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11話 星《ポイント》を与えることしか出来ない令嬢は国の状況がよめない

この作品は空野奏多様の企画『ブルジョワポイント評価企画』参加作品です。


他にも多数素敵な企画参加作品がありますのでよければお読みください。


あとがき下に空野様の活動報告へとべるリンクがあります。

その日、ブクムントの城では兵たちがせわしなく働き続けていた。

敵襲である。相手は


「魔族?」


ヨミは、流石に異常事態を理解してか言霊(スペルスピリ)から目を離して、説明に来たクエスの方を向く。


「ええ。知っての通り、魔族は、我々とは違う肌の色、瞳の色、そして、人間離れした力を持つ種族です。その魔族の集団がこの国に向かっているそうなんです」


クエスは、魔族に関する【思想(エッセ)】の言霊(スペルスピリ)を呼び出し、ヨミに見せる。ヨミは真っ黒な瞳をせわしなく動かしよみながら尋ねる。


「なんでまた?」

「元々、年に何度か襲撃はあったんだ。けれど、今回のは規模が違う。三百人以上の魔族。人間で言えば、千と言っても構わないだろう」


クエスと共にやってきたハインリヒが今度は答える。


「そんな……どうして?」

「今の我が国の発展の早さを知ってでしょうね」


ブクムントは今、この大陸の中で最も勢いのある国として各国から良くも悪くも注目されていた。


「今、ブクムントは【光を紡ぐ者(ライタ)】と言霊(スペルスピリ)の総数も増加量もトップクラスだ。つまり、国力も上がり続けている」

「ヨミが星を贈り続けたことで様々な言霊スペルスピリが注目を浴び、他の【闇から見る者(リイダ)】も頻繁に星を送り始めました。それによって、競争意識も芽生え、技術の向上や研究が進み、神域(ランキング)に入る我が国の言霊(スペルスピリ)が増えましたし、何よりやる気に満ちたライタが多数います」


ヨミはやはりただ言霊(スペルスピリ)を探してはよんでいただけなのでピンとはこなかったが、時折、ハインリヒに城を追い出されて、街に行かされると、街の人々が前の国に比べ明るい表情を浮かべていたのでそういうことなのだろうと思った。


「しかし、それが仇となって、三百もの軍勢を送ってくるとはな……」

「勿論、ヨミを戦わせるつもりはありません。しかし、」

「しかし?」

「お前の、義弟が、前線に向かった」

「ああ……」


ヨミは義弟が故郷の騎士団の副団長を止めてまでこちらに向かっているというのは、義弟から届いた大量の手紙で知っていた。


「恐らく、あなたが巻き込まれたらと進路を変えて魔族撃退を優先したのでしょう」

「あいつの力と性格は厄介だ。何かあれば俺達が守る。だから、付いてきてもらえないか?」


ヨミの義弟は姉であるヨミを溺愛していた。

ヨミがいれば世界に何もいらないと言い出した時には、言霊スペルスピリがないと困ると本気で返したが、やりかねないくらいヤバい義弟だとヨミは知っている。

しかし、ヨミの言うことは聞くのだ。

それを前の国の学園では誰もが知っていた。


「気が進まないけど……分かったわ」

「ヨミが傷つくようなことがあれば自害して詫びます。いや、むしろ、ヨミに斬って頂きたい」

「あ、うん」


こちらに来てクエスともよく顔を合わせるようになってから、ヨミは気づいたことがあった。

クエスもヤバい奴だ。

クエスがヨミに話しかけた時、ヨミは言霊スペルスピリをよむのに忙しいからと断ったのだが、そのあと何とも言えない幸せそうな表情を浮かべていた。

と、ハインリヒから言霊(スペルスピリ)をよみながら聞いた。

あと、クエスの新しい言霊(スペルスピリ)にヨミが星を五つ贈った時、寂しそうな顔をしていた。

と、ハインリヒから言霊(スペルスピリ)をよみながら聞いた。

クエスは、昔ヨミに星一つしか付けられなかったことに言い知れぬ快感を覚えたらしい。

と、ハインリヒから言霊(スペルスピリ)をよみながら聞いた。

まあ、言霊(スペルスピリ)よんでるだけで向こうが喜ぶんなら別にいいんじゃないか。

と、ハインリヒに言霊(スペルスピリ)をよみながら言った。


真顔で、ヨミに自分を斬れというクエスにハインリヒは溜息を吐く。


「もういい。急ぐぞ。早くしなければ、言霊(スペルスピリ)が奪われ」

「王子、それはここでは……!」


真面目な表情でヨミに迫っていたクエスがぎょっとハインリヒの方へ向く。

そのクエスの横で、魔王が誕生しようとしていた。


言霊(スペルスピリ)が……なんですって?」

「あ、あのな、ヨミ」

「端的に、一〇文字」

「マゾク、スペルスピリ、トル」


一文字超えたがヨミにとってどうでもよかった。


「何を! やっているんです! さっさと支度なさい!」


蜘蛛の子を散らすようにクエスとハインリヒが飛び出す。

そして、城内の兵士に指示を必死で与え続ける。

その日ヨミを見たものは、夢に言霊の悪魔が出てきたという。





思想(エッセ)】の言霊(スペルスピリ)

『古の民と魔族と只人』

☆4つ。

【アティファ】作。

古代文明の調査から読み取れた魔族と只人の関係性を論理的に語った言霊。

只人と異なる肌の色、瞳の色、そして、力。

何が異なり、何が共通しているのかを的確に、それでいて、例えも使いながら分かりやすく説明している。魔族について知る入門編としては読みやすいかもしれないが、表面的なものに収まっている印象。Byヨミ


お読みくださりありがとうございます。


いつも通り予定話数を超えそうです。ああ……1000字20話ってなんだったんだ。


少しでも楽しんでいただければ何よりです。


また、☆評価やブックマークをしていただけるとありがたいです。


よければ、今後ともお付き合いください。


そして、空野奏多様の企画『ブルジョワポイント評価企画』には他にも様々なジャンルでポイントの大切さを訴えた素敵な作品がありますので、下のリンクから企画内容をお読みいただき、是非他の作品も読んでみて下さい!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔族じゃなくてマゾがいるー ……マゾなのか?星5もらって寂しい…………うん、マゾだね [気になる点] 魔族じゃなくて魔王がいるー 魔族の目的はスペルスピリをとって、魔王に献上することなんだ…
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