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第84話 49階層南の守護者、トトナ。

ダンジョンマスター心得その1

矜持と挨拶は大切に。

 49階層、南。

 四獣階層を4つに切り分けた内の、南に存在するそこは、朱雀、トトナが守護者を務める、溶岩地帯。


 地面は時折、火柱や灼熱のガスが噴出するほど、絶えず全てが煮えたぎっており、乾きひび割れてできたその溝には、表面のみが固まった黒い溶岩がうごめいている。


 湖には、水など1滴も存在せず、広大な範囲全てが、固まる気配のない赤々とした流動的なマグマ。

 山は噴火し、マグマを流しては岩を空高く放り投げ、もくもくと黒煙を吐き出し続けている。

 そして空は煙と粉塵で灰色よりもなお黒く、しかし舞い上がる火の粉でキラキラと輝いていた。


「今、そっちに行く。待っていろ」

「隊長っ。分かりましたっ」

 大粒の汗を流している者達は、その汗をほとばしらせながら、大声で叫んだ。


 声の主は、隊長と呼ばれた壮年の女と、若い女。

 その2人は、ひび割れの隙間を流れる溶岩を飛び越え、6人ほどの同じような格好をした騎士とも合流した。この8人はチームとして、動き、そして今――。


「防御ーっ」

「ぼ、防御ーっ」


 ――目の前で爆撃が炸裂した。


 降り注いでいるのは、火の玉。


 拳大の大きさの、火の玉。


 そんな、アッサリとした語句で表現できてしまうそれは、とてもじゃないが、数十年の人生をアッサリと、灰塵に変えてしまうとは思えない。

 しかしそれを放つのは、上位種族であり炎の化身とも呼べる力を持つ朱雀、トトナである。

 火の玉とは、溢れんばかりの力を込めて造られた、炎の結晶。

 地面と触れ合えば、周囲数10mに、超高温の爆発を巻き散らし、力が弱い者などに対しては、骨を残すことすら許さない。


 そんなものが、空を見上げれば、何十何百と地表へと降り注いでいる。

 地上は、まさに阿鼻叫喚だ。


 とは言え、骨を残すことすら許されないのは、弱者のみである。

 強者は、壮年の女隊長と若い女を含む8人パーティーは、目の前で炸裂した爆発に、一丸となって、五体満足のまま耐えていた。

 Lv180を越える隊長が作り上げた防御を、一瞬で削り取られはしたが、まだ7人分の防御がある。1人では防げなくとも、数人がかりであれば、防ぎきることはできる。


 それになにも、数十数百の火の玉が、全て向かってきているわけではない。

 1000人いる侵入者、全体に対して、数十数百であるから、自分達へ向かってきているのは、せいぜい5つかそれくらいなのだ。

 それだけならば、魔力の消費すら、そこまでではない。

 むしろ、その8人のパーティーには、一際強い隊長を筆頭に、実力者が揃っていたため、火の玉と火の玉の一瞬の合間に、反撃する余裕さえあった。


「対空、構えっ、放てえーっ」

 トトナに向けて、彼女等が放った攻撃が襲いかかる。

 そしてそれを機と見たのか、火の玉が落ちてきていない他の場所からも、トトナへ向けて、攻撃が放たれた。

 空を切り裂くように、一直線に1つの場所へと向かう、様々な攻撃の線。


 翼もなしに、空高く飛翔し位置どったトトナだが、侵入者達ほど熟練していれば、空を動く敵を狙うことは、さほど難しくない。

