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第52話 ティア、ホリィに5000Pずつ。

ダンジョンあるあるその15

近場にダンジョンが頻繁にできる。

良い、と思う土地は誰しも同じであるため、ダンジョンがあることをアピールしていないと同じ場所に続々とダンジョンが繋がること。

 ダンジョン強化に必須のPは、一気に21万Pまで増えた。俺はこのPを使い、新しいダンジョンモンスターを生成する。


 ダンジョンマスターが授かる勲章には、Pの消費を軽減する効果を持つものも多い。特に俺はそれを多数授かった。

 魔物の生成に限っては、おおよそ6割まで軽減させることができる。すなわち35万P分の魔物を生成できるというわけだ。


 これだけあれば俺の望む数と強さを持つ守護者達を揃えることもできるはず。


 いや、違うな。

 はず、なんて曖昧なものじゃダメだ。俺は絶対に生成しなければならないのだ。


 なぜなら王国、帝国、魔王国というこの大陸における大国との戦争は既に確定してしまっている。負ければこのダンジョンは確実に滅びる。

 勝利のためにはこれから生成するダンジョンモンスター達の活躍が必須、少なかったり弱かったりしては話にもならない。


 いや、違うな。

 本当の理由はこれじゃない。こんな理由じゃないんだ。


 本当は――。


「3万P貸してるから、1年で97万Pかー」

「戦争開始は早くとも来年ですから確実にそれ以上にはなりますね」

「……複利、バンザイ」


「トイチの借金とは恐ろしいものだ。主様私はいつまででも返済をお待ちしますよ」

「わっちも今は困っとらんからの、10年後でも構わんぞ。いくら返ってくるのかのう」

「楽しみー」


 本当は……、借金返済をしなければいけないからだっ。


 俺のPは21万Pまで増えた。しかしそれは彼女達7人に3万Pずつ借りたからである。返済はトイチで複利、年利3242%という化け物のように嵩んでいく借金。

 1年で返せたとしても各々へ97万Pを返済しなければいけない。

 合計で680万P? ふざけている、できるはずがない。


 だがやるしかない。

 俺は不老不死のダンジョンマスター。そして彼女達も不老不死のダンジョンモンスター。付き合いは死なない限り永遠に続く。

 つまり借金は永遠に増え続ける。返せなければ付き合いが終わってしまうかもしれない、俺の死を以て。


 借金の時効? そんな法律このダンジョンにはないさ。

 法外な金利の借金は無効? そんな法律このダンジョンにはないさ。もしあったとしても裁判長は認めてくれない、裁判長と裁判官は彼女達だからさっ。


「頼むぞ新しいダンジョンモンスター達よ。強く生成する、必ず強く生成してみせる。だから、俺の借金問題を解決してくれーっ」


「一本化の相談にはいつでものるからな。相談待ってるぞ。えーその場合の金利だが……」


「俺を救ってくれーっ」



「というわけで、ついにこのダンジョンにも新しい仲間が加わります。みんな仲良くするように」

 俺はくつろぐ7人に向かって言い、魔物の生成リストを開く。


 いつの間にか膨大になってしまった生成リスト。なぜ増えたのかはひとまず置いておいて、俺は天空城砦内の守護者2体の種族をまず考える。


 61階層から70階層、地獄のような水晶迷宮の最後に鎮座し、城内を移動するための転移陣を起動する守護者。

 51階層から60階層、天国のような庭園の最後に鎮座し、城の扉を開けるキーとなっている守護者。


 94階層からの守護者7人に次ぐ階層の守護者となるネームドモンスター2体。

 彼女達以外で唯一、天空城砦の守護に当たるボス。


「60階層のボスはガーゴイルに決定してるから65階層のボスの種族か。んー」


 俺は玉座の間に座ったまま腕を組み頭を捻る。

 ダンジョンマスターは、特にボスの生成の際、果たしてどういう状況にいるかどういう場所にいるか、それを考えてその種族や能力を組み合わせなければならない。

 砂漠に海の魔物を置いてもマイナス補正が大きい、水の力を付与しても効果が薄い、そういう理由ももちろんあるのだが、ダンジョンマスターとしての道理を分かっていないというか、虚を突こうとして失敗しているというか、なんか恥ずかしいんですよね。


