僕、受験する事になりました
「よいしょっと。いいよ、父さん」
僕は積み荷を荷馬車に乗せ、父さん『村一 強(36)男』に声をかける。村一番の働き者で村のいろいろな仕事をもらってくる父さんは、今日も村で仕事があり、朝から村に行ってくるのだ。ここは村から馬車で20分ぐらい離れているので、父さんは仕事がある日は、日が上るちょうどこの時間帯にいつも家を出る。
「おう、行ってくる」
僕は、そんな父さんを見送り家に入る。
家に入ると、静かなリビングがある。朝はいつもこうだ。キッチンに立つと、朝ごはんを作り始める。今日は、パンとサラダ、スープにする。
作り終わる頃、リビングに四つの影が入ってくる。
「おはー」
眠そうに挨拶をするのは、母さん『村一 真夏(36)女』。いつもこうだが、一応昼間は、家事をしてくれる。僕にとって、朝もしてほしいが・・・。
「おはーよー」
この人は、姉さん『村一 夏(16)女』。今は高等学園一年。成績優秀で気の効く優しい優等生だが、家ではダメ人間。ずっとだらだらしている。
「「おはよう!!」」
この二人は、双子の『村一 三月(8)男』と『村一 二月(8)女』。成績はまあまあ、運動もまあまあ。しかし二人の連携はすごい。動きと考えは、絶対に揃っている。
僕は『村一 成玄(12)男』。成績はよく、運動もできる。家族の中で一番指示を出している。
この六人でいつも暮らしている。
「父さんはもう仕事にいったよ」
「いつも早いわねー」
「ほんと、もう少し休んでもいいのにねー」
「姉さんは今日、母さんと買い物に行ってきて」
「えーー、私が?」
「「二月と三月はなにすればいいーー?」」
「兄ちゃんの手伝いかな」
「「はーーい!!」」
席にみんなが座ると、休みの日は、いつもこんな風に僕が指示をだす。いつも疲れるけど・・・。
「あと1ヵ月で、二月と三月は小学園3年生、成玄は中学園、夏は高等学園2年生かーー」
「母さんはもう少し大人になってくれ」
「えーー、もう大人でしょう?」
「子供に家事をやらせるな」
「はい、ごもっともです」
「まあ、学園が休みじゃない時は頑張ってくれてるからいいけどさーー」
僕はそう言いながら、食器を片付ける。
「いい旦那になれるな」
「そうね、夏」
姉さんと母さんが変なことをいっているがきにせずに食器を洗い始める。
そのあと、母さんと姉さんが買い物に行くと、家の隣の井戸で服を洗い始める。
「三月~~待て~~」
「捕まえて見ろ~~」
二月と三月が遊んでいる。それを見て僕は微笑む。この時間が一番いい。ちょうど洗濯が終わったころ、変な気配がした。
「二人とも、一度家に入ろうか」
僕は二人を家に入れて、戸締まりをする。そして、片手剣を持って外に出る。
この世界では魔物がいて、危険な所がいっぱいある。森や山、洞窟など。魔物は魔素の濃度が高い所(人間が余り住んでいない所)によく生成される。
人間は魔素を取り込んで魔力を作り、その魔力で魔法を使う。魔物は、魔素で生成されるか、生命体が魔素を取り込見すぎるとなる。
「今回は、ゴブリンが3体か」
ゴブリンは人間を食べる。女性が相手なら、いやと言うほどひどく犯して食う。嫌われ者。複数ゴブリンがいるなら連携をとってきてかなり厄介。でも、数体なら僕でも・・・。
「豪腕流『斬』」
今使ったのは、父さんに教えてもらった剣術だ。僕らの、先祖が伝えてきた重い斬撃で相手を切る流派。
近付いてくるゴブリンのうちの1体の首を切り飛ばす。その時に自分に血が付かないように後ろへと飛ぶ。
「ギャーーーーー」
ゴブリンは仲間を一瞬で殺されて驚いたのか、叫びながら森の方へ逃げていく。
「ふーー、完了っと」
ゴブリンを魔物の死体用の倉庫へ運ぶ。しまい終えて、家に戻ると2人を呼ぶ。
「洗濯物を干すのを手伝って」
「「はーい」」
こんな毎日が続けばいいなと、僕はいつも思う。
「ただいまーー」
「お帰りなさい」
今日はみんな早く帰ってきた。父さんも早く仕事が片付いたとか。
もう夕食ができていたので、みんなで食べ始めた。
「父さん、今日ゴブリンが来たから殺したよ」
「お疲れ。剣術の方はどうだ?」
「ぼちぼちかな」
「そうか。まあ、よくやった」
