44話 星《ポイント》を与えることしか出来ない令嬢はちゃんとよんだ
この作品は空野奏多様の企画『ブルジョワポイント評価企画』参加作品です。
他にも多数素敵な企画参加作品がありますのでよければお読みください。
あとがき下に空野様の活動報告へとべるリンクがあります。
「あなたも星をくれないのでしょ? リイダはきらいよ。星をくれないのだもの」
「あなたの物語。よんだわ」
ぴくりと銀髪の女の肩が揺れる。
「どうだった?」
「え? つまんない」
女の目が大きく開かれるのも構わずヨミは言葉を紡ぐ。
「何が言いたいのか分かんない。ただ過激な出来事と過激な言葉を連発しているように感じる。あと、多分、他の物語から引っ張り込んで、その物語を使って、かこうとしたりしてるよね。ずっと続けるためにそうした? 他のライタを馬鹿にするために? 設定や過激なのは別に構わないわよ。そういうものアリはアリだとは思う。けど、主人公を始め、ほとんどの登場人物に感情移入できない。で、それを殺してばんざーい。っていうのを何百も続けて、正直飽きた。何が言いたいの?」
「あああああああああああああああああああああああああああああああ! やだやだやだ! つまんないつまんないつまんない! わ、わたしは……! 」
「少年じゃないの?」
「……!」
その言葉を聞いた瞬間、銀髪の女は怯えるように肩を震わせた。
闇の夢には一人の少年が登場する。
彼は、いつも善行を心掛けていた
けれど、この街では善行など無意味。
見返りもなく、感謝の言葉もなく、彼の善行はただ奪われた。
何度も何度も何度も彼の善行は無駄になった。
多くのよむひとは彼のその様を笑っていたかもしれない。
けれど、ヨミには彼こそが……。
「あなたは、信じてるんじゃないの? どんなに闇が深くても、きっと光があるって……物語にも、世界にも、あなた自身の中にも」
それはヨミが虚言霊の黒い言霊に襲われ、絶望の夢を見た時、幼い頃の自分自身に迫られた時だった。
『「きらいだよ、わたしをきらうせかいなんて。きらいだよ、わたしをくろくするせかいなんて」
少女は、深い真っ黒な目で見ていた。
「せかいなんてきえればいい」
少女は、ヨミは、そう言った。
そして、手が伸び……』
その手を伸ばしてきたのは少年だった。
瞳に輝きを宿す少年。
ヨミにはその時、誰か分からなかった。
けれど、この中で、この虚言霊の中をしっかり見つめていて見つけたのだ。
あの少年の姿を。
彼はヨミをとんと、あの絶望の世界から押し出してくれた。
「な、んで……?」
「え? ちゃんとよんだら、分かるよ、そういうの」
ヨミは美しい濡羽色の髪を垂らしながら何を言ってるのだと首を傾げる。
「私はね、そういうの好きだよ。だからね」
ヨミは微笑んで、掌から星を生み出す。
彼女が出来るたった一つの魔法。
「あげるわ。星……一個だけね」
悪戯っ子のように笑うヨミの手から星が離れる。
その星はゆっくりと銀髪の少女の元に辿り着き、
「う、うわあ……わああ……あ……綺麗な星……星、ありがとお」
決して闇の夢に星が与えられていないわけではなかった。
けれど、どこか彼女の求める輝きとは違ったのだろう。
黒い輝きは消え、たった一つの星の輝きが世界を照らした。
大事そうにその輝きを抱きしめた彼女は光と共に消え、闇の夢は終わりを告げた。
お読みくださりありがとうございます。
連続更新ですみません。一か月完結目標の為連続投稿お許しください!
今日は時間切れでここまで……!
明日最終話更新します……!
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そして、空野奏多様の企画『ブルジョワポイント評価企画』には他にも様々なジャンルでポイントの大切さを訴えた素敵な作品がありますので、下のリンクから企画内容をお読みいただき、是非他の作品も読んでみて下さい!





