第44話 さようなら、ダンジョンマスターは永遠に滅です。
ダンジョンあるあるその7
構い過ぎると嫌われる。
気に入った侵入者にアイテムを上げたり、得意な技を活かせる階層を作ったりしていくと、なぜか別のダンジョンへ行ったり引退してしまう現象のこと。
「うわあ、やられたー」
「ニルーっ」
ニルは形を失い、その姿をドロップアイテムへと変えた。
「ここまでのようじゃの」
「キキョウーっ」
キキョウも同じ。残ったのはただの2つのアイテムだけ。
「無念っ」
「ローズーっ」
「……届かなかった」
「オルテーっ」
「私の負けです」
「セラーっ」
次々と、俺が信頼をよせるネームドモンスターは倒されていく。後に残ったのは、酷い傷跡を残す城と、彼女達の魔石とドロップアイテム。
俺は震えている。
「くそう、ここまでか」
「ユキーっ」
そして最強の勇者たるユキまでもが、その姿を魔石とドロップアイテムに変えた。
天空に浮かぶ城。
100階層となったダンジョン。
だが、94階層、95階層、96階層、97階層、98階層、99階層の守護者は最早倒された。
ダンジョン史上、ネームドモンスターが侵入者に倒されたことはない、ユキが来た時ですら誰も倒されていない。だというのに既に――。
「ぜえ、はあ」
残ったのはマキナただ1人。
そのマキナは大きく息を切らし、今にも倒れそうなほど困憊し傷ついている。
しかし、マキナは生き残った。このダンジョンの歴史で最も激しい戦いを乗り越え、戦いを終わらせたのだ。
「アイアム、ア、ナンバーワンっ」
ユキを倒すことによって。
「第1回ダンジョン最強決定戦はアタシの優勝だーっ」
拳を高々と掲げ、指を1本だけ伸ばしたマキナの喜びは、空に響き渡る。
「そんで準優勝はユキ、3位はセラっと。撃墜数は1位がユキとオルテの同率、3位がアタシとキキョウか。いやあ、熱い戦いだったぜ」
俺は震えている。
震えて、震えて、考えることを止め、どこかでしてしまった間違いを探す記憶の旅に出かけた。
「どうしてぇ……」
『 名前:--
種族:人間
職業:ダンジョンマスター
勲章:異世界の知識を持つ者 ダンジョンの幕開け ダンジョンマスターとは ダンジョンの波瀾の幕開け ダンジョンマスターは波乱万丈 自殺志願者 常軌を逸したマスター 豪胆マスター 初めては固有モンスター 名付け親 命名センス 銘を授けし者 頑張ったで賞 ダンジョンマスター失格ダンジョンマスター 強者殺し 覇者殺し 到達者殺し 超越者殺し ドラゴンスレイヤー殺し 将の器 剣聖の名を継ぎし者 槍聖の名を継ぎし者 密偵狩り 補給潰し 祝踏破者駆逐 大物取り 上級竜を倒せし者 同族殺し 同族狩り 忌むべき邪悪 塔ダンジョン 転移洞窟ダンジョン 庭園ダンジョン 天空城砦ダンジョン 豪華絢爛ダンジョン 軌道機構ダンジョン 趣味趣向ダンジョン 宝物ダンジョン 安全ダンジョン 魔素溜まりダンジョン 魔素ダンジョン 美食ダンジョン 魔境の支配者 天空の支配者 一の世界を知りし迷宮 二の勝利を得し迷宮 七の誇りを制し迷宮 八の誇りを制し迷宮 百の骸を吸いし迷宮 千の骸を吸いし迷宮 万の骸を吸いし迷宮 愛の迷宮 誇の迷宮 骸の迷宮 死に神の派遣者 情報の暴虐者 汚職の政治家 極悪非道 万の軍を退けしダンジョン 余命宣告を受けし者 節約上手 貯金好き ドケチ P依存者 藁の家 木の家 レンガの家 この豚野郎 拘り住まい 絶対守護の砦 異質な執念 気狂いの執着 性格重視マスター キャラ萌え ド変態 特徴付けマスター シチュエーション萌えマスター 吐き気を催す醜悪なる存在 スキル大好きマスター スキル愛 異常性愛者 ステータス重視マスター 偏屈脳筋 省みぬ挑発野郎 鬼教官 豪運 九死に一生の天運 明日死ぬ Pアホ使用者 ギャンブル依存症 ダンジョンマスターやPの意味が分からない馬鹿 外道 ド外道 登用者 カリスマ イケてるダンジョンマスター 魔王を従えし者 勇者を従えし者 亜神を従えし者 上級風竜を従えし者 魔王 魔神 』