僕らは、今日のことを夕食の時に話していた。その時に、ドアが大きな音と共に砕けた。
「な、なんだ?!」
そこからは、ゴブリンが入って来た。かなりいっぱいいるようだ。
「成玄以外は、地下に行け!!成玄は、俺と防衛だ!!」
僕と父さんは、置いてあった剣をとってゴブリンと戦う。
「くそ!きりがねー!」
「ゴブリンキングがいるんだ」
「こんな時に・・・」
「僕が倒してくる」
「はぁ!なにいって・・・」
僕は、父さんの声を無視して飛び出した。
まだ見つからない。もう5分走り回ってるのに。
周りは、かなり暗くなっていて少し前しか見えていない。足場も悪く、下手すれば転ぶだろう。そんな状況でもゴブリンキングを倒さなければ、大多数のゴブリンが容赦なく襲ってくる。
「一体どこにいるんだ?」
そのまま進んでいると、剣先が見えた。とっさに右に避けるが、左足をかすめる。
「ぐっっ」
かすめてもかなり痛い。傷は、浅いからよかったが。
相手はゴブリンキングだった。重そうな大きい剣、3メートルはある巨体。攻撃が直撃したら即死だろう。
ゴブリンキングが放つ攻撃をかわして、ゴブリンキングの懐に潜りこみ斬撃を放つ。余り深く切ることができなかった。
考えている時に、ゴブリンキングの攻撃がきて避けきれず、剣を盾にする。
「がっっ」
反動でかなり飛ばされ、背中を木に打ち付けた。
「ま・・・だ、しね、・・・ない」
僕は木にもたれながら気を失った。
すぐ目を覚まし立ち上がると、僕は真っ白の空間にいた。体の傷は無くなり、楽な気分だった。
「目が覚めたようね」
後ろから声がしたので振り替えって見ると、髪は腰あたりまであり、スラッとしたスタイルに真っ白の肌を持つ20代ぐらいの綺麗な女性がいた。
「あなたはどちら様でしょうか?」
「敬語はよして。私は『絶対神 メア』。今回は君を説得しに来たの」
「説得?」
「そう」
「初対面ですよね?」
「いえ、あったことありますよ?」
「何を説得しに来た?」
「前世の記憶を戻してもらうこと」
「前世の記憶?僕の前世?」
「そう。君はこの世界に転生したの。まあ、私が呼んだんだけど・・・」
「別にいいけど?」
「あら、素直ね。前は、記憶なんていらないとか言っていたのに」
メアは、僕の返事を聞くなり、記憶を僕の頭に流し入れた。
記憶を入れた後、メアは元の場所へ僕を戻してくれるらしい。
「幸運を。頑張ってね」
目が覚めると、元の場所に戻っていた。目の前にはさっきのゴブリンキングが剣を振りかぶり、攻撃しようとしている。
振りかぶった瞬間、ゴブリンキングの首が飛んでいた。僕が切ったのだ。
前世の記憶を頼りに切ったのだ。
そのままゴブリンキングは倒れた。かなりの巨体だけど運べるかな?
「成玄ーー!どこだーー!」
「ここですよー」
父さんの声に答えて、ゴブリンキングを引きずりながら父さんの方へ歩き始める。
「?!成玄、どうしたんだ、そのけが・・って、そいつ、ゴブリンキングじゃないか!!」
驚きすぎだと思うが、まあいいか。
「父さん、家は?」
「あっ、無視か。全部倒した。それから来たんだよ」
「へー、やっぱり強いねー」
「成玄も似たようなもんだろ」
「まあ、この国の最前線だしこのゴブリンはしょうがないよね」
「それにしても多すぎる。明日、王都に行ってくる」
「はーい。父さん、頑張ってね」
父さんを少し応援した後、僕らは、家に戻り始めた。
父さんはいつもより早く出かけた。まだ日も上ってないうちに。
「そう。昨日の夜の襲撃で・・・」
今、僕は、母さんと姉さんに昨日あったことをすべて説明している。
「その時に前世の記憶を取り戻したんだ」
「どんな記憶なの?」
「頭がいい人みたい」
「へーー。今みたいに?」
「今以上に」
「なら、国王立中学園に入学したら?」
「学費はどうするの?」
「何を言っているの?特待生に決まっているじゃない」
「は?」
「前世が頭いいならねー」
「ねー」
「ねー、じゃないわ!!できるかわかんないだろ!」
「「それをするのが成玄でしょ!!」」
意味もわからずに、息ぴったりの母さんと姉さんに決められて、受験する事になった。
小説を書くのが初めてです。
よろしくお願いいたします。




