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第11話 何か喋ってくれ、オルテっ。

ダンジョンマスター格言その11

魔物は育てるために使い、罠は見極めるために使う。

「あのー、オルテ?」

「……なに?」

 声ちっさ。あとぶっきらぼう感が強い、さすが職人気質。


「えっと、これからもよろしくね?」

「…………」

「……あの」

「……」

 コクンと頷く。

 喋らんのかいっ、反応も遅いなっ。


 俺は心の中でツッコミを入れて、改めてオルテを見てみる。


 オルテは可愛らしい女の子。


 帽子を深めに被っているため見え辛いが、それでも分かる大きな瞳は、深い緑色。髪の毛は銀色で、2つの三つ編みが帽子から長く垂れている。


 体は華奢で、折れそうなほど。しかし胸は露出のない服からでも分かるくらいに、大きめ。

 弓を撃つのに邪魔じゃないのか、ああ日本式の打ち方じゃないなら、邪魔にならないか。……ごめんなさい、そんなところ見てないです、はい、紳士なので。隠さなくても大丈夫です。


 身長は小さく、140cmを少し上回るくらいだが、体つきに幼さはなく、顔も小さい。

 無口の職人気質設定が、予想以上に作用しているのか、顔の表情は全く動かない、まさにポーカーフェイス。いや、それをも通り越したような、無表情な子なようだ。


 ――だが。

「お近づきの印に、どうぞこれをお納め下さい」

 俺はPで作ったそれを渡す。

「――」


 白と赤のグルグルが、中心に向かって渦巻く、お菓子。飴。棒がついた飴。

 差し出されたそれを見た途端、オルテの無表情だった顔が、一気にパァッと華やぐ。

「……いただく」


 オルテはそう言って、俺の手から音もなく飴を奪い取り、向こうを向いて食べ始めた。無音で、ボリボリといった音は聞こえないので、舐めて食べる派のようだ。


 へっへっへ、俺はそれを見てほくそ笑んだ。まさに、悪の首領、そんな言葉がよく似合う笑みだろう。俺にかかれば、こうやって弱点を用意し、反乱を起こさせず命令を聞かせるなんて、チョロイもんさ。

 日々学習していく、それが、人間の1番の強さ。

 人間種族のダンジョンマスターの、1番の強ささ。


『 名前:オルテ

  種別:ネームドモンスター

  種族:ハイダークエルフ

  性別:女

  人間換算年齢:16

  Lv:0

  人間換算ステータスLv:126

  職業:ダンジョンの暗殺者

  称号:右党のシリアルキラー

  固有能力:無音の暗殺者 ・暗殺行動時全ての成功率が上昇する。

      :必中必殺の射手 ・遠距離から放つ射撃攻撃に対し補正。

      :殺戮制御 ・攻撃威力上昇

      :千里の魔眼 ・左右、障害物明度関係なく全方位を遠くまで見通す。

  種族特性:森魔法 ・森魔法使用可能

      :森の恵み ・森からの恵みを受けることができる。

      :森地同化 ・森や大地と同化できる。

      :太古の知恵 ・脈々と受け継がれてきた知恵を授かる。

      :半精神体化 ・体の少しを精神体へと変換できる。

  特殊技能:カラミティアロー ・地脈に干渉し物理現象を曲げる。

      :エナジードレイン ・生命力と魔力に干渉するたび吸収する。

  存在コスト:3000

  再生P:20000P 』


 オルテのステータスは、マキナやセラと比べたら、遥かに落ちる。

 しかしそれも当然。元々の種族的な格も遥か下であるし、生成につぎ込んだPなぞ、マキナの3分の1、セラの3分の2と、随分違うのだから。


 けれど、それでオルテが弱い、と決まるわけではない。


 重要なのは、オルテ自身の強さ。

 戦い方の巧みさ、精神の強さなど、そういったものや、あとは、例えば、固有能力。


 固有能力とは、その者しか持たない、特別な力のこと。先天的な異質な才能でも良いし、後天的に開花した才能でも良い。とにかく、尋常ならざる力のことだ。

 基本的に、1つも持っていないのが普通で、持っていたとしても、鑑定だとか、そういうあまり使えない系。

 勇者のように逆境を迎える度に、飛躍的に成長していく者でも、まともに使える固有能力は1つ2つが関の山だろう。


 固有能力は、自身の現在の能力を底上げし、また、本来不可能であるはずのことを可能にする。それいかんによっては、格上に対してでも、匹敵する力を、時には上回れる力を発揮できる、そんなくらいに凄いものだ。