 魔物の中には、空を飛べる種族は多いし、そもそも、ここのボスが空を飛ぶ種族だということは、予め知っていたのだろう。

 ゆえに情報を詳しく見てみれば、対空に強い装備をしている者も多く、スキルが対空戦闘に向いているその道のスペシャリストも、混じっていた。


 だからそんな彼女等の正確で、強力無比な攻撃は、見事にトトナに直撃した。


「――は?」

 しかし、女隊長は、そんな予測が外れたと言わんばかりの声をあげてしまう。

 自らの攻撃が当たったにも関わらず、そんな。


 声だけ聞けば、弾かれたり、無効化されたりしたのかと思うが、そうでもない。トトナは、ハッキリとダメージを受けている。

 あえて食らっただとか、食らうことでメリットがあるとか、決してそんなことではなく、普通に防御も回避もできずに受けてしまったような、ただのダメージ。

 わざとではないことの証明のように、空中でトトナは、大きくバランスを崩し、眉間にシワを寄せる。


 隊長が驚いたのは、きっと、あまりにもあっけなかったからじゃないだろうか。

 これだけ強力な攻撃をしてくるボスが、あんな攻撃に、当たるとは、と。

 もちろん、当てるつもりではあったのだろうが、強者同士の戦いにおいて、攻撃を当てるためには、いくつもいくつも前準備が必要になる。例えば、位置で優位をとったり、フェイントを使って体勢を崩したり、攻撃の隙を狙ったり。


 先ほど大空を旋回していた、900Pの魔物。マグマを養分に吸い爆発するりんぷんを巻き散らす、チョウチョ相手ですらそうだった。

 トトナが放った、巨大な爆炎にさえ飲み込まれていなければ、あのチョウチョもまた大空を舞い続け、きっと侵入者達が放つ単純な攻撃など、全て避けるか受けきっていただろう。


 にも関わらず、遥かに格上のボスが、前準備を1つもしていなかった攻撃に当たってしまったのだ。しかもクリティカルヒットと言えるような、直撃。

 思わず、はっ? と言ってしまったのも、分からないでもない。


 けれど、これがトトナだ。

 それこそが、トトナだ。

 先ほどまでの攻撃は、まさにトトナを象徴するような、攻撃だった。


 トトナは、攻撃全振り少女である。

 攻撃には前準備が絶対に必要で、その時に攻撃されればとても無防備。

 そして攻撃後にも大きな隙あって、その時に攻撃されれば、必ず直撃。

 防御も回避も絶対にしない。考えてすらいない。そんなことをする力が余っているなら、全てを攻撃に回してしまえ。そう言ってはばからない攻撃全振り少女だ。

 だからこそ、Lv180すら1人では防ぎきることが難しいような火の玉を、数十数百と放つことができ、空を舞う900Pの魔物すら巻き込むような爆炎を、容易く生み出すことができるのだ。


 トトナは、受けた攻撃によろめき、苦悶の表情をする。

 そこには、さらに追撃が加えられ、トトナはその攻撃を食らい続けた。

 しかし、そんな攻撃を受けながらも、トトナの頭上には、新たな魔法が構築されていく。


 炎の塊。

 こうこうと燃え盛るそれは、最初こそ拳大であったが、しかし、徐々に徐々に大きくなる。1m2m、3m4m、10m、さらに。


 炎には、今にも何かが溢れてきそうなほどの、異常なまでの力が内包されていた。侵入者達は、それが、例え10数人で集まっても、防ぎきれるものではないことを、早々に悟る。

