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SNSで紡ぐカオスノベル / クリスマス・プロテクションスクランブル!!  作者: アイティ
クリスマス・プロテクションスクランブル!!
5/48

湖はきれいだね。湖は。


 ここはハムタロさ……じゃなかった。

ハロタム山の中。騎士さんたちの情報によると、

この森の奥地にクリスマスの破壊者(笑)がいるらしいです。

世界の基盤を崩すとなると、場所としてはあそこしかありませんが……。

と、見当を付けながら創さんとクリムさんとで山道を歩く中、

あらかじめスペルさんから渡されていたトランシーバーに連絡が入る。


〈こちらスペル! 今ほかの騎士からの連絡が入ったけど、

 さっきのヘンテコ集団の一人を宇宙に葬り去ったんだってさ!〉


そのおかげで、考えていたことが一瞬だけ吹き飛んだ。


「葬り去ったんですか!?」


「う、宇宙って、だいぶすごいことやってるんね……」


「まぁ下手すりゃ宇宙どころか世界まで超えますけどね。

 ところでクリムさん、その……だいじょうぶでしょうか?」


クリムさんは見るからに息切れを起こしている。

というのも、私たち二人が全力でここまで走り、

それに追いつくように走ってくれたからなのだろうが、

なぜ包丁を手に持ちながら走るのか、怖くて仕方がない。


「だいじょうぶだいじょうぶ……、

 これでも魔王、これぐらい……ふふっ、余裕。」


「余裕なら、私の裾を掴まないでくださいよ……。」


……あのヘンテコ集団の中で名乗っていたにも関わらず、

妙にクリムさんを信頼できる安心感があるのはロゼのせいだろう。

おかしい人ほど愉快で心強いとかいうイメージが定着しつつある。

本気でこの人がクリスマスを阻止しようとしているのかはさておき、

もしクリムさんが創さんを襲おうものなら、その時は___


〈あー、話の続きをするよ?

 森の中にさっきのやつがいるといったけど、

 さっきロアからの情報で場所がわかったんだ。〉


「それで、その場所は?」


〈シュタールレイク……通称、救いの湖と呼ばれるところだね。

 伝承によれば、そこを通じて別世界につながっているようだけど……〉


「やはり、そこになりますか……。」


世界の基盤。それは、この世界を支えている柱のようなもの。

この世界、アロディルデは他の世界の魔力、神の力などで成り立っている。

それを供給しているのが他でもない、世界の基盤と呼ばれる場所である。

いわば、世界の基盤は電源コードのようなもので、

それを破壊されたら、この世界は維持できなくなってしまう、らしい。


「やはりってどういう……。」


「ロゼの耳より情報ってやつです。

 とにかくいきますよ、早くしないとマズいことになるかもです。」


「そう、なんですね……。」


「私には何が何やら。」


異世界にも、機密情報というものがあります。

創さんが知らなくても、私はいろいろ知っているのです。

この世界を守るためのカギとして……、

それと創さんと一緒にいられるための、最終手段として。



<>


しばらく山の中を進み、

私たちはシュタールレイクにたどり着いた。

静かな森の雰囲気、ちゃぷちゃぷと聞こえる水の音。

月明りが水の表面に反射し、幻想的な風景を生み出している。


「わぁ……大きな湖やねぇ。」


「ここに、さっきの人たちの誰かがいるんですかね?」


「そのようですが……それらしいのはいませんね……。」


さっきのクリスマス破壊するとかなんとか、

そんなことを言っていたヘンテコ集団の中にいた人は見当たらない。

隠れているのだろうかと目を凝らして周囲を見渡していると、

近くの茂みから、ごそごそと音が鳴った。


「!? 誰ですか!?」


茂みのほうに体を向けて声をかけた。

すると、茂みの中からダンディーな顔つきをした、

いかにも強そうな狩人が【猟銃を抱えて】出てき……あれ?


「おう、創たちか。だいぶ早かったな。」


「ろ、ロアさん、驚かせないでくださいよ……。」


「ん? 創たちと知り合いなの?」


「ああ、俺はアロディルデ七騎士の一人、アーチェル・ロアだ。

 あんたとは初対面だな。じゃまず最初に言っておくが、

 騎士なのに銃使うのかっていうツッコミはしないでほしい。」


「……何の話ですか?」


とりあえず、ロアさんのことはスルーしましょう。

この人と話していると、なんだかワイルドな気分になりますからね……。

というかロアさんが持っている銃、やけに古くなりましたね。

ちょっと前まではスナイパーライフルとか使っていたのに……。


「それでロアさん、標的はどこに?」


そういうとロアは周りをキョロキョロみつつ、

茂みの中に入り、私たちに向かって手招きをしてきた。

どうやら、茂みの中へ案内したいようだ。

創さんと顔を見合わせながら、ゆっくりと静かに茂みに入る。

しばらく進んでいくとロアさんは立ち止まり、

茂みを手で避けつつ、双眼鏡で湖の方を見始めた。


「……おそらく、あいつがヤツだ。」


「あいつって……? ど、どれです? あれですか?」


「【あそこで優雅に泳いでいるのは……、

  鴨かもアヒル?】 なんだか、かわいいね。」


みんなが一点に集中して見ているのは、謎の存在……。

肉眼でも確認できました。あれは鴨でもなければアヒルでもない。

鳥の被り物をした何者かが、水面上に首だけ出しているだけです。


「……あの、ロアさん、さっさと打ち抜いちゃってください。」


「いや、すでに俺は撃ったあとだ。」


「撃ったんですか!?」


「だがヤツは水面の揺れなしで俺の弾をよけやがった。

 アイツは、俺の弾を……俺のバレットを無駄にしやがった……!!!」


ロアさんは悔しそうに歯ぎしりしながら言った。

まぁ、そこまで言うのですから、ふざけているわけではなさそうですね。

百発百中とまで言われるロアさんの銃弾を、避けるだなんて……。


「とにかく、あれをどうにかすればいいんやね!」


そう言ってクリムさんは茂みの間から、

持っていた包丁を投げナイフのようにぶん投げた。

ナイフは鳥の被り物をしている何者かにむかって一直線。

そのままの勢いでその人物に当たった、ようにみえた。

残像のように、ナイフは体をすり抜け水の中に落ちた。


「がっ、なかなか手ごわいようやね……。」


「い、いきなりナイフ投げないでくださいよ!?

 びっくりしちゃったじゃないでいですか!?」」


「そんなこといっても創ちゃん。

 小さい弾じゃ当たったかどうかわからないし、

 私のナイフじゃないとあたらないと思うんだけども……。」


「いま俺の腕をディスられたような気がしたが気のせいか?」


「気のせいじゃないですが、

 今はそんなこと言ってる場合じゃないです。」


私たちが変に騒いでしまっていたせいなのか、

鳥の被り物をしていた人物が、こちらに顔を向けていた。

その人物は、かぶっていた鳥の被り物を外し、

静かに、その場でゆっくりと体を浮き上がらせる。


「あ、あの人って……。」


黒パン一枚の黒いマッスルボディ、

いかにもなTHE変態ポーズで変態漂わせる変態……。

あの人は、さっきの謎の名乗りで特に印象に残ってます。

ある意味で、あのメンバーの中で一番強敵かもしれません……!!


「性癖デストロイ、マスル……。」



次回は4/9日の22時に投稿します。

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