薔薇の復讐~年忘れ年末スペシャル
2018年も残すところ僅か! ファンサービスの一編です。お楽しみください。
幕上がる。
紅白に松、鶴、亥の絵柄派手なの緞帳。
しばし時間が経つがややあって、緞帳の下からセシル、顔を出し客席を確認する。
緞帳が上に上がっていくと、和装のオルランダと黒スーツのゴーシェがカンペ……ではなく台本片手に登場。
背景は金屏風、上手にはアルチュール、ダオレ、ミーファス、セシル。
下手にはアーリャ・ミオナ、フォルテ、アーシュベック、アルテラ25世。
セシル、上手の自席に戻る。
服装は一様に男性はスーツ、女性は和装である。
ゴーシェが合図するとオーケストラ隊が演奏をはじめた、けたたましい。
「――あ、あ、テスッ、テス」
ゴーシェ、目の前のマイクスタンドに話しかける。
ハウリングもなく順調である。
オルランダ、演奏に合わせてずっと手拍子。
やがて演奏がやむとホリゾンライトが一気に客席を照らした。
「『薔薇の復讐』年末スペシャル、用意はいいか!?」
「この時点で筆者氏ネップリに出すと言った年賀状を、まだ完成させていませんね!」
「司会は?」
「わたし一応主役のオルランダと、」
「オレ、ゴーシェでお送りするぜ!」
舞台に金銀の紙ふぶき舞う。
「スタート!」
(ステージの一同拍手)
「当作品『薔薇の復讐』は平成30年8月25日より『小説家になろう』にて連載がスタートされました」
「まあ、準備期間は8月いっぱい使ってたけどよ、当時は『「欲巣にDREAMBOX」あるいは成熟の理念と冷たい雨』との同時連載で割と苦労したらしいな」
「マコトやメフィストの活躍もぜひ読み返してみてくださいね」
「nコードはN0276EVだぞ全31話完結なので安心して読めるから読んどけ」
「宣伝はこのくらいで……さて約4か月連載して評価もやっとこ3桁なのですが、この間のわたしたちの軌跡みたいのを振り返ってみましょうか」
「えっと章は今まで6章使ってるな0から5まで、
0.opening ここは本当のさわりだな。ここだけ読んで評価されても困るが。
1.賢者ボージェスの庵 筆者的にもここは描写不足らしい、加筆が待たれるな、
2.奇妙な行き倒れ 胡散臭い仲間、ダオレが実力を発揮する部分だ。
3.ボレスキン伯爵 初の推理パート、ここからアルチュールが登場。
4.三番叟の騎士 ちょっと外伝的な挿話、戦闘シーンが読みたい人向けでもある、
5.黄金の十字架 現行の章だな、登場人物や組織が多くて辟易してる。
以上だ」
「文句ばっかりね!」
「オメェに文句は言ってねえよ、筆者だ筆者」
「さて、この小説は筆者のリア友が読んでも解る! をコンセプトに書きはじめたらしいのですが?」
「もうすでにそうなってねえだろ、DREAMBOXの二の舞踏んでねえか?」
「38話でもゴーシェが割と複雑なこと言ってましたしねえ」
「後はルビ振ってあるからって漢字を使えばいいってモンでもないぜ」
「ということは?」
「筆者は少しは反省して初心に帰れ!」
二人、台本を素早くチェックしてページをめくる。
「それでは~?」
「出演者から今までを振り返っての一言コーナーだ、先ずはアルチュール」
スーツ姿のアルチュールがパイプ椅子から立つ
「こんばんはアルチュール・ヴラド伯爵だ。そうだね私は存外活躍させていただいたのではないかと思うよ。現在ではパーティーのまとめ役的存在になるのかな? 主役はあくまでゴーシェだがまあハン○ロみたいなものだと考えてくれたまえ」
「一言多いんだよ……!」
「えーと次は当然ダオレです」
意外にも金髪黒スーツのダオレがマフィアみたいでおしゃれ。