 ゆえに、魔法の完成を防ごうと、攻撃をさらに増やした。

 無防備になるため、時には落ちてきた火の玉に焼かれたり、地面から噴出する火柱に焼かれたりすることもあったが、それでも、と、まるでトトナのように攻撃偏重で。


 そうして放たれた、空へと真直ぐに飛ぶ、大量の魔法や武器によって生み出された攻撃の数々。


 もちろんトトナはそのほとんどをその身に食らった。

 食らう度に、もちろんよろけ、ダメージを負う。しかし、それでも魔法の構築は止まらない。


 侵入者達は、ここで倒し切ろうと、必殺の威力の攻撃も放った。しかし、倒し切るどころか、魔法の構築すら止められない。


 トトナの種族は、炎帝。すなわち朱雀である。

 朱雀は、別名、不死鳥と呼ばれており、当然、再生能力に異常なまでに優れた種族である。

攻撃を受けて傷ついた箇所は全て、直後炎に包まれ、そして、あたかも攻撃を食らっていないかのような、何の損傷もない綺麗な肌、そして服へと変貌する。


「えー、テステス。……えーっと……えー、49……ナです。……って言います」


 そんなもごもごと喋るトトナには、傷一つついていない。

 もちろん残る生命力も、まだまだ多分にあり、今もなお全快へと近づき続けていた。


「……あのー、その……、よ、よう…………層へ。はい。……サヨナラっ」


 炎の塊は、まるで、太陽が零した涙のように、地面に落ちた。


 途端、あまりにも不条理な、爆発が生じる。


 トトナには、爆発は爆発だ、という、爆発系等による攻撃威力、状態変化力を上昇させる効果を持った固有能力がある。

 これにより、爆発攻撃の威力は、爆発的に向上している。


 人が、Lv180までLvを上げるというのは、実に大変なことだ。

 賞賛すべきことで、誰1人として、その努力にケチなどつけられる者はいない。本人はもちろん、親族すら誇りに思って良い。


 けれど、この爆発の中では、そんなものに、塵芥1つ分ほどの価値もない。

 だから爆心地近くにいた隊長達の姿は、その場に、塵芥1つすら確認できなかった。


 生じた爆発によって、そこには巨大なクレーターが出来上がる。

 ダンジョンはダンジョン内の環境や設備に対して、破壊不能の設定が可能だが、ここの地形には一切施していない。だからこそ、こうやって地形が破壊され、その地形から、マグマが溢れてきたりもする。

 粘り気の少ないマグマは、爆心地から多少離れていて、命は守れた者達にも襲いかかった。


 たかだか50℃でも火傷をしてしまい、100℃にもなれば、死に至ってしまうのが人である。

 ならば、1200℃にもなるマグマを、爆風の衝撃にうめいている時に浴びれば、どうなってしまうのか。答えは、見るまでもない。

 叫び声が、一瞬だけ聞こえた。


 ここは溶岩溢れる灼熱階層。

 もごもごとしか喋れない、常に俯き加減の少女が守護者だが、決して侮ってはいけない。

 トトナは、防御方面こそ壊滅的であるものの、優れた回復能力で補うことができ、一発の最大攻撃能力と、継続的な攻撃能力においては、21人の2期組の中ではトップを誇るのだから。