生後92日目。
俺はこうなりました。
もうね、はい。こうなりました。
これで元々生まれたわけでも作られたわけでもない、俺自身の歩みでこうなりました。
大事なのはその生き方さ、と言っておいて、これがその生き様です。
人との戦争とダンジョンマスター同士での戦争が終わり、長い長い宴会も終わったその次の日の朝。
窓から入り始めた朝日に抱かれ、そして美しく可愛らしい7人に抱かれ、俺はメニューを見ている。
全員状態異常耐性が高いからか、酒臭いのは徐々に収まり、俺は美女特有の良い香りの中で一夜を過ごした。
だからだろう、とてもとても捗り、ダンジョンマスターとしてダンジョン強化に勤しんだ。
その結果がこれだ。
「なんてこったい」
なんて言っていいのか、なんてこったいと言って良いのかも分からない、悪口の多い自身の勲章。
一体全体、何が追加されてしまったのだろう。
最後に確認してからほんの数日じゃないか。2日じゃないか。その内ほとんどの時間が宴会だったじゃないか。
俺は新しく追加された勲章を一つ一つ見ていくことにする。
『 ダンジョンマスターとは
ダンジョンが繋がってから100日間生き延びたダンジョンに授けられる。
・1000P獲得 』
『 ダンジョンマスターは波乱万丈
ダンジョンが繋がってから100日間で波乱万丈を繰り返したダンジョンに授けられる。
・1000日目まで100体分の復活用再生Pを肩代わりする』
『 頑張ったで賞
ダンジョンモンスターが初めて進化したダンジョンに授けられる勲章。
・500P取得 』
ふむふむ。
確かに波乱万丈だった。1000日目まで100体の復活用再生Pの肩代わりはありがたい。
未だかつて我がダンジョンは侵入者にダンジョンモンスターが倒されたことのない最強ダンジョンであるが、かかった復活P代は群を抜いて多いはずだ。
ローズとニルが1回ずつ、計3万6000P。
通常のダンジョンではマスプロモンスターしか死なないだろうから、1000分の1になる。
つまり3600万P分の魔物が死ななければそうはならない。
ローズやニルと同じクラスの1000Pで生成される魔物で数えたなら、3万6000回死ななければいけないわけだ。……どんだけだよ。
だから良かった、この勲章はとても嬉しい。
気になるのは、無料だから殺し合いしてもオーケーみたいな風潮にならないかどうかだけだ。まあきっと大丈夫、そんなことない、大丈夫さ。
『 同族殺し
ダンジョンマスターの降伏を命乞いを無視し殺害した者に授けられる。
・ダンジョンモンスター魔石等級上昇
・同族殺し能力上昇
・ダンジョンモンスターの同族殺し行動成功率上昇 』
『 同族狩り
ダンジョンマスターの降伏を命乞いを無視し、複数の命を奪った者に授けられる。
・ダンジョンモンスター魔石等級制限一部解放
・ダンジョンモンスター魔石等級上昇
・同族殺し能力上昇
・ダンジョンバトルにおいて自身の降伏可能階層を1割浅く移行する
・ダンジョンバトルにおいて敵対者の取得P上昇
・ダンジョンバトルにおいて敵対者の降伏可能階層を1割深く移行する 』
『 忌むべき邪悪
同胞たるダンジョンマスターの度重なる降伏を、必死の嘆願を無視し、乞うた命を無慈悲にもPへ変えた者に授けられる。
・ダンジョンモンスター魔石等級制限一部解放
・ダンジョンモンスター魔石等級大上昇
・ダンジョンモンスター生成リスト一部追記
・ダンジョンコア波動強化
・ネームドモンスター自我強化、命令違反可能
・ダンジョンバトルリストに自軍情報記載
・ダンジョンバトル降伏不可
・ダンジョンバトル拒絶不可 』
ここに関して、言葉は不要だ。
言い訳なんてするつもりはない。
ただ1つ言わせてくれ。違うんです、僕は止めたんです、そんなつもりじゃなかったんです。
『 塔ダンジョン
ダンジョンに塔を建造した者に授けられる。
・階層制限1階層緩和