「こんばんは! ダオレです。記憶全然ないけれど今回の旅ってか陰謀? 楽しいです! どこまで行くのかワクワクしています」
「次、ミーファス」
痩せた長髪の男が立った。
「お見知りおきを……陰では捕まった聖堂騎士団に色々虐待されていた私だ、来年のキーパーソンと言えなくもない」
「自分でキーパーソンとか言うなよ……」
「現在、彼を救出する作戦が進行中です!」
「と、いうわけだ、本編ともども宜しくお願いしたい」
「次はセシルね」
「ったく何でこいつを呼んだんだよ……」
中学生くらいの子供が無理してスーツ着てるみたいでかなり不自然。
「セシルです! こんばんは、ぼくここに呼ばれたってことは再登場ワンチャンあるってことですか!?」
「あー客席の筆者が頷いてますね」
「やったああああ……! 何も言うことはないです、再登場うっわwwwwwwwww」
勝手に物凄くセシルは感動していた。
「まあ、筆者次第ですよ、筆者。では下手の方々に参りましょうか、アーリャ・ミオナ嬢どうぞ?」
「一寸、どうしてわたくしがこちら側の席なんですの?」
和装のアーリャ・ミオナは文句たらたらだ。
「下手側は登場順でそっちになってんだよ、悪役だとでも勘違いしてんのか?」
「それならいいのですが……! ええと筆者に伴侶を殺されましたわ、これ以上申し上げることはございません。わたくしは都でどうにかやっていきます」
「思いっきり筆者を睨んでますが、筆者はどこ吹く風ですね?」
「次、眼鏡の野郎!」
「一応、フォルテさんです」
眼鏡の大柄な男が手を振った。
「まあ、俺もなんで呼ばれているんだか分からないんだけどね、これから活躍するってことでいいのかな?」
「筆者が頷いてるから大丈夫でしょう、フォルテさんのご活躍を期待しています」
「次、アーシュベックさん……って確か聖堂騎士団の」
「こんなの呼ぶんじゃねえ!」
だがアーシュベックは落ち着き払って起立した。
「わたしのような言わば主人公と敵対する者にまで、目をかけてくださり筆者、雀ヶ森氏には篤く感謝いたす次第。これからも全力で汎神論者とその一派たちと剣を交えさせていただく」
「ありがとうございましたー……で特別ゲスト、アルテラ25世!?」
「『生命なきものの王の国』の王様だな」
初めてみる顔だ。癖毛で八重歯のあるまだ少年らしさの抜けきらない顔立ち。
「こーんにーちはー、朕がアルテラ25世です! この国の王様です、よーろしーくねー」
一瞬固まる司会進行二人。
「ず、随分軽いノリ」
「道理で聖堂騎士団が国王は懐柔したと宣言してるよ……」
「むー、なんか朕の悪口言ってない?」
「いいえ、王様この者は口が悪くて、ほほ……」
「以上で登場人物の今年の締めくくりの挨拶は終わりだ」
台本をチェックする二人。
「では名残惜しいですが年末スペシャルも、残り300文字余りとなってまいりました!」
「文字数で言うんじゃねえ!」
「最後に筆者からご挨拶を持ちまして閉会とさせていただきます」
オルランダ、和服の袂から手紙を取り出す。
「こほん、ご挨拶」
筆者より
2018年内は『薔薇の復讐』を応援してくださり、誠にありがとうございました。
お陰さまで連載も四か月を突破し、評価も100の大台感謝感激です。
これも偏に物語やオルランダやゴーシェ、アルチュールといったキャラクター達に、
移入していただいた読者の方々のお陰ございます。
新年も『薔薇の復讐』を宜しくお願い致します。
雀ヶ森 惠
オルランダが手紙を読み進めている間に緞帳が降りている。
ステージには二人が残っているのみ。
「じゃあ、まったねえ!」
「あばよ、また来年!」
閉幕。
「年賀状完成したのかよ……?」