「たーまやー、かーぎやー、えっへっへ、たーのしいなー。やっぱり爆発って最高だなあー。……こ、声、地上に聞こえてないよね? 大丈夫だよね?」

 そして、アーケードゲームと爆発に関しては、自己表現がとても激しい。 


「……メ、メテオーっ、流星群ーっ」

 トトナは再び、何十何百の火の玉を放った。


 黒く染まった空から、火色の光が降り注ぐ光景は、どこか幻想的で、ノスタルジックで、地上では誰かが涙を流しながら綺麗と思わず呟いた。

 確かに、人によってはこの光景は、生涯忘れないほどに美しいのかもしれない。

 しかしほとんどの者にとっては、まさに地獄だろう。綺麗などと呟くものは、まさしく正気を失っている。

 だが、きっと誰しもが、これを、生涯忘れられないほどに恐ろしい光景であると思うだろう。


 そうして誰も彼もが、自分が生きていた証拠1つ残せず、散っていった。


 49階層南に挑んだ1000名は、エレベーターを起動させること叶わず、敗走した。


『 名前:トトナ

  種別:ネームドモンスター

  種族:炎帝

  性別:女

  人間換算年齢:17

  Lv:70

  人間換算ステータスLv:386

  職業:南の守護者

  称号:灼熱の支配者

  固有能力:爆発は爆発だ ・爆発系等による攻撃威力、状態変化力を上昇させる。

      :火炎の帳 ・指定範囲内に炎を留め、温度と威力を上昇させる。

      :極限集中 ・いかなる体調精神状態でも、集中する。

      :溶岩湖 ・支配領域の地域や気候を溶岩火口に変え、火傷を付与する。

      :爆熱の魔眼 ・左、視界内の対象箇所の熱を上昇下降させることができる。

  種族特性:鳥化 ・朱雀の姿になることができる。

      :霊獣 ・肉体の半分を精神体に置き換えることができる。

      :炎帝の翼 ・空中での移動を速く精密に行なえる。

      :炎帝の再生力 ・身体の欠損や生命力を回復する。

      :夏の霊獣 ・存在する地域を灼熱地にし、炎熱でのマイナスを無効化する。灼熱地でのステータス上昇。夏にステータス上昇。

      :南の四獣 ・他の四獣より南に存在する場合ステータス上昇。

  特殊技能:ライフドレイン ・生命力を干渉の度に吸収する。

      :マナドレイン ・魔力を干渉の度に吸収する。

      :クアドロヴァリエ ・自身の性質を変更する。

  存在コスト:4500

  再生P:12000P 』


「……挨拶してへん……」


 俺は戦いが終わった映像を見て呟いた。


 戦いの内容についても、やはり色々と言いたいことはあるのだが、まずは、49階層南階層守護者、灼熱の支配者、トトナ、と名乗っていないことについて問いたい。

 ダンジョンモンスターとして、ボスならマスプロモンスターでも行う、名乗り上げを、トトナはやっていないのだ。


 例え言葉を喋ることができない種族でも、鳴き声を出したり、ポージングをとったり、そうするのが、ボスの決まりなのだ。

 そうすることで、侵入者達はより一層、これがボス戦なのだと意識して発奮することができる。勝った時のカタルシスを味わえるのだ。


 ボス、特に階層守護者とは、素通りできる資格を手に入れられる以上、1度しか戦えない。だから階層守護者との戦いで耐え難いカタルシスを手に入れられたなら、侵入者達はもう1度味わうために、新たな階層守護者目掛けて、さらにダンジョン奥深くへ入らなければいけなくなる。

 そういったこともあって、ボスによる名乗りとは、ダンジョンモンスターの本能のようなもの。あってしかるべきもの。

 なのに……。


「言ってはいたんだけどね。でも全然誰にも聞こえてないよ……。ハッピートリガーみたいな放火魔の声は聞こえてたと思うけど……」


 戦いの内容についても色々と言いたいことはあるのだが、やっぱりもう、それしか出て来ない。


「おートトナー、余裕だったじゃねえか。やるなっ」

「マキナ先輩……、はい、あの……、どうもです」


 すると、宴会じょ――、玉座の間に、トトナが帰ってきた。


 ミドルストレートの赤い髪に所々橙のメッシュを入れた、陰気な女性は、先ほどまで激しい戦いを繰り返していたとは思えないような風体と、ほの暗さのある顔をしている。


 トトナは、肩にやっとつく程度の髪をほとんど揺らさないまま、俺の元までやってくると、俺が何の映像を見ていたかを確認し、言う。


「ダンマス様……、見ちゃったんですね、恥ずかしいです。あんまり上手くできなかった気もしますし、挨拶とか、たくさん練習したのに」

 そんな風に、自らの行いに失敗を感じて。


 そう言った後は、もう何も言わず、しかしどこにも行かず、はあ、とため息をついては、たまに他所を見て、しかしやはり俺を、ビクビクしているとは言わないが、そんな表情で見て。


 この様子には……見覚えがあった。

 一昨日、干支達が反乱し、侵入者と戦った後、俺に対してとった様子に、よく似ているのだ。


 きっと、こんな態度をとれば、怒られない。

 そんなことを学んだのだろう。


 だが、今回だけは、絶対に許してはいけない。

 

 反乱するのは、良いんだ。そのまま戦って欲しくはないが、反乱だけなら、俺に対してのルール違反だ。

 だから、傷つくのは全て、彼女達の相棒たる俺だ……、え? 相棒ももうダメになったの? 嘘でしょ? えーっと……、パートナーは? あ、10点満点中6点、うーん、6点か、まあ良い方か。ともかく、そう、パートナーである俺だけだ。だから、俺は全てを許す。可愛らしいわがままのようなものだから。