 オルテは、それが4つ。

 無音の暗殺者、必中必殺の射手、殺戮制御、千里の魔眼。


 一体どれだけ、遠距離からの弓攻撃を強化すれば気が済むのか、どれだけ弓による暗殺を極めれば気が済むのか、そんな固有能力だ。

 暗殺においては、マキナとセラ、両名を遥かに上回る存在と言って良いだろう。


 また、オルテの場合、種族特性もかなり強い。大半は森関連で、ダークエルフらしいものばかりだが、一番最後、半精神体化ってのが実に強い。

 精神体になれば物理攻撃無効になるので、持っている者と持っていない者との差は、かなり大きなものになる。

 体の少しを、と記載されているので、無効ってほどにはできないのかもしれないが、十分十分。


 種族特性は、その種族によって、得られる力がが決まっている。

 ダークエルフなら、オルテのように、森関連中心。


 しかし、だからと言ってその種族全てが、その種族特性を得られるわけではない。

 例えば、ハイダークエルフの中でも、半精神体化を持っている個体と、持っていない個体が存在する、ということだ。優劣、才能? まあそんなもの。

 つまり何が言いたいかと言うと、神に近しい存在が得られる精神体、これを得られたオルテは、ハイダークエルフの中でも、随分優秀な個体である、ということ。


 さすが可愛い可愛い我がダンジョンモンスター。

 明日死ぬなんて勲章は伊達じゃないぜ。


「ほら、見てごらんセラ。攻撃力があまり高くないハイダークエルフだけど、固有能力の殺戮制御のおかげで、随分跳ね上がっているんじゃないか? 俺には、あくまで人間換算したら、平均値がLv何並です、ってことしか分からないから、分からないけど」

「ええ、そうですね。私から見ますと、オルテの攻撃力は目を見張るものがあります。ハイダークエルフですから、器用さには元々定評もありますし、必殺の弓との相性も良いことでしょう」

「やったぜ」


 明日死ぬなんて勲章は伊達じゃないぜ。


「ですが、消費したPは20000。アーチャーダークエルフの300Pが、どうしてか、ゴミのように思えるてしまうようなPがかかっていますね」

「え、いや、でもほら、強いよ」

「左様でございますね。アーチャーダークエルフでも、十分戦果を期待できる作戦を立てておりましたので、正しい意味合いでの役不足が当てはまるほど、強いですね」


「……、ま、まあまあ、不測の事態に……、備えた的な」

「おや、ご主人様の中では、不測の事態に備えられるほど余裕があったのですね? 全てが上手くいき、ようやく勝つ可能性が見えてくるほどの戦力差、と私は認識しておりましたが、違いましたか?」

「……仰る通りでございます」


「幸い、確かにオルテは強く生成されました。暗殺の任を任せることに、なんら異論はありません、ご主人様は慧眼でございますね」

「……本当に申し訳ございません」

「一緒に、全ての作戦を見直しましょう」

「はいもちろんでございます。ありがとうございます」


 ぐうの音も出ないね。


 しかし、しかしだ。反論が1個あるとすれば、軍隊を倒した後も生活は続く。

 そんなとき、マキナやセラは強いのに、オルテだけが弱い。なんて状況は、ダンジョンモンスターの父たるダンジョンマスターにとって、悲し過ぎる。そんな悲しさを避けるため、俺はやったのさ、やらざるを得なかったのさ。


「あの軍隊を撃退すれば、十分な量のPが手に入るのですから、武装で補えば良かったかと。今は乗り切ることだけを考えるのが、先決だと愚考しますが?」


 ぐうの音も出ないね。


 というか俺、声も出してないよね。


 あれー?

