建付である。無論景勝も、本当はそのようなことをせずともタンクが動くことを知っているはずではある。しかし『魔王』という恐ろしい敵を相手に戦う兵士の士気を鼓舞に、この世の人に非ざる大いなる力と、『魔王』を斃すに相応しい大義名分を兼ね備えた『勇者』たる存在は、誠に便利であることを景勝も理解しているのであろう。進んで「勇者のお導き」などという表現を使ってくれることはありがたい。
「汝、明日より来たりし鋼の馬よ。我が意の元に雄々しく吠えよ! パンツァーフォー!」
いや、正直1回言ってみたかったのである。あの有名な「パンツァーフォー」を……それで最初の戦場でつい口走った結果……『タンク』の前進命令を出す度に叫ぶ破目になったという訳である。まぁ、21世紀の他の誰にも知られないのであるから、こっそりと使い続けることとしよう。とにもかくにも『タンク』の前進により魔王城と観音寺山城との連携を分断することに成功したのであれば、次は観音寺山城の攻略である。
「上様、そろそろ頃合いか、と」
義統の問いにオレは命を以って応える。
「魔道具『モールタール』の使用を許す」
『モールタール』すなわち迫撃砲である。無論オレには MOTOR と MORTAR の微妙な違いなど発音し分けることなどできないし、16世紀のこの国の者どもがそれを聞き分けることなど求めるべくもなかろう。間違って観音寺山城の攻略に電気モーターを持ち出されても前線では使いようもあるまい? 従って迫撃砲の方は敢えて『モールタール』と呼ぶことで『モーター』と区別するようにしている。
「上様のお許しである。『モールタール』を用意せよ」
義統の下知に続き景勝が檄を飛ばす。
「魔王の手下どもに勇者様の魔法を存分に見せつけてやれい!」
敵の籠もる山城にわざわざ下から白兵戦で攻め上がる以上の愚策と言えば、中トロを餌にサバを釣るくらいしかこの世に他に思いつかない。まぁ要するに、高い代償の割には実入りが少なく、かつ、効果の程が期待できないという訳だな。ともあれこのような場合、21世紀の軍隊であればみな同じ選択をするであろう。すなわち、火砲による徹底的な火力支援である。曲射弾道を描く榴弾であれば敵が山中に築いた石垣や土塁に妨害されることなく、山頂付近の木造建築物を破壊することが可能であろう。
『モールタール』は何といっても、その軽量さと手軽さがウリである。前装・落発式の榴弾は砲全部から榴弾を滑り落とすだけで発射することができるため操作と連射が容易である。また口径長が短いため射程は劣り、ライフリングもされていない自由落下式の砲弾のため命中精度も低くなるが、可搬性の高さや戦場での取り回しの良さを考えれば、16世紀の戦場にあっては取るに足らない欠点である。しかもこの場合、別にオレは観音寺山城の陥落を目的にしてはいない。景勝の言う通り、「圧倒的な火力」というものを敵に見せつけてやることが、この作戦の目的なのだ。
「汝、明日に研がれし紅蓮の刃。我が意の如く激しく燃え散れ! モールタール・サルヴォー」
前線で一斉に『モールタール』が火を吹く。早くも山頂の構造物が火を吹き始めたようである。かと言って、敵方には対処の仕様がない。観音寺山の地勢から言って火砲の類を山頂に装備することは困難であろうから『モールタール』陣地を砲撃することは叶わない。一方で下山して城外戦闘を敵が指向するのであれば、こちらは攻め降りてくる敵をその出口で待ち受ければ良いだけのこと。タンクを3台も回せば充分であろう。いずれにせよ勇者軍は、その損害の無いまま観音寺山城を無害化することに成功した。
その観音寺山城敗勢の戦況は、あるいは魔王城天守にある魔王の方がよく理解していたかもしれない。あの天守閣からの眺望の良さを、後にオレは知ることになる。
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「うぬが『勇者』を名乗るうつけ、であるか?」
魔王が誇る魔王城天守最上階で、オレははじめて魔王と対面した。
「オマエが『魔王』か?」
上座に位して発する魔王の問いにオレは問いを以って応える。
「いかにも。余がこの国を統べる魔王である」