 しかし挨拶は、俺に対するものではなく、侵入者に対するものだ。

 ダンジョンの奥ヘ引きこむ誘引剤の役目ももちろんあるが、挨拶とは、礼儀でもあるし、向こうのやる気を上げる働きもあるし、戦闘開始を告げる合図でもある。それも、トトナは49階層のエリアボスであり、攻略のために倒さなければいけない守護者という、それなりの立ち位置のボス。

 にも関わらず。

 挨拶せずに戦うだなんて、そんなことは、冗談でもやってはいけないこと。


 だから俺は、今度こそ叱らなくてはならない。何よりもトトナリ自身のために。


「トトナ……」

「だめ、でしたよね。全然上手くできなかったです。そうですよね、挨拶がまともに成功したこともなければ、させたこともない、ダンマス様」


 しかし、そう思って呼びかけた、俺の声に反応したトトナは……、トトナは……。


 疑う余地もないほど、自らの行いを反省していた。

 ちょっと顔を赤くし、口元をすぼめて、伏せ目がちに、うれいた顔をしては、上目遣いをして、またうれう。

 だから、俺は、こう言った。


「最高の、戦いだったぜ。ありがとうトトナ。元から褒めるつもりしかなかったに決まってるじゃないかあ」

 挨拶をちゃんとしなさいだなんて、そんなことは、俺にどうこう言える問題ではなかった。なんという……、悪逆非道な行いをしてきたツケが、こんなところにっ。

 イナゴ先輩……。


「そうですかっ? えー、じゃあもっと褒めて良いんですよー、あちきは褒めたら伸びる子なのでー」

 トトナは、姉によく似た、あまり人に見せない屈託のない笑顔で、俺の感謝にそう応える。


 ……こんな、……こんな。

 こんな反省して報告に来て、自分を責めているような子を、叱るなんてできるわけないじゃないっ。


「お、ナナミ、帰ってきたか。トトナももう帰ってんぞ」


「マキナ先輩、ただいま帰りました。いやはや、楽しい戦いでした。あ、トト姉ー、お疲れー帰ったぞーい」


 いえーいとグーサインを作って笑うトトナに、戦闘を終え、宴会場へと帰ってきたナナミが、大きく手を振りながらその場で呼びかける。

 するとトトナは、そのナナミの顔とそっくりな華やいだ顔をして、近づいて行った。


「ナナ、あちきちょっと失敗しちゃったー」

「まあ、根暗には1000人相手は、無理だろうね」


「ひどーい。はあ……、お風呂行こうかー」

「ごめんごめん、行こう行こう、そしてあの2人をからかってやろう」


「良いねー」

「でしょでしょ?」


 2人は、パーソナルスペースなどどこ吹く風、とでも言うような距離にまで近づいて、ニコニコ笑ってお喋りしながら、宴会じょ……玉座の間から出て行った。


 うんうん、勝って良かった。

 あんな笑顔が見れるんなら、本当に勝って良かったと思う。


 思う気持ちはあります。


 けれど、うん。


 俺は、目の前に出しているいくつかの映像の内、四獣階層の映像に目を移す。

 四獣階層への侵入は、多少の時間差で行われているため、トトナとナナミの2人は終わってしまったが、残る0人の所はまだまだ終わっていない。


 だから俺は――。


「次に見る子は、挨拶がちゃんとできてますように。あとやっぱり反乱もやめて欲しいの」


 そう祈って、次の子の戦いを見守る。

 それが、まさか叶わない願いだとは、この時の俺には、知るよし……、知る……。


「戦いが、終わっている……」

お読みいただきまして、誠にありがとうございます。


楽しんで頂けていれば幸いです。

楽しめていない場合は、その旨をお伝え下さい。できる限り直します。


これからもよろしくお願いします。

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