第77話 戦争準備だみなの者っ。
悪逆非道のダンジョンあるあるその17
命を奪うのはめんどくささでも罠でもなく魔物。
めんどくささや罠をこれでもかと置いても命を保ち攻略し続けてきた侵入者が、ただただ凶悪なネームドモンスターを生成しただけで、攻略中に命を失うこと。
「くははははははっ」
俺は玉座に足を組んで座りながら、高らかに笑う。
「見よ、この愚かにも侵入して来た軍隊共を、このマヌケな顔をっ。魔物の影にビクビクと怯えておるわっ」
俺の前には、映像が映しだされている。
ダンジョンに侵入して来た侵入者達を映した映像だ。
彼等は現在20階層までを攻略し、今もなおダンジョンを進み続けているが、その表情には戸惑いや不安が多く感じられる。
頭を悩ませているのは間違いなく、俺のダンジョンの1階層から28階層に配置されたダンジョンモンスター達のこと。
ダンジョンとは常に魔物が襲い来る試練の場である、そんなこと誰もが知っている。
であるならば、ダンジョンに対し戦争を挑み中へ進軍するということは、最初から最後まで魔物の軍勢との戦いになると覚悟してしかるべきである。
だと言うのに、この怯えよう。
全く、俺の作戦はどうしてこんなに冴え渡っているのか。
「1階層から28階層に魔物をあえて1体足りとも配置しないことで、あれ、ここ本当にダンジョン? 大丈夫? と、不安にする作戦は成功だ。馬鹿なやつらめっ。くはははははははっ」
俺は再び高らかに笑った。
「お見事です」
隣にいたセラもパチパチパチと手を叩き、俺の勝利を祝ってくれているようだ。
……。
なんて虚しい勝利だ。
はい、戦争が始まりました。
新年も明けまして、冬も大体明けましたこの3月に、戦争が始まりました。
Pは相変わらず不足です。
そんな所に魔物を置く余裕は家にはございません。
もうちょっと待ってくれたらきっと、Pも少しは貯まったと思うんですけどね。
なんで3月だなんて時期に進軍してくるんだか。
兵を集結させるのが1月2月とかの冬の時期になるから大変だろうし、4月収穫の食料も多いんだからその問題だってあるだろう。
もうちょっと待っても良いんじゃないの?
こんな素通りできるダンジョンのダンジョンマスターの身にもなってくれよ。言うなれば玄関に扉がない家みたいな感じだよ。分かるかねこの恥ずかしさ。
しかも2連続。
最初の戦争と、今回の戦争と。
恥ずかしいったらありゃしない。
まあでも、来たもんは仕方ない。このまま頑張るよ。
それに今後ともこの魔物無しスタンスで行けば、そういう方針なんだと思ってくれるかもしれない。このまま頑張るよ。
「しかしなんにせよ、今回を乗り切らないといけないことに変わりはない」
俺は神妙な面持ちと男前な声でそう言い、映像に映された5万の侵入者達を改めて見た。
今回動員された戦力は、前回の戦争の比ではない。
王国側から3万名、帝国側から2万名。計5万名の侵入者は、報告によると騎士と冒険者の混成部隊であり、奴隷兵や民兵はおらず、いたとしてもそれは非戦闘員8000名の内の一部。
戦闘を主とする4万2000名は、全員が戦い慣れており、全員が高Lvだ。
「さらにその内、勇者が5名、英雄が11名、転生者が86名、転移者が37名。転生者の英雄が1名、転移者の勇者が1名。さらにその中でLv200以上の者が9名、LV200以上の者は合計で25名となっております」
さらにその内、勇者5名、英雄11名、転生者86名、転移者37名、転生英雄1名、転移勇者1名、その中でLv200以上が9名で、Lv200以上が合計25名だ。
「また王国帝国合わせてLv200以上の者は、戦えないほど年老いた者を除けば合計で37名。ですからその大半を送り出してきたことになりますね」
