四話 序盤エリアに隠しダンジョンがあるのはよくあること(多分)
「はあっ!」
【ダンジョン】内の第一層。
そこにある洞窟内で、声と共に、棍棒が振るわれ、スライムが叩き潰される。そして、潰されたスライムは、そのまま塵となって消えていった
よしっ、と心の中で呟くのもつかの間。次のスライムが襲い掛かってきた。
「くっ、そう!!」
そんな声をあげながらも、十護は棍棒を振るう。
他の魔物ならばいざしらず、スライムの相手だけはこの半年間、馬鹿みたいにやってきた。ゆえに、この程度で負けるわけがない。
「これで、最後だ!」
とびかかってきた最後のスライムをそれまでの連中と同じように、棍棒で吹き飛ばす。
戦闘終了。
それと同時に、聞きなれた奇妙な声が、十護の頭に響き渡る。
――――――レベルが1上がりました
レベルアップの知らせ。
それを聞いた少年は、大きく深呼吸をしながら呼吸を整えていた。
「今度こそ頼むぞ……ステータスオープン!!」
久々のレベルアップに少しの期待を持ちながら、十護はステーテス画面を開いた。
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佐倉 十護 十八歳 男 レベル:11
攻撃力:E
守備力:F
俊敏性:E
幸 運:F
魔 力:無
スキル:【???】(条件を満たしていません)
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「はぁ……」
思わず、溜息を吐いてしまう。
レベルは確かに上がった。だがしかし、スキルが未だに開放されていない。
本来、冒険者になった時点で最初のスキルは解放されるもの。そして、レベルアップをするにつれて追加のスキルを解放することができる。
しかし、十護にいたっては、最初のスキルすら解放されていない。
「冒険者にとって、スキルは己の最大の武器だっていうのに、何で僕は未だに開放されないんだろ……」
どんな冒険者も初期からスキルは持っている。それが未だ一つも使えないのは、十護くらいなものである。
「おかげで、レベルを上げようにもこうしてちまちま弱い相手をするしかない……はぁ」
強い魔物を倒せば、それだけレベルが上がるものだが、しかしそれを倒すのに必要なスキルを十護は使えない。だから弱い魔物を相手にするしかなく、半年が経過しているというのに、この有様だ。
通常、半年も冒険者をやっていれば、レベルは三十前後にいくのが普通らしい。
その三分の一どまりなことから、十護がどれだけ出遅れているのかは明白だ。
「解放条件だけでもどうにかして分からないかなぁ」
特定の条件で解放されるスキルは、珍しくない。
ただ、初期段階でのスキルで条件付きは皆無。普通は何もしなくても、冒険者になった時点で扱えるようになるはずなのだ。
しかも、解放条件が分からないとなれば、もうお手上げとしか言いようがない。
などと考えていると。
「……あれ? こんなところに道なんてあったっけ?」
などと、見知らぬ洞窟の道を見ながら、十護は首を傾げた。
十護はこの第一階層の洞窟エリアに半年以上も通っている身だ。ここには自分でも倒せるスライムが大量にいるため。
ゆえに、ここのエリアについてはそれなりに把握しているはず。
そして、その上で言わせてもらうのならば、こんな場所にこんな横道は存在していなかったはずだ。
「……ちょっと行ってみようかな」
怪しいのは百も承知。しかし、人間は時に好奇心に勝てないものである。
そして、十護はそのまま横道を進んでいくと、待っていたのは……。
「うわ、広いなぁ……」
視界に入ってきたは、これまた大きな空洞。
出入口はどうやら十護が通ってきた一つしかないらしく、他に抜け穴は見当たらない。
そして、最も特筆すべき点があるとすれば、中央に突き刺さっている『何か』だろう。
「あれは……剣……いや、刀かな。かなりボロボロだけど」
近くによって見てみると、その惨状具合がさらにはっきりとしてものとしてみれる。刃こぼれがどうのとかの問題ではない。この刀は明らかに死んでいる。
「もしかして……ここって誰かのお墓だったりするのかな?」
よく、死んだ人間の武器を墓標代わりにすることがあると、聞いたことがある。きっと、これもその類だろう。
(とりあえず、手を合わせておこう)
誰の墓かは分からないが、それでも勝手に来てしまったのは事実。
とりあえず、謝罪の意味も込めて手を合わせようとしたその瞬間。
『―――少年。力を欲するか?』
突如として、背後から声がした。
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