天守最上階の楼観からは、観音寺山頂に築いた支城の様子がありありと伺える。どうやら『モールタール』は予想以上の戦果を挙げたようであった。この光景は、これから始まる魔王との交渉にあっては有利な材料となるであろう。そう、オレはここまで魔王城を攻め上がってきたのではなかった。一時休戦を申し込んだ上で、会談のためにここを訪問したのである。
オレはその楼観に立ち止まったまま、観音寺山に視線を向ける。もう既に交渉は始まっているのだ。相手が上座に坐するのであれば、こちらは立っている方が相手を心理的に圧迫できよう。尤も流石に魔王もそこは心得ているものか、泰然自若とオレを見つめている。右頬に魔王の灼けつく視線を感じ乍らも、オレは無言を貫く。こういう時は、先に口を開いた方の敗けなのだ。やがて静寂に耐えかねたのであろうか、上座に位する魔王が先に問うた。
「うぬは何用でここまで罷かり越した」
「オレの魔法……」
そう言ったオレはしばらく魔王と視線を交わした後、再び視線を観音寺山に向ける。
「うぬの『魔法』……であるか」
吊られて視線を送った魔王も、観音寺山の惨状を再認識したことであろう。それも、今や目の前にいるオレの手によるもの、として……『勇者』の使う『魔法』という建付けは、どうやら『魔王』にも相応の効果を発揮したらしい。ここでようやくオレも下座に坐する。無論、平伏などはしない。
「あぁ」
そう一言発したオレは左膝を立てたまま床板に尻をつける。や否や右手を左懐にやり、親指で素早くセーフティーを外しつつ、抜きざまに人差し指で引き金を引いた。同時に床の間に据えられていた壺が派手な音を立てて飛散する。あるいはこの壺は後世に遺すべき逸品の類であったかもしれないが、これも交渉なのだから仕方あるまい。もし決裂となればオレの『モールタール』は、恐らくはこの城中にある銘品珍品の全てを破壊し焼き尽くすに違いないのだから。
しかし流石は魔王を名乗るだけのことはあり、その胆力はなかなかのものだった。左右に侍る臣下どもが左腰に手をやるのを視線だけで抑えるや、オレに問うてきた。
「それは?」
魔王も理解しているのであろう。オレの使う『魔法』であれば護衛の者どもなど瞬殺できる、ということに。しかし、魔王の発する声には、内心の怒気と畏怖を抑えることに成功した冷徹な響きとは、何か別の成分が多量に混じっているようでもあった。何しろ、その声を発した当人の両目が輝いているのである。新しいモノ好きに特有の、内面から湧き上がる興奮を抑えきれないといったような、あの輝きである。
「魔道具『ハンドガン』」
そう言ったオレは再び、今度は左手を右懐にやる。左右の者に再び緊張が走る中、オレはもう1丁の『ハンドガン』を取り出すや、それを魔王に向けて床板の上を滑らせる。
「これが……」
魔王は『ハンドガン』を手に取ると、まるで新しい玩具を与えられた子供のような目つきと手つきでそれを弄り始める。最初は引き金を引き、更にはスライドに手をかけ、ようやくセーフティの存在とその意味を察したものか、セーフティーを外した後で改めて引き金をひく。右手の『ハンドガン』を懐にしまったオレに、魔王が再び問うてきた。
「火縄が無ければ発射も適わなかろう?」
魔王は床板を滑らせて『ハンドガン』をオレに返す。
「あぁ、オレの魔力が無ければ発動はしない」
それを拾い上げたオレはマガジンリリースを押してマガジンを引き抜くと、左腰に用意していた予備マガジンをセットする。左手でスライドを引いた後再び引き金を引くと、かつては銘品と謳われたであろう哀れな「元」花瓶が砕け散った。
「この『ハンドガン』は、な」
「それがうぬの魔法、であるか?」
発砲したばかりの銃を懐にしまうのであるから、そしてそれは、懐に隠せ室内で取りまわせるほどに小型化されていながらも充分な威力を発揮するのであるから、この時代の者であれば例外なく、魔法以外にそれを理解する法を持たないのであろう。例え魔王であっても……
「あぁ、これが勇者の魔法だ。だが魔王よ。オマエも魔王と名乗るからには、何か魔法を使えるのだろう?」
敢えて狡猾な質問をする。「魔法を使えぬ」とあらば既に、魔王は魔王たる理由を失うことであろう。一方で、魔法を使えると主張するのであれば、この場でそれをオレに実証してみせねばなるまい。丁度、ただ今オレが『ハンドガン』の実射をしてみせたように。