また王国帝国合わせても、Lv200以上で戦える者は37名。内25名がここへ来ているのだから、その大半が侵入して来ていることになる。
……どうして国にいるLv200以上の数とか把握してるんだろう。
普通は知ってちゃいけないと思う。
なんてこったい。
とは言え、王国帝国側がこれだけ戦力をつぎ込んできたのも、当然と言えば当然だ。
王国には上級竜や功労者の遺体強奪事件から、勇者寝返り事件、勇者による王様ぶん殴り事件、使者殺害事件と様々な迷惑をかけた。
帝国にも使者というか、なんか凄いお偉いさん殺害事件を起こし迷惑をかけている。
そりゃあ全面戦争になるさ。
戦争することが決まったのは、今から1年以上も前。
宣戦布告が届いたのは確か1年と5ヶ月前だ。
それだけの準備期間がある全面戦争なのだからきっと、王国帝国共に国中から人員をかき集めることができ、万全の体勢を整えられたのだろう。
だが、それを言うならこちらとて準備は万端さ。
ダンジョンとは常に争いの場である。それゆえにいつ来られても万全と言えるだけの準備はあった。
その上で今回はさらに1年5ヶ月という準備期間が設けられたのだ。それだけあれば一体どれほどの準備が完了するだろうか。
それはまさしく、生成されたばかりのひよっこが、一人前の戦士になるほどの。
実り豊で生き物が溢れていた周辺の魔境が、生物の気配すらない焦土へと変わるほどの。
ダンジョンマスターの涙が、枯れ果ててしまうほどの。
濃密な時間だった。
俺は侵入者達を映していた映像を切り、今度は部屋の中にその目を向けた。
玉座の間。
……通称、宴会場。
ダンジョンマスター以外誰1人として通称に疑問を持たぬこの場所では、今も陽気な宴会が繰り広げられていた。
ソファーに座りながら映画を大画面で見つつ、お菓子を食べたりお酒を飲んだり。
金網に乗せた肉を炭火で焼き、頬張ったり。
レンガで作られた釜からピザを取り出し、伸びるチーズを見て笑ったり。
膨らまして作るビニールプールの中で、ワイワイと遊んだり。
さて、それではそんな、このダンジョンのいかれたメンバーを紹介しよう。
まずは100階そ――……。
「……」
「どうかなさいましたか?」
……俺は、いつも通りにこのダンジョンのメンバーを紹介しようとしたが、ふと階層を思い浮かべた瞬間に嫌な予感がして、思考を止めてしまった。
「とうとういかれてしまいましたか?」
俺の異変に気付いたのか、セラは心配そうに顔を覗きこんできた。
ただ、いかれてはないです。すみません。
「ふと思ったんだけどさ、戦争はあのー、どういう予定で進むの?」
「予定、ですか?」
俺はセラにそう尋ねる。
本来、ダンジョン側の戦争の予定なんぞ、聞くまでもない。あくまでダンジョンは専守防衛の立場なのだから、己が守護階層で待ち構える予定以外に、何一つ存在しないはずだ。
しかし、このダンジョンでは時折それ以外のことも起こり得る。
それぞれの守護階層を思い浮かべたところで紹介を止めてしまったのはそのせいだ。
100階層ではない階層で戦ってしまうのではないか、そんな不安が湧き出てきて止まらなくなってしまったのだ。
俺は念のために。本当に万が一の可能性でしかないだろうが、守護階層で待ち構える以外の予定の有無をセラに尋ねた。
「そんなことを心配なさっておいでだったのですね。御安心下さい、皆、自らの階層で戦いますよ」
「やっぱりダメだったか、階層外での殺戮なんてしちゃあ――、え?」
「ですから、ボスを務める階層で戦う、と申しております。我々のような模範的なネームドモンスターが自身の守護階層から出るなどということはありませんよ」
すると、そんな言葉が返ってきたではないか。
なんということでしょう。
俺のダンジョンマスター人生で、ボス達が自分の守護階層で戦ってくれる日がくるとは……。