 ボスに辿り着くまでの過程があって、それがきちんとボスのための伏線やお膳立てになっているのが当たり前。

 良い意味で意表を突いているのはポイント高いが、あまりにも唐突なのはマイナスポイント。


 水晶迷宮は、白色の半透明の水晶の洞窟の旅。自我自賛というわけではないが美しい空間、優雅さに溢れる。

 ところが出てくる魔物には美しさや優雅さなど欠片もない。有象無象様々な魔物が、生きる、という立った1つの命題を叶える為に朝も昼もなく戦い続けているからだ。


 また、ここには様々なギミックが施されている。

 構造的な難しさがないと魔素溜まり魔物は毎度乱戦必至になって強いのが育ち辛くなるし、外に出ることもできてしまう。水晶迷宮の階層は全て高い知力がなければ攻略することができないようになっている。


「だからボスに要求される要素は、美しさを持ち、反対に苛烈さもあり、知的」


 俺はそんな魔物を思い浮かべて生成リストのソート機能を使用する。そして、ピッタリな魔物を発見した。


 『夢魔

   サキュバスクイーン・・・1200P

   サキュバスアラベスク・・・1000P

   チャームサキュバス・・・700P

   ・・・・

   ・・・

   ・・』


 間違いなく美しさを持っている。あの美しい水晶迷宮のトップだとしてもなんらおかしくはない。

 そして有象無象を従え、苛烈さを持ち、生存本能をくすぐるという性質。人型であるのだから知的さに間違いもない。なんという完璧な選択。


 他にも淫魔という男版サキュバスのインキュバスもいたのだが、美しさや有象無象を操るという観点から女王様って感じがするのでサキュバス。迷うことなくサキュバスクイーン。

 くそう地球人め。女王様という女の王を表す単純な単語に変な性質を植え付けやがって。どうもありがとう。


 造形は美しく。


 性格は知的に。


 特徴は苛烈に。


 適性は、おそらく7人が色々教えてくれるはずなので少々抑え目。……どういう風に教えてくれるのかはちょっと分かりませんが。

 でも大丈夫、君達は成長するからいつか訓練も終わるはずさ。


 能力値はいつも通り。


「どうだっ」


『 サキュバスクイーン

   ユニーク

   性別:女 ・・・0P

   造形:艶美で儚げ 何物にも染まりそうな透明感 知的だが薄幸そうな美人 健康的で巨乳 きわどい服装でも着こなせる 清楚な服装でもエロくなる 泣きボクロ ・・・2100P

   性格:冷静で常に思考を張り巡らせる 繊細だが責任感強い 努力家で頼られるととことん頑張る 人に任せるよりも自分でなんとかしようともがく ・・・1600P

   特徴:地獄の門番 女王様の香り 香りによる洗脳 卓越した捕縛術 強制狂奔 魅惑の肢体 虐殺 破滅 興奮フェロモン 麻痺フェロモン 眠れる洞窟の美女 ランダム魔眼 ・・・4300P

   適性:鞭術 結界魔法 恐怖耐性 混乱耐性 察知 学習 歌唱 HP吸収 ・・・1200P

   能力値:全能力成長率上昇 ・・・3600P 』


 14000P、完璧だ。


『これで生成を開始します。よろしいですか?』


「無論オッケー」

 そう言った瞬間、目の前に紫色の靄が広がった。


 容姿は艶美で儚げ、特徴は女王様のサキュバスクイーン。どんな子が来るんだろうか、ちょっとドキドキ。


「……できたか」

「おやオルテ。ああ、見てくれ、最高のボスができたと思わないかい?」

 その靄が晴れる寸前、オルテ俺の隣までやってきた。どうやら生成の瞬間を一緒に見るようだ。


「……性格は女王向きじゃない」

「え、そう? こんな感じじゃない?」

「違う……」

 だが、そんなことを言われてしまった。不安になるじゃないか。


 靄が晴れる。


 そこには美女、いや美少女がいた。


 髪の毛は紫色。ふわりとした髪質に心落ち着く淡い紫色、それと同じ色の眉毛と睫毛。少しタレ目気味の優しい目に、泣きボクロが色っぽい。

 ハッキリした顔立ちかと思いきや、主張は少なく受ける印象は柔らかさが勝る。


 同様に体つきから受ける印象も柔らかさが多くを占めるが、顔立ちと違い凹凸のハッキリした体。

 服の上からでも分かる胸の膨らみや、お尻の形。肉付きの良い太腿など、漂わせている色気は吸い込まれそうなほど。


 これで知的な女王様風の性格なのだから、ポテンシャルは凄まじいの一言に尽きる。全く、俺はどれほどの才覚を秘めているのやら。


「君の名前はティア、よろしくなティア」


 ただのユニークモンスターサキュバスクイーンだった彼女は、ネームドモンスターティアへと変わり、一瞬にしてその目に知性を宿した。

 俺はオルテの言葉が払拭されることを、ティアの言葉に期待し待つ。


「……」

「……?」

「……」


「……」

「……?」

「……」


 だが誰も喋らない。ティアも俺も、オルテも。あれ? こいつも無口タイプなのか?

