33話 星《ポイント》を与えることしか出来ない令嬢は闇の夢なんてよんでない
この作品は空野奏多様の企画『ブルジョワポイント評価企画』参加作品です。
他にも多数素敵な企画参加作品がありますのでよければお読みください。
あとがき下に空野様の活動報告へとべるリンクがあります。
「掻い摘んで説明すると、はるか昔、『闇の夢』という言霊が大流行したのじゃ」
アティファがここまでの発掘で分かったことをヨミ達に説明していく。
「その言霊はかなり過激な内容で、復讐者と化した主人公が残虐の限りを尽くしながら世界を滅ぼすという内容らしい」
「それはまた……ちょっと読むのが怖いですね」
クエスが苦笑いを浮かべながら口を開く。
「その過激さと内容がかきなぐったようなものだったが故に、よんだ者たちも賛否両論、荒れに荒れたそうじゃ。そして、その過程で粗悪言霊を越える黒い言霊……わしはこれを虚言霊と仮に名付けた……が生まれた」
「虚言霊……」
スクリムが相変わらず他人事のようにつぶやく。
「その、虚言霊だが、みんなは知っての通り、我々魔族を生み出す。取り込んだ言霊を、これまた取り込んだ人間に植え付けるようだ」
「なんで、そんなものが?」
ラファの説明に、レイが絶望を顔に浮かべながら問いかける。
「ライタファザルの資料と、ライタ=ニ=ナロウの発掘した言霊を照らし合わせたところ、『闇の夢』のライタの復讐のようじゃ」
「復讐?」
イストが祈りを捧げながら、アティファの言葉を繰り返す。
「何かの理由でリイダ、古代語だと『光を導く者』じゃな、を恨んでいた。それで、リイダを、そして、リイダの本拠地であるライト=ヲ=ヨモウを壊滅させることを願ったようじゃ」
「な、なんでだよ!」
シジェラが赤い瞳を悲しそうに揺らしながら問いかける。
「理由は……まあ、なんとなく想像はつく。それより、そこからややこしくなるのが、共にリイダを滅ぼしたい者がいたことで物語が大きく歪められたというところじゃ。その者の名は、フディー=カクモン。後に、フディー=ライタファザルと名乗り、ライタ至上主義の国の王となる男であり、リイダの歴史を塗りつぶした男じゃ」
「フディー=ライタファザル……その男のせいでヨミ様達リイダは……!」
エシルが憎々しげに吐き捨てる。
「ライタファザル王家は『闇の夢』の魔導書を管理していた。有事の際は、使うつもりだったのかなんなのか……。虚言霊は、人の悪意で生まれたように、悪意を餌として巨大化していく危険なものじゃというのに」
「なるほどな……さて、じゃあ、なんとかしようか、あの化け物を」
ハインリヒの視線の先には、はるか先にもかかわらず、恐ろしい黒い魔力を放つ小山ほどの黒い言霊が浮かんでいた。
「闇の夢……」
ヨミの黒い瞳よりもさらに深く黒い言霊が全てを飲み込もうと蠢いていた。
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