・塔内のコスト限度上昇 』
『 転移洞窟ダンジョン
ダンジョンに転移陣と洞窟を建造した者に授けられる。
・階層制限2階層緩和
・転移迷宮内の魔物のステータス上昇
・転移迷宮内のコスト限度上昇 』
『 庭園ダンジョン
ダンジョンに庭と水辺を建造した者に授けられる。
・階層制限2階層緩和
・庭園内の魔物のステータス上昇
・庭園内のコスト限度上昇 』
『 天空城砦ダンジョン
ダンジョンに空大地と城と砦と関所と玉座を建造した者に授けられる。
・階層制限5階層緩和
・天空城砦内の魔物のステータス上昇
・天空城砦内のトラップ効果上昇
・天空城砦内のコスト限度上昇
・天空城砦内の再生P減少
・天空城砦内の獲得P上昇 』
……。
まあ、勲章が用意されているということはありふれているということさ。
『 豪華絢爛ダンジョン
ダンジョンに豪華絢爛な家屋を建造した者に授けられる。
・建造物生成P減少
・獲得P上昇 』
『 軌道機構ダンジョン
ダンジョンに軌道機構を建造した者に授けられる。
・環境生成P減少
・獲得P上昇 』
『 趣味趣向ダンジョン
ダンジョンに趣向を凝らされたギミックを建造した者に授けられる。
・トラップ生成P減少
・獲得P上昇 』
『 安全ダンジョン
ダンジョンに安全なルートを用意した者に授けられる。
・消費P減少
・獲得P上昇 』
『 魔素ダンジョン
魔素溜まりを設置しまくったダンジョンを運営する好き者に授けられる。
・各階層コスト制限を×5緩和
・魔素溜まり産出魔物魔石等級上昇
・魔素溜まり産出魔物種族制限一部解放 』
『 天空の支配者
天空を支配した者に授けられる。
・階層制限5階層緩和
・魔物生成消費P軽減
・領域拡大時P減 』
……。
はい。
『 一の世界を知りし迷宮
1度の生で世界を知った最高のダンジョンマスターに授けられる。
・階層制限50階層緩和
・各階層コスト制限を×25緩和
・ユニークモンスター総数制限1000まで解放 』
『 二の勝利を得し迷宮
2度の戦争を勝利で終えたプロのダンジョンマスターに授けられる。
・階層制限10階層緩和
・各階層コスト制限を×15緩和
・アイテム総数制限1000まで解放 』
『 七の誇りを制し迷宮
7度のダンジョンバトルを誇りで制したビギナーダンジョンマスターに授けられる。
・階層制限5階層緩和
・各階層コスト制限を×2緩和
・ギミック総数制限1000まで解放 』
『 八の誇りを制し迷宮
8度のダンジョンバトルを誇りで制した一人前ダンジョンマスターに授けられる。
・階層制限5階層緩和
・各階層コスト制限を×3緩和
・ギミック総数制限1万まで解放 』
この辺りはどんなダンジョンマスターも授かる方法を知っている基本の勲章。
一が、ユニークモンスターの総数。
二と三が、アイテム総数。
四と五と六が、建物の総数。
七と八と九と十が、ギミック総数。
百と千と万と億と兆が、ダンジョンモンスターの総数。
そしてそれぞれ全て、階層制限とコスト制限を上げる効果を持つ。ダンジョンを大きくしていくためには必須の勲章だ。
いやはや、色々授かってますねえ。
しかし戦争はどうして2回目なのだろう。……竜の死体を奪ったからあれが戦争勝利にカウントされてるのかなあ。
どうして初日から戦争をしているんだろう。不思議だなあ
『 誇りの迷宮
5つ以上のダンジョンとの同時ダンジョンバトルにおいて全てのコアに敵対されつつも勝利した同情すべきダンジョンマスターによく頑張ったと気持ちを込めて授けられる。
・各階層ギミックコスト制限解放 』
そして制限解放系の勲章も着実に授かっている。
俺だってダンジョンを工夫して作り上げたいのに……。
『 拘り住まい
住居を1000P以上使い生成した住まいに拘る者に授けられる。
・環境生成時P消費量軽減 』
『 絶対守護の砦
住居を1万P以上使い生成した住まいを重視する者に授けられる。
・環境生成時P消費量減少