「ティアさん?」

「生まれてきてごめんなさい……」


 ……おや?


「ああ、駄目。陛下の前でこんなこと言って。わらわはもう駄目です、死にたい……。わらわなんてもう、なんの価値もない」

「どうしたどうしたどうしたティアさんっ」


 いきなり落ち込むティア。

 体育座りをして顔を伏せてしまった。女王成分の欠片もないぜ。


「……ステータス、見ろ」

 俺はオルテに促され、ティアの能力を確認する。


『 名前:ティア

  種別:ネームドモンスター

  種族:サキュバスクイーン

  性別:女

  人間換算年齢:17

  Lv:0

  人間換算ステータスLv:131

  職業:地獄の門番

  称号:破滅へと誘う夜の女王

  固有能力:破滅への階段 ・香りを認識した者の耐性を徐々に低下させる。

      :虐殺女王 ・自分より弱い者、立場の弱い者に対してステータス上昇。干渉の度状態異常を付与しHPとMPを吸収する。

      :崩御の魔眼 ・右、対象の心の耐久力を破壊する。

      :憂鬱因果 ・憂鬱に交わる。

  種族特性:吸精 ・精を吸い取りステータス上昇、HPMP回復。

      :夢憑依 ・夢を見ている間限定で憑依可能。

      :女性変化 ・どの種族の女性にも化けられる。

      :サキュバスの翼 ・夜の間と夢の中で飛ぶことができる。

      :魅惑のフェロモン ・五感の全てに対し魅了を行う。

      :魅了の魔眼 ・目の合った者を虜にする。

  特殊技能:エネルギードレイン ・生命力と魔力を干渉するたびに吸収する。

      :ヘルズゲート ・地獄を召喚する。

      :ファントムペイン ・痛みを増幅する。

  存在コスト:3600

  再生P:14000P』


 まさかの憂鬱因果。

 7つの大罪じゃなくて9つの方だったのか。いや称号は7だったから9もあるってことなのか。特に憂鬱なんてもんはつけてないのに。


「……繊細で責任感強い。……努力家で頑張る。……思慮深い」

 なるほど鬱にもなるわ。


「もう死ぬしか。未来が、未来が見えない」

「いや死んでもダンジョンモンスターだからすぐ生き返るよ。ただ14000Pなくなるだけだから」

「ああ……なんて無力な……。今日も今日とて明日が見えない」

「それ俺のやつだっ。まさかの俺とのキャラ被りだとっ?」


 サキュバスってこんなだっけ? もっとこう、明るい感じでエロい感じじゃないの? しかもクイーン、女王様なのに。


 というか憂鬱因果みたいなほにゃらら因果って別に、その傾向が強いなってだけなのにコイツはモロじゃねえか、ただの鬱じゃねえか。

 ……いやニルもモロだな。生まれつき持ってるやつはそうなのか? ……ならなんかゴメン。


 体育座りで膝を抱えるティア。淡い紫色の髪の毛は長く、玉座の間の床についてしまったうえに放射状に1m近く流れているほど。

 前髪はおでこで左右に分かれ、瞳は左が髪の毛と同じ紫、そして右が朱と群青が混ざりきっていないような色。俯いているから見えないけれど。


 服装はなぜか女王様感が全くない高校生の制服。確かに人間換算年齢は17歳なのだが、豊満な体と色っぽい顔立ちのせいでコスプレっぽい。

 というかミニスカで体育座りをしているのでパンツが丸見えだ。


 そこだけサキュバス感がある。


「まあまあ、せめてソファーに座りなよ。ほら、綺麗な髪の毛が汚れちゃうよ」

 俺がそう言うと小さな声で、これが噂のセクハラ、と呟いたティアはロッキングチェアを生成し、再び体育座りをした。


 生成された直後なのにPを使ったのはまあ、良しとしよう。俺のお小遣いから抜かれたが20Pくらいだ、良しとしよう。

 しかしなぜ既にセクハラが噂されている。


 俺は気遣っただけなのに……。コスプレはそう見えちゃっただけだし、パンツだって見ようとして見たわけじゃないよ。裁判官さん信じて下さい。