 心読みすぎじゃない、そんな魔眼でしたっけ?

「いえ、石化と魅了の魔眼です」

 ほらあ、凄く読んでくるよう。


「あー、オルテさん」

 心苦しくなったので、俺はオルテに声をかける。

 が、飴を舐めるのに忙しかったのか、ギロリと睨みつけられただけで終わってしまった。……俺ダンジョンマスター、君達からすれば創造主のはずなんだけどなあ。


 俺はオルテが飴を舐め終えるのを待ち、改めて話しかける。


「オルテ、今度人間の軍隊が攻めてくるんだけど、その軍の中にいる強い人を倒して欲しいんだ。これ弓ね、矢もあげる」

 声をかけられたオルテは、天にも昇るような満足気な表情をしており、こちらの言うことを聞いているような、聞いていないような。


「矢は本番でまた違う矢を渡すけど、一先ず、この普通の矢を使って17階層の侵入者を倒して、Lvを上げておいてくれないかな」

 全然反応がないと、下から伺いを立てる感じになってしまう。

 俺は気が弱い性格だったのか……。


「……」

 若干の沈黙の後、無表情を取り戻したオルテは、コクン、と頷く。

 そして、俺から弓と矢を受け取り、装備。おお、似合うじゃないか、魔法使いチックな姿をしているのは置いといて。


「オー、オー」

「おー? ……ああなんだ。やるぞ、エイエイオーっ」

「違う、殺すぞ」

 シンプルな殺害予告っ。尊敬はいったいどこへ。


「あ、おーって王か、王。俺?」

 別に王じゃないと思うんだけど。まあ王と敬ってくれ……てるわけではないか。なんて矛盾っ。


 いや、あの2人も俺のこと、マスターとかご主人様って呼んでるな、関係ないのだろうか。敬称って国や言語が違うとよく分からなくなるよね。


「どうした?」

「……道中、の分。……」

 そう言って俺にVサインをしてくるオルテ。

 ……、俺は飴2本をオルテに渡す。


 尊敬は一体どこへ……。


 満足そうな表情をしたオルテは、家から出て森の中へと消えて行った。

「17階層以外の魔物を倒しちゃダメよー」

「さて、オルテも出かけたことですし、遠慮なく怒れますね」

「えっ?」


 自分のことで、誰かが怒られるのは辛いものだ。

 だからセラさんは、オルテがいる間、あまり怒らず、優しく接していた。うん、とても優しく接してくれていた。

 セラは本当に優しさに溢れている。それが分かった良い時間でした。

 ええもう心の隋まで優しさは染み渡りましたとも。


 いやあ、死ななくて良かった。

 明日死ぬって勲章は伊達じゃないぜっ。まず今日は助かるんだからっ。


「さて、オルテの戦闘の様子でも見てみるか」

 俺は怒られた後、マップを使って17階層を探してみた。

 苦戦しているのかな、それとも張りきっているのかな、そんなことを考えて。でも、どうしてだろう、17階層のどこを探してもいないの。

 もしかしてやられちゃったのかもしれない、そんなことを思っていたら、10階層にいたの。どうしてそんなところにいたんだと思う? それはね……、魔物を狩るためさああっ。

「うわああああーどうしてえええーっ」

「ご主人様、軍の会議の様子を映します、ご覧下さい」

「はい」


 夕方、太陽が赤く染まり、家の窓ガラスから光の影が伸びるこの時間。セラさんがテレビにコードを繋ぎ始める。異世界の知識に有った道具だ、早速使われている。

「……え、軍の会議がそこに映るの?」

「蝙蝠が会議室へ侵入し、ご主人様から頂いたカメラを仕掛けたので」

 ああそう言えば色々出したなあ。


「残念ながら、結界によって電波が遮断されるため、リアルタイムの通信は不可能です。人のいない時間にカメラ本体を交換することならば可能でしたので、現在はそのように行っています」

 ……セラさんが有能すぎて怖い。でも俺は今、ダンジョンマスターとして最低なことをしている。ダンジョン外に著しい干渉をするなぞ、罪悪感が半端じゃない、この気持ち、セラに届くのだろうか。