「……そ、そうかっ。そうだったかっ、セ、セラ、ありがとうっ」
「恐縮です」
そして俺は嬉しくなって、このダンジョンのいかしたメンバーの紹介を再開した。
まずは100階そ――。
「今回の戦争では転移を多用致しておりますので、どこからでも各階層に送ることができます。御安心下さい」
「え……」
「はい」
「え……」
「お礼は?」
「……ありがとう」
「恐縮です」
……。
「ちなみに戦争が3月開始になった理由は、私の方から、その時期が最もダンジョンが弱いとの情報を流したからです」
「え……」
「戦争の終わりを清々しく迎えたかったため、ダンジョン暦、ダンジョンが開闢致しました4月に切り替えている暦に合わせたく、そう致しました」
「え……」
「お礼は?」
「……ありがとう」
「恐縮です」
……。
俺のお礼が無理矢理奪われていく……。
「よーマスター飲んでっかーっ」
「飲んでないよーあっち行きなさい」
と、そこへいかれたメンバーその1のマキナが、酔っ払った状態でやってきた。
マキナはビール片手にズカズカと近づいてきて、玉座の肘かけに腰掛け、俺の頭に肘をつく。
以前に1回おやめなさい、と注意したはずなのだが、宴会の度にこの体勢を強要されている。
ダンジョンマスターに対してこんなことをする子が100階層のボス、ダンジョン最終階層のボスだとは信じたくない。
「オー。飴」
「はい飴だよー」
今度はいかれたメンバーその3のオルテがやってきた。
そしていつも通り飴をせびられる。俺のダンジョンマスター生で1番多い生成アイテムは、間違いなく飴だろう。
借金でPがない中、飴に減らされ。あれが欲しいなあとPを貯めれば、飴に減らされ。部屋の面積すら、飴に減らされ。
一体いつになったあら飴オルテ像が無くなるんだ。もう増えることこそないが、俺の部屋にはまだあと22体もいるんだぞ。あんなもん食いきれるかっ。
ダンジョンマスターに対してそんなことをする子が97階層のボスだとは信じたくない。
「主様、お食事をお持ちしました」
「おやありがとうローズ。それはもしかしてここにいるみんなの分かな?」
次に来たのはその4ローズ。
ローズはニッコリと笑って、いいえ、と首を振り、巨大などんぶりによそった大量の白米を俺の前に差し出す。
俺がまごまごしていると、自ら白米を箸で掴み、あーん、と口を開けながら言い俺に食べさせてくれた。なんて良い子なんだろうか。白米の量が10分の1くらいになれば、凄く良い子だよ。10倍かあ。
ダンジョンマスターに対してこんなことをする子が96階層のボスとは信じたくない。
「主殿。わっちはもう部屋に戻るゆえ」
「もぐもぐ、戦争の英気を――もぐもぐ、養――もぐもぐ、もぐもぐ、養――もぐ」
次に来たのはその5キキョウ。
来た瞬間に部屋に戻りそうだったが、そこをなんとか交渉の末引きとめる。
面倒臭がり屋なところはあるけれども、いかれたメンバー達の中で一番俺に何かをしてくることが少ない、落着きある良い子だ。
確かに交渉では毎度毎度、Pが減っていくことになるが。
ダンジョンマスターに対してこんなことをする子が95階層のボスとは信じたくない。
「あるじ様ー、あっ。――もぐもぐ、もぐもぐ、もぐもぐ、もぐもぐ」
「もぐもぐ、もぐもぐ、もぐもぐ」
次に来たのはその6ニル。
ニルは俺の持つどんぶりに気付いたのか、すぐさま白米を食べ始めてくれた。なんて良い子なんだろう。俺は今まで君の事を食費の化け物だと思っていたが、それは誤解だったようだ。
しかし……その……。確かに今、どんぶりに残った最後の一口は俺が食べた。でもそれは俺の意思じゃないんだ、止めてくれ、こっちを見ないでくれ。背けた顔の前に移動しないでくれ……、ごめんなさい……。