・P取得量増加 』
『 異質な執念
住居を10万P以上使い生成した住まいに異様な拘りを見せるする者にこれ以上無いよと授けられる勲章。
・環境生成時P消費量減
・各環境生成時P使用制限2倍 』
『 気狂いの執着
見栄えのみに注力した住居を10万P以上使い生成した愚考を愚考とも思えない真性のかぶき者にもう止めろとの意味を込めて授けられる勲章。
・各環境生成時P使用制限解放 』
えーっと。
はい、ドケチ系ですね。
『 鬼教官
配下にスキルを多数身につけさせたダンジョンに授けられる。
・ダンジョンモンスター学習機能上昇 』
『 ダンジョンマスターやPの意味が分からない馬鹿
ダンジョンを省みず己の私欲のみでPを大量に消費する、Pの無駄遣いが過ぎる救いようのない者に授けられる。
・ネームドモンスター取得経験値大上昇
・ネームドモンスター思考力上昇
・ネームドモンスター自我強化、命令違反可能
・ネームドモンスター初期忠誠心無し
・ネームドモンスター自身により魔石を心臓に変換可能
・ネームドモンスター月に1度のみ自力P使用により即時復活可能
・ネームドモンスターダンジョン権能権限獲得
・ダンジョンマスターによるダンジョンコア放棄可能 』
『 魔王を従えし者
魔王となった者を従えているダンジョンに授けられる勲章。
・ダンジョンモンスターステータス上昇
・ネームドモンスター能力向上
・魔王再生P減少
・倒した魔物が一部を除き生成可能になる 』
『 亜神を従えし者
亜神となった者を従えている者に授けられる
・亜神のステータス上昇
・下位天使までを生成可能 』
『 魔神
魔神に至ると授けられる
・P消費減
・生成リスト追加
・生成リスト制限一部開放
・例外を除き倒した種族の魔物が生成リストに加わる
・アイテムP還元率上昇
・ネームドモンスター復活時消費P減
・ネームドモンスター進化完全開放 』
「ふう、確認終了」
いやあ、見る前は胃がキリキリしてしょうがなかったが、見た後はもう晴れやかだ。
こんな気分になるんならもうちょっと早くしておけば良かったよ。
はっはっはっは。
……。
……。
ポチっとな。
『 ダンジョンマスターによるダンジョンコア放棄
ダンジョンマスターはその意思により、ダンジョンコアやダンジョンとの繋がりを断ち切ることができる
その後死亡する 』
……。
……。
はっはっはっは。
……。
……。
おいおいおいおい。
おいおいおいおい。
おいおいおいおい。
おいさっさ。
『 ダンジョンマスターやPの意味が分からない馬鹿
ダンジョンを省みず己の私欲のみでPを大量に消費する、Pの無駄遣いが過ぎる救いようのない者に授けられる。
・ネームドモンスター取得経験値大上昇
・ネームドモンスター思考力上昇
・ネームドモンスター自我強化、命令違反可能
・ネームドモンスター初期忠誠心無し
・ネームドモンスター自身により魔石を心臓に変換可能
・ネームドモンスター月に1度のみ自力P使用により即時復活可能
・ネームドモンスターダンジョン権能権限獲得
・ダンジョンマスターによるダンジョンコア放棄可能 』
えげつない効果ですよ?
なんだね、死ねと?
それに他の効果も危険過ぎる。
取得経験値大上昇があったらグングンLvが上がる。ダンジョンとして強くはなるだろうが、その分手に負えなくなってしまう可能性が高い。
俺は手に負えなくなってしまった状態をよく知っている。これは本当に危険なんだ。
思考力上昇とて、危険な効果だ。自身でより深く考えることができるようになれば、ダンジョンマスターの思考力すら越え言うこと全てに疑問を感じるようになる。徐々に信頼を失うだろう。
俺は思考力を越えられた状態をよく知っている。これは本当に危険なんだ。
自我強化、命令違反可能は言わずもがなだ。ネームドモンスターが言うことを聞かなくなったダンジョンがどうなるか。
俺はよく知っている。
……、なぜ、なぜ俺はそれを知っているんだ?