「いいえ」

 届かないようだ。


「もう町に軍隊が着いたんだっけ?」

「まだですね。ですが伝令は、今日の未明に到着しておりますから、会議は既に開かれた後です。蝙蝠達の飛ぶスピードはそう早くありませんので、リレー形式にしても4時間ほどのズレはございます、申し訳ございません」

「いやいや、十分十分、十分過ぎるくらい。むしろやり過ぎなくらい、もっと控えて欲しいくらい」


「本当は、あそこに毒ガスを仕掛け、抹殺しようと思ったのですが」

「それだけは止めてくれ。俺の心労がヤバイ。というかそんなことしてバレたら、このダンジョン終わりじゃん、色んな人が攻めてくるよ」

「はい、ですので実行してはいません。ですが、もし実行したとしても、バレることなどございませんので、御安心下さい」


 ……やっても良い条件が整ったら本当にやりそうだ、安心なんてできやしない。有能過ぎる部下を持つのも考えものだな。


「お嫌ですか?」

 ……、しゅんとした表情。

「……いや、良いと思う」

「そうですか」

 ニコリと笑顔を見せてくれるセラ。とても美しい、この子のためなら俺の心労なんてなんのその、全てを許してしまいそうだ。


 これが色香に狂うということか。やはり知識だけで経験がないと人間ダメだな。くそーっ。

「毒ガスも許可、と」

 くそーっ。


「というか、ここから町まで60km、軍隊は、ダンジョンの端から出発したんだから40kmくらい? 鍛えられてるのに、1日で着かないもんなんだね」

「ご主人様の仰る車や飛行機はありません、物資の運搬には時間がかかるものです」

「ああ、まあそうか」


「それに、上級風竜との戦闘を行ったのですから、兵達も疲弊しているでしょう。魔境の森は危険ですから、警戒しながら進む必要もあります」

「なるほど」


「また、理由は不明ですが、近辺に生息していた魔物達は、ダンジョンから遠ざかるよう大移動しています。道中でどうしても相対するでしょう」

「な、なるほど」


「なにより、犠牲を出し打ち倒したはずの戦果を奪われ、仲間の遺体はおろか、遺品すらもない帰還なのです。足取りが重いのも当然でしょうね」

 なんだか申し訳なさが極まるなあ。

 セラさん達に酷いことをしないでと言っても、説得力がないはずさあ。

 きっと言うことを聞いてくれないのは、そういうところが原因だな。威厳が足りないわけじゃないさ。


 ……というか魔物達がダンジョンから離れるよう大移動してる原因を、この人、不明としてなかったか? 貴女達のLv上げのせい以外の何物でも無いよっ。

 彼女達は一体、どのくらいのことをしでかしているのだろう、俺には知る術が1つもない。


 俺達はテレビに映った、会議を見ている。

「……んー、上級風竜討伐よりかは戦力が落ちるっぽいけど、Lv200を召集する気満々だなあ」

「できたばかりのダンジョン討伐に、上級竜討伐よりも名誉があるはずはありませんから、人は集まらないのでしょう。魔境に入るだけでも命の危険はありますし。ですが、数は5000名を予定しているようです」

「5000……」


「正規兵は、1000名もいない程度でしょうか。大半は、褒賞金を目当てに集まる市民達からなる義勇兵、それから、それを目的に貸し出される奴隷兵です。想像し得る中では、良い部類ですね」

 会議の結果、そんなことが決まっていたと、セラから教えてもらう。


「斥候として軍から、そして冒険者から幾人か来ますので、殺すか偽の情報を持たせましょう。何人かは私が魅了しておきます」


「……、セラさんはなんだか、ダンジョンのルールをめちゃくちゃ破るよね」

 普通、ダンジョンモンスターはセラのような盤外戦術を取れない。生理的な嫌悪感や、心理的な忌避感もあるが、そもそも物理的にも無理なはずなのだ。


 にも関わらず。一体なぜ?