ダンジョンマスターにこんなことをする子が94階層のボスとは信じたくない。
「なんだなんだ皆揃ってー。あれ? ワタシのご飯は? せっかく肉持って来たのに何で残ってないんだ?」
「え?」
最後に来たのはその7ユキ。
ユキはその場にいる大多数から、指を差されている俺を見た。しかし何も言わず何もしてこず、なぜか後ろに周りこむ。
するとその直後、玉座の背もたれが無くなってしまった。まるで鋭利な刃物で真一文字に切られたように……。
そして、あーん、と肉が差し出される。焼き肉が1枚、2枚、3枚、ステーキ、4枚、5枚、ステーキ、6枚。とにもかくにも食べ物の恨みは恐ろしい、ということだ。
しかしダンジョンマスターにこんなことをする子が99階層のボスとは信じたくない。
「もぐもぐ、助けて、助けてくれ、セラさん」
俺は近くにいる、いかしたメンバーその2のセラに声をかけた。
優しいセラなら助けてくれる、そう信じて。
「いえいえご主人様。どうぞ、いかれたメンバー紹介の続きをなさって下さい」
ダンジョンマスターにこんなことをする子が98階層のボスとは信じたくない。
俺を守ってくれる最後の砦であるはずの7人。
しかしどうしてだか、基本的に守ってくれない。
絶えず攻めの姿勢だ。
なんてこったい。
俺は遠い目をしてみた。
昔を思い出している、そんな目をだ。
そしていつからこんなことになってしまったのかを考えてみた。
ダンジョン開闢から2年近く、一体いつから……。
……。
「ん? なんだよ、文句でもあんのか?」
「どうかなさいましたか?」
「飴……最高」
「白米の追加をお持ち致しました」
「暇じゃのう、なにか面白い話でもせい」
「ごっはっん、ごっはっん」
「はっくまいっ、はっくまいっ」
……。
初日からかなっ。
マキナを生成したその瞬間から、常に攻めの姿勢だったよ。
攻撃は最大の防御。と言うよりも、攻撃は常に最大攻撃。と言った方が合ってるくらい攻めの姿勢だったよ。
侵入者に対しても、侵入してない相手に対しても、ダンジョンマスターに対しても。
なんてこったいっ。
「ああいくらお酒を飲んでも体は火照らない。プールに熱を奪われていくから……。わらわのすることは全て無駄? 鬱になっちゃう……、あと眩しい……」
「ただのビニールプールでもライトアップすれば、わたくしに相応しい美しさとなりますわね。早く城全体もライトアップしたいですわ」
「皆、突然だけど問題です。モー、って鳴く動物と言えば牛が有名だけど、他にもモーって鳴く動物がいるよ? 一体何かな?」
「姉上、それは簡単ですよ。キ――、いや、なんでも……」
「ミー姉、んなもん簡単だぜ。キ――、い、いややっぱ分かんねえな」
「も、盲腸、とか? あはは……」
「ち、違う、その……、昨日、確かにメモ帳にそんなクイズを書いたけど、出すつもりは……、その……」
「はーいまたイーが鬼ーっ。足おっそーい、じゃあ10数えてねーっ」
「悔しいーっ。また絶対捕まえてやるからねーっ」
「あははは。次どこに逃げるー?」
「やっぱり邦画の恋愛物が一番ね。90年代は名作が多いわぁ」
「しかし次は初心に立ち返って時代劇だろう根性がある。これにしよう」
「それよりもやっぱハリウッドやって。爆発するやつにしようや」
「なんでこんなにスカートが似合わないんだよー、コスプレみたいじゃないかーっ」
「ぐぅ、すぅ、すぅ」
「まあまあ、誰にも真似できない事があるっていうのも、凄いことですよっ。よっ、オンリーワンっ」
「時期じゃないけど、やっぱり菊があった方が良いわよね。これで良しっと」
「似合わなければ死ぬだけだ。そして、Mであっても死ぬだけだ。乾杯」
「お料理が少なくなってきていますね、作ってきます。ツバキ」
「チヒロ。お料理が少なくなってきましたね、作ってきましょう」