これを授かる前から、なぜ。
初期忠誠心な無し。尊敬されていなければ、言うことを聞いてくれない。攻撃を受けることとてある。
……なぜ俺はそれを知っている。
魔石と心臓を変換したなら、ダンジョンコアが破壊されても生き残れるようになる。いや、それは最早どうでも良い。最も大きな問題は、ご飯が必要になることだ。
ネームドモンスターが毎日何食食べるのか知っているかい? 宴会にどのくらいのPがかかるのか知っているかい? 安い料理を出すとそれが誰のものになるか知っているかい?
俺は知っている。
どうして、どうして俺は知っているんだ……。
何も変わってないじゃないか……。
しかしまあともかく、悪口はさらに増えた。
もう悪口は取りきったと思ったのに、ダンジョンマスター殺戮事件関連を除いても、たくさん手に入ってしまった。
あとどれくらいあるのか、恐怖に怯えるばかりだよ。
そんなに無駄遣いだったかなあ。
確かにたくさん使ってしまったとは思っているが、そこまでではないだろう。ダンジョンのことを思っての使用なのだから。
あ、もしや、無駄遣いって食費のことか?
確かにそこまで取る必要の無い食事に毎食1000Pは使いすぎだし、昨日の宴会では1万Pも使っている。
100P、いや10Pを稼ぐのだってダンジョンにとっては大変なのだ。それだけ使うなんて正気の沙汰じゃない。
ということは、うん、俺が無駄遣いをしたわけではない。
それなら良いのさ。
これから俺達8人が住む新しいお家、お城を生成したから無駄遣いと言われているわけではない。間違いなく違う。
ふう、落ち着いた。
「ん……、ふぁ……。おはようございますご主人様」
俺の左腕で眠っていたセラが目覚め体を起こす。
悪いことをしていた場合、俺を怒るのはセラの役目。怒られると思えば体は自然と震えだし、動揺するはず。
だが落ち着いた俺は、セラが起きてきても全く動じない。ふふふ、ということはつまり俺は悪くない。
やましい気持ちなんてどこにもない。
俺は爽やかに、いつも通りの朝のようにセラへおはようの挨拶をかわした。
「おはおはおはおはおはおはおはよよよよよよ」
「……なぜそんな動揺を? ん、ベッド……、部屋……」
「どどどどどどどどうしたって? えー? 何ー? 聞こえない、この部屋? この部屋なんでもないんじゃないかなーっ。うんっ。セラさんは何が欲しいんだい? 何でも生成しようじゃないか」
「――。……。……」
「いや、違うんだセラ聞いてくれ。聞いてください。聞くんだっ、どうか聞いては頂けないでしょうかっ」
「皆、起きて下さい。朝ですよ」
セラは手をパンパンと叩く。
すると眠っていた6人は眠い眼をこすりながら、次々と目覚めていった。
「んなあああー、朝かー。おろ、ここは? ……城?」
「……スッキリ、む? 浮いてる?」
「おはようございます主様。ほう、窓の横に雲が、住まいが随分様変わりしましたね」
「ふあーあ、まだ寝足りんのう。……おお、研究所もあるの、が……」
「おっはよー。……んんんー? あれ、あれ、あれ? Pは? ご飯のPは?」
「にゃふう、にぇむ……。ん? なんだこれ、頭の中に城の情報? あ、このダンジョンの新しい建物の情報か、へーこういうのも見れるんだ。Pも見れるな――って残りPが3?」
7人が目覚めると同時に俺の体は解き放たれる。
だから俺は素早く体勢を整えた。
「一夜にして44万Pが消えました。犯人はコイツです」
「すみませんでしたーっ」
土下座の体勢を。
……あれ、宴会で消費された1万Pも俺のせいにされてる。
第4章が始まりました。
今章も是非よろしくお願い致します。
第3章までで、ブックマークや評価下さった方、ありがとうございました。
これからもご期待や思いに応えられるよう、努力いたします。
また、誤字報告下さった方もありがとうございます。助かりました。
以後ないように気をつけますが、もし見かけましたら、申し訳ありませんまた教えて頂けると幸いです。
皆様の記憶に残れるよう、話題に上れるよう、より良い作品目指して頑張ります。