「ご主人様の勲章の賜物ですね」

「俺のせいか……」

 悪口の勲章に、そんな効果があるものが……。

 吸血鬼公爵は本来なら、遊ぶように、1人で都市を滅ぼせる強さを持つ。人間との戦争なんてそんな些事に興味はない、みたいなクラスの魔物だからね。

 セラは、ダンジョンの魔物であるから、低階層低Lvの内は、そこまででの強さは持てないものの、それでも盤外戦術を取ったら、そりゃあえげつない戦果を生み出せるよ。


「まあ、頼もしいです、はい。ただやり過ぎには注意してね?」

「確かにそうですね。限りなく引き分けに近い勝ちでなければ、今後も問題が発生するようですし、やり過ぎもよくありませんね」

 それは、俺の思っているやり過ぎと、同じやり過ぎなんだろうか。俺の勝手な意見だが、違うと思う。

「会議でそんなこと言ってたね、脅威度的な」


 けれどツッコミは入れない、世の中には勘違いって言葉もあるからね。

「ダンジョンに、フッ化水素の雨を降らすのは、やめておきましょう」


「やめてくれて良かった。俺は人類の敵になりたくねえよ」

「回復魔法がありますし、耐性もありますから、そこまでの問題にはなりませんよ。弱い者が数百人単位で殺せるだけです」

「十分ヤバイよ。というか一応ダンジョン内って、俺自身みたいなもんだから止めてっ」

「では、近隣の市内で行いましょう」

「やめてっ、余計やめてーっ」

「……」

「返事がなくなったっ?」


 フッ化水素かー、異世界の知識って凄いなあ。手段を選ばなかったら核爆弾もPで生成可能だからなあ。

 でも生成しても使い辛いんだよね。

 即死武器とか即死罠とかそんな扱いになるから。


 勲章の1つで、即死罠も解放されてるから、使えるっちゃ使えるけど、使うのなら、色んな設備がいるから、そこのP消費もあるし、コストも相応にかかる。

 コスト制限が解放されてるのは魔物のコストだけだから、罠のコストだったりはそのまま。


 本来、魔物や罠など全部合わせてのコスト制限なわけだし、魔物が抜かれている分で、罠にかけられるコストも増えたと言えるが、さすがに核爆弾は20階層じゃ設置できないよな、100階層を越える高階層なら、設置できるかもしれないけど。

 ……そこまで来た侵入者なら、核爆弾でも防御できそうだな。怖っ。


 ……あ、ダンジョン外なら使えるのかも。

 ダンジョン内じゃ使えない制限をかければ、運び出せるだろうし……。あ、いけるな。凄くいけるな。……そんなことしたら俺の胃に穴が開くね。

 止めてくれい。気付くな、気づくんじゃない、セラっ。

「なるほど」

 ダメだった。


 まあダンジョンには色々なルールがある。

 そういった設置関係のルールは、特に多い。

 魔素溜まりを設置する時のように、近場に魔物がいたりすると設置できなくなったり、変更もできなくなる。

 あんまりごちゃごちゃと手を加えるな、ってことだね。


 自然型ダンジョンはその辺り、元々先住民がいる分、ガチガチに縛ると身動きできなくなるため、異空間型ダンジョンよりも随分緩いんだけどさ。

 厳しかったら繋がった瞬間から、魔物を1体も出せずに死亡とかあるしね。

 まさに俺のように。


「冗談ですよ。私も思考強化されたネームドモンスターとは言え、ダンジョンモンスターですし、ダンジョン外で、力の限り猛威を奮うのは、流石に不可能です」

「あ、そうなんだ」

 なら良かった、心配する必要はない。


「まだ、ですが」

「……」

「直接は、ですが」

「……と、ともかく今度の進軍をなんとかするために頑張ろう。プランは6番が1番近いのかな? ならこの3体の魔物を作れば良いんだよね」


「ええ、よろしくお願いします」

 セラと一緒に考えた必要な魔物3体。

 生成するのは明日。頑張ろうじゃないか。


 どうか良い子になりますようにっ。この切実な思い、誰だか知らないけど届けっ。

お読み頂き誠にありがとうございます。

馬鹿らしいお話ばかりですが、お好みに合えば嬉しいです。


今後ともよろしくお願いします。質問感想や御意見、お待ちしております。

ありがとうございました。


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