「余にも無論、余にしか使えぬ魔法がある」
意外なことに魔王は、あるいはオレの計略に気づいたものであるのか、自分にも魔法が使えると言い始めた。そしてどうやら魔王の言う魔法とは、要は彼の人心掌握、人財登用、組織構成、外交戦略、戦術構築、殖産興業、その他およそ、人を動かし社会を動かすに足るその発想のことであるらしい。確かにこの時代にあって、家柄に拠らない実力主義の人事評価を行い、適材適所にそれを配して全国を支配しようなど、それらは余人の誰にも他には思いもつかないことであったろう。それらは正しくこの時代における『魔王』の『魔法』に違いあるまい。「魔王による世界征服」は、この時代のこの国にあっては正に、実現一歩手前であったのだ。勇者さえいなければ……
「はっはっはっ!」
可笑しくなって吹き出したオレに魔王は真顔で異議を唱える。
「何がおかしい?」
仕方がないのでオレは解説してやることにした。
「だってそうだろ……魔王の使う魔法とは要するに、インチキ占い師といかさまカウンセラーとまやかしコンサルタントが、よってたかってこの時代の純真な者どもをペテンにかけてるようなもんじゃねぇか!」
恐らくは、オレの言葉の半分も魔王は理解しなかったであろうが、しかし何を謂わんとするのかは直感したらしい。少しくムッとした表情を見せる魔王に、オレは続けて言い放った。
「だがな、魔王。オマエのインチキとオレのパチ物をミックスしたら、面白くなりそうだとは思わないか?」
魔王の魔法はどちらかと言えば人文科学に属するもの。対するオレの魔法とは自然科学に属するものであろう。勇者と魔王が組めば常勝無敗の支配者たり得る所以である。
「なぁ、魔王。そもそもオマエは何故、魔王なんかをやってるんだ?」
オレは直前までは魔王が「人殺しが快感」だとか「弱者を甚振るのが趣味」とか「女を嬲るのがいきがい」とか、そのようなことを言うものだと思い込んでいた。無論、そうであればオレには全面衝突しか他に選択肢があり得なかったであろう。この会談は決裂し、オレはこの魔王城にオレの持てる全ての火力を投射し、結果としてこの城にあるこの国重代の芸術品はみな灰燼に帰ていしたことであろう。
「天下布武」
しかし魔王は、この会見中にオレに見せた中で一番の目力をもってオレを魅せた。民を虐げることも、殺すことも、奪うことも、それらはみな魔王の望むところのものではないらしい。そうであれば結論はひとつだ。
「どうだ、魔王。オレと組まないか?」
この時の魔王の声には、その表情に表れる以上に愉悦の成分が多量に含まれていたに違いない。
「是非もなし」
こうしてついに、勇者は魔王を降した。それはオレが勇者として立ってから、もうすぐ6年になろうとする年のことであった。
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魔王を降したオレには、残念ながら野に下り隠遁生活を送るという選択肢はなかった。宗麟のご隠居様や御館様の義統がオレにつき従って全国を転戦した理由がオレに隠遁生活を送らせるためではないことを、無論オレはよく知っている。彼らの功には厚く報いてやれねばなるまい。また、今ではすっかりオレの僕となってしまった「元」魔王を、オレはよく飼いならしてやらねばなるまい。そうでなければ早晩、この国の民どもは「魔王復活祭」を祝うことを余儀なくされようから。
しかしその最大の理由は、オレが魔王を倒してしまったことそれ自体にある。これまでは、例え魔王は魔王であるとは言え、それなりの法則に従い世界を支配していたのだ。しかし、権力の空白は他の権力が埋めることは歴史の常識であり、それが故に更に争いが続くことは、歴史がまたこれを証明している。そして仮にそうなれば、この国の民どもはきっとこのように思うに違いない。「魔王による支配のほうがまだましであった」と。
だから、魔王を倒した勇者には、野に下るという選択肢は与えられないのである。これからオレは勇者として、魔王に替わってこの国を支配しなければならないのだから。勇者として生きた魔王を倒したオレは、せめて今後は、魔王として死さないように注意することとしよう。かつてあのヴァリニャーノ神父がオレに与えた予言のように。