7人のそんな行いは伝染し、今や28人全員がそんな感じだ。
1人足りないけど。
だがまあ……、俺への実害が無い分、2期組の方がマシか。
というか、もしかすると、2期組が最初に生成されていたら、こんなことにはなっていなかったかもしれない。
ティアホリィ、ミロク。
ククリ、リリト、と生成していったなら、防御こそがダンジョンの神髄、と思い、自らの階層のみを守護する正しいダンジョンになったかもしれない。
だとすれば、俺は一体どれだけ救われるか。
……ああ、マキナ達じゃなく、この子達が最初だったら……。
「……」
ジーっと。
俺の頭に肘を付きながら見てくるマキナ。
「……」
ジーっと。
俺の隣に立ちながら、横目で見てくるセラ。
「……」
ジーっと。
飴を舐めながら真正面から見てくるオルテ。
「……」
ジーっと。
白米をあーんする手を止め見てくるローズ。
「……」
ジーっと。
布団を敷こうとする手を止め見てくるキキョウ。
「……」
ジーっと。
先ほどよりも得体のしれない目つきで見てくるニル。
俺は言う。
「う、嘘だよー。嘘に決まってるじゃないか。うっそー。ビックリした? 俺がそんなこと思うはずないだろう? みんながいてくれたから今があるんじゃないか。最高さ、俺にとって君達は最高の存在さ」
……しかし。
「今のはなんて言い訳してもアウトだぞ。一生言われるな。最低」
ユキは俺の肩に手を置きながら、みんなのセリフをそう代弁した。
「マ、マキナさん。肩でも揉みましょうか?」
「あん? 揉みたいっつうならやってもらおうじゃねえか。おら、玉座どけっ」
「セラさん、今日の食器洗いとか掃除とか戸締りとか、全部俺がするよ」
「かしこまりました。城の外壁や窓の掃除もお願いします」
「オルテさん、飴だよー」
「良い心がけ」
「ローズさん、ブラッシングするよー」
「ありがとうございます。お待ちしております」
「キキョウさん、実験用の施設作るからね」
「良い心がけじゃの、早くの」
「ニルさん、あるじ様だよー」
「今ちょっとお腹空いてるよ、大丈夫ー? 死なないでねあるじ様ー」
……。
……ダンジョンマスターはもっと威厳があって、尊敬される、王様のような存在じゃないのだろうか。
なぜこんな……。
「よっこらせっと。もっと強く揉めよ、そこじゃないもうちょっと上。そうそう、もっと強くっ」
「こちら掃除する箇所のリストとなります。後で確認しますので」
「……飴トレンドの把握が甘いっ。飴の可能性は無限大、そんなことで飴を御しきれると思うなっ。……日々精進しろ、ほら、飴。100」
「ちょっと力が弱いですね。もうちょっと強く。そこは弱くして下さい。そこは方向が違いますっ」
「実験施設と言うのなら島が欲しいのう。そっちも早くの」
「ガジガジガジガジガジガジーッ」
なぜこんな……。
「じゃあワタシは何してもらおっかなあ」
「えっ? ユキさんは生成されてないじゃないですかっ。どの道みんなの後じゃないですか、どうか、どうか」
「ふっ、ワタシは勇者だからな、魔王の頼みなんぞ聞かんっ」
急な勇者成分っ。
確かにそうなんだけどっ。
でも今貴女、魔王に何かしてもらおうとしてたじゃない。
ダンジョンマスターがなぜこんな……。
なぜこんな……。
熟年夫婦のような機嫌の取り方をしなければならないのだろう。
「ま、これもこれで楽しいだろ?」
「いやまあそうなんだけど、そっちから言われると、ウン、とは言い辛いよね」
「ともかく、全面戦争編、開幕だな」
「全然カッコ良くない始まり方で、ダンジョン史上最大の戦いが始まってしまった……」
なんてこったい。
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