「……どう? ティア」

「………オルテ姉さん。鬱になりました………有罪で」

「精神的苦痛……慰謝料、5000P」


 鬱なのは元からじゃ……、ああ、Pが減ってしまった。


「うん、次行こう」


 次は60階層のボス。


 この城の玄関を開けるためのボス。天空階層最初のボス。

 種族はガーゴイル。


 人工物が置かれ始めた60階層で最も美しい彫像がボス。


「ガーゴイル、エ、オ、カ、ガーゴイル……、キ。あれ? ないぞ? 検索検索、あ、あった」


『 石像悪魔

   ダイヤモンドガーゴイル・・・1200P

   ミスリルガーゴイル・・・1000P

   サファイヤガーゴイル・・・900P

   ルビーガーゴイル・・・700P

   超硬合金ガーゴイル・・・500P

   ・・・・

   ・・・

   ・・ 』


 超合金かー、とても惹かれる。しかしダイヤモンドっ。やっぱり一番強いのじゃないとね。


 ……しかしダイヤモンドか。全身がダイヤでできてるのかな? それならかなりの値段になるよな。

 ダンジョンで倒すと魔石とドロップアイテムになるからそんな大きなダイヤは出てこないだろうが、フィールドで倒せば丸ままだ。……乱獲されてそう。


 ……あ、既に狩られたからリストに載ってるのか。

 倒した魔物が生成リストに載るって効果の勲章を授かってから、一気に増えたもんなあこのリスト。……。


 というわけで、ダイヤモンドガーゴイル。


『 ダイヤモンドガーゴイル

   ユニーク

   性別:女 ・・・0P

   造形:人間型 黄金比率 何物をも染めそうな存在感 絶対領域 完璧スタイル 美乳 高貴で荘厳 像形態美少女 ・・・2100P

   性格:見栄っ張りで意地っ張り 知ったかぶりで世間知らずだが純粋素直 プライド高く大言壮語 綺麗好き 努力家は好き ・・・1500P 

   特徴:天国の門番 石像割合自在 装飾過多 美術工芸品 上昇思考 鉄壁 全攻撃反射 全攻撃吸収 魅惑の肢体 お嬢様 眠れる庭園の美女 ランダム魔眼 ・・・4100P

   適性:剣術 打撃耐性 学習 演奏 絵画 HP吸収 MP吸収 ・・・1500P

   能力値:全能力成長率上昇 ・・・3600P 』


 同じく14000P。


『これで生成を開始します。よろしいですか?』

「お願いします」


「……、不意打ちがガーゴイル。……なのに目立つ」

「ま、まあ、その、因果の大罪シリーズの残り1つが虚飾だったので」

「……ガーゴイルから変えろ」

「仰る通りで」


 透明に近いような灰色に近いような結晶が、目の前に出現した。

 そしてそこから透き通るようなスベスベの白い肌と、明るさを淡く反射する黄緑色の髪をなびかせた美少女が現れる。


 縦ロールする髪を左右に揃えるツインドリル。

 髪と同色だが幾分か色味の濃いい眉と睫毛。それらのおかげか目は強調され、ツリ目で厳しい印象。


 顔立ちはハッキリしており、キツさや強さ、自信が漲らせている。

 スラリと贅肉が全くないスタイル、彫像のように長い手足とバランス。そして控えめな胸。そこに男の夢は詰まっていないが、しかし短めのスカートと太腿のタイツの間で、夢を見せる。

 

「名前はホリィだ。よろしくなホリィ」


 知性と数々の権限を得たホリィは、その名前ににこやかに微笑み、スカートの裾をちょいと摘まんで少し上げる。

「お初にお目にかかります陛下。この度はわたくしの生成ご苦労様でした。自身の力にも、与えられた役割にも、大変に満足致しております、感謝を」

「――――っ」


 俺を衝撃が貫く。

 あまりにも信じられない言葉と光景に俺は一瞬フリーズする。


「ホ、ホリィ。もう一度、もう一度言ってくれないかい?」

「? お初にお目にかかります陛下。この度はわたくしの生成ご苦労様でした。自身の力にも、与えられた役割にも、大変に満足しております、感謝を。これでよろしいでしょうか陛下」


 目を瞑る。

 頭の中を先ほどの言葉と光景がフラッシュバックするように繰り返され、俺はようやく何が起こったのかを理解した。


 マキナ、セラ、オルテ、ローズ、キキョウ、ニル、ユキ。

 そしてティア、これまでたくさんの配下を生成してきた。だが、こんなことって……。


 ご苦労様の部分に若干引っかからないでもないが、挨拶とお礼。なんてこった、こんなこと初めてだ。う、嬉しい。

 9人目の生成にして、ちゃんとした子が……。


「うん。ホリィ、期待して――」

「ですが、陛下ご自身だけは頂けませんね。わたくしの上に立つ者としては少々力不足。役不足」

「え?」

「これからの精進に期待致します」


 ……そうか。

 いつもと一緒か。


「それではご機嫌よう」

 ホリィは再びスカートの裾を摘まんでちょいと上げた。


 格好はティアと同じ制服。ミニスカート。

 そういうのはドレスでするものだろう、ミニスカートでやるとパンツ見えちゃうよ。危ないよ。


「そんな――、オルテ姉さんっ陛下がっ」

「しまったっ。やめろ、止まるんだホリィっ、お小遣いをあげるからっ」


「……精神的苦痛。慰謝料、3000P。お小遣い2000P、……計5000P」

「うふふやりましたわーっ。何買いましょう、ドレスと、香水、それから大きな鏡台も欲しいですわ」


 ……いつもと一緒か。


 というかお小遣いもか、止まったらって言ったじゃん。

「あれー?」


『 名前:ホリィ

  種別:ネームドモンスター

  種族:ダイヤモンドガーゴイル

  性別:女

  人間換算年齢:17

  Lv:0

  人間換算ステータスLv:140

  職業:天国の門番

  称号:栄光へと誘う昼の女王

  固有能力:完全防御 ・自身に対するあらゆる攻撃を防御可能。

      :魔像化 ・体の一部から全身までを魔像にすることができる。

      :美の結晶 ・周囲が美しければ美しいほど美しくなる。

      :合成の魔眼 ・左、視界内の対象物や対象エネルギーを合成する。

      :虚飾因果 ・虚飾に交わる。

  種族特性:石像化 ・石像になることができる。

      :魔法吸収 ・魔法攻撃を緩和する。

      :攻撃反射 ・あらゆる攻撃を反射する。反射できない攻撃に対しては脆くなる。

  特殊技能:エネルギードレイン ・生命力と魔力を干渉するたびに吸収する。

      :ヘブンズゲート ・天国を召喚する。

      :バージョンアップ ・現行能力を一時的に上昇させる。

      :アートレボリューション ・芸術を芸術を越える芸術に昇華する。

  存在コスト:3600

  再生P:14000P 』


 気品漂う黄緑色ツインドリルのツリ目お嬢様の瞳は、右が鮮やかな黄緑色、左が黄色。


 強い固有能力の数々、何より虚飾がついてるっ。これでコンプリートだ。わーいやったー。

 俺の生成結果コントロール能力は本物だな。


 ……性格には全く活かされないけどっ。


 どうして……。


 俺は2人を見る。


「……憂鬱、憂鬱。こんな美味しいものわらわが食べて良いはずないのに……、でもお箸止まらない。茶碗蒸し追加しよう。あとシードルも」

「この色彩感覚、全くおせちは素晴らしいですね。差異を確かめるためにも色々な物をとり寄せてみましょう。それから白ワインも」


 既に彼女達は宴会に参加し、ダンジョン強化費兼俺のお小遣いから続々と食べ物と飲み物を生成している。

 そこには一切の遠慮も加減もない。

 他の7人と同じだ。


「あ、ローズ姉さん、わらわがお注ぎしますよ。キキョウ姉さんはこちらを追加で注文なさいますか? しておきますよ。ユキ姉さんもいかがでしょう」

「セラ姉さん赤ワインも美味しいですわね。こちらも今お食べの料理に合うと思います、よろしければお飲みになって下さいませ。ニル姉さんもおせち、御一緒にどうぞですわ」


 いや同じってことはないな。

 まるで上司もいる飲み会に参加した新入社員のように、忙しなく走り回っている。


 甲斐甲斐しい。とっても良い子じゃないか。


 まあ、一番偉いはずの俺に対しては何もないが。


 どうして……。


「オー」

「……オルテ、慰めてく――」

「飴」

「飴だよー」


 ……。


 さて次は五獣だ。

お読み頂きありがとうございます。

新キャラ登場でございます。今日のところは名前だけでも覚えて下さい。


私事ですが、悪逆非道?のダンジョンマスターが、1万ユニークを越えました。誠にありがとうございます。これからも精進できるよう頑張りますっ。

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