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第10話 悪辣なる作戦。

ダンジョンマスター格言その10

ただ一つのミスもしてはいけない、しかし完璧でいてもいけない。

 俺はポツンと家に1人。

 防御力皆無の掘っ建て小屋の中、2つの映像を見ていた。


 人型で戦うマキナ、メイド服で戦うセラ。

 美少女と美女。

 いつどんな時に見ても美しく、可愛らしい彼女達が、その映像の中で繰り広げているのは、最早なんと言って良いのか分からない、バイオレンスショー。


 魔境の魔物は強い。

 そうでないのなら、魔境などとは呼ばれない。少なくとも、多少鍛えた程度の人種では、太刀打ちできるはずもない強さだ。

 Pで言うなら600P台クラス、森の主など、そういった種族の魔物が、魔境では雑魚と呼べる存在であるかのように、わんさかいるのだ。


 だが、マキナの種族は上級風竜。生成には1万P。

 セラの種族は吸血鬼公爵。生成には1500P。

 飽きれるほどに、彼女達は上位者だ。

 

 だからもう、なんと言って良いのか分からない、バイオレンス。


 ダンジョンモンスターなので、ダンジョンの仕様的に弱体化しているし、ダンジョンのルールに背く、守護階層の外での行動、ということで、さらに弱体化しているが、それでもそれらの魔物よりかは、大分強い。

 ステータスでもLv0から上回っていたり、劣っていたとしても、強力な種族特性で補える。特に、魔物同士は、種族自体の強さの差、種族特性の差が、強さとして顕著な違いになることも多い。

 例えば、牙や爪が、その鱗を貫けなければ、その時点で敗北は確定である、というように。人種のように、外付けの武器や防具などがないのだから、勝てない相手には、絶対勝てない。


 彼女達は、そんな実力に加え、大量の固有能力を持っている。そりゃあ強いねバイオレンス。


 2人共、自分の持ち場の外で、嬉々として殺戮を行っている。

 胃が痛い。寝て胃の痛さを忘れたい。けれど俺が眠ると、この部屋で繰り広げられるのが、きっとバイオレンスショー。


『ご主人様、片付けが終わりましたので、どうぞ』


 返り血を一滴も浴びていない、美しいままのセラが、いつもの落ち着いた表情で促す。うむ、どうやら先ほどのショーは、セラにとって息を切らしたり、何かを思ったりする程度の事ではないらしい。

 俺は睡眠を諦めた。


「はい。えーっと、魔素溜まり設置っ」


 魔素溜まりとは、魔素を常に放出している空間のこと。これを設置すると周囲は魔力に満ちた空間に早変わり。

 魔物がコアを求めるのは、経験値もそうだが、強い魔力に惹かれてのこと。なので魔素溜まりにもある程度惹かれ、食料の代わりにもなる。

 とは言っても、今のダンジョンコアのアピールに敵うはずはないし、魔境は元々、森全体が魔素溜まりのようなものなので、食料として置く意味すらもないが。


 つまり、目的は別にある。

 魔境のような、元々魔素が濃い場所に、改めて魔素溜まりを設置することで、魔素溜まりは自らの格を1つ上げ、上位の魔素溜まりとなり、とある効果を発揮する。


 それは、交配でしか生まれないはずの魔物を、魔素から生み出すことだ。


 じゃんじゃん、ってわけにはいかないし、その魔物達は俺の支配下にもない。

 むしろ自然発生の魔物であるため、ダンジョンコアを狙う外敵でもある。

 そのくせ、ダンジョンで生まれたからか、ダンジョン産魔物扱いになるせいで、倒してもPは得られず、しょぼい魔石とドロップアイテムしか落とさない、欠陥魔物だ。


 なので、その効果とは、どちらかと言えば、マイナスの効果である。

 そうなってしまう、と言った方が、合っているのだろう。


 魔素溜まりは本来厄介なもの。

 特に、自然型ダンジョンでは意図せず発生してしまうことも多く、せっかくPを使って生成した魔物達が、食い荒らされることもあり、忌み嫌われた存在である。

 ダンジョン全体が魔力を帯びる以上、それを回避することは難しく、これらによって計算が狂い、経営困難に陥ってしまったダンジョンもあることだろう。

 俺だって普通なら絶対に作らない。


 だが大軍に攻めて来られることが決定的な、今現在であれば、戦力として多いに使えるのだ。

 この魔物は人も等しく襲う。

 ダンジョンコアと人ならダンジョンコアを選ぶが、近くにいる人と遠くにあるダンジョンコアならば人を選ぶ。


 俺は、ダンジョンの権能の1つ、環境を変化させる機能を使い、地下に巨大な空間を出現させた。

 

「壁も壊されないように破壊不能にして、空気穴もちゃんと作ってっと」


 そして、そこが、魔素溜まりを置く場所となる。


 早速、魔物がそこに誕生した。2足歩行ができる豚、オークだ。

 ダンジョンとして生成するなら、30P。


 弱い部類の種族であるが、魔素溜まりから出現する魔物は、魔素の濃さによって種族の強さが決まる。

 この魔素溜まりは、完全な密室だ。

 魔素はきっと、どんどんどんどん濃くなっていく。


 きっと、魔物の種族は、どんどん強くなり、どんどん生まれ続ける。

 しかし、出口のないここで生まれても、地上へ出てくることはできない。


 生まれた魔物達は、魔素に囲まれているから飢えることはない。しかし魔物達には、ダンジョンコアを狙う本能が、つまり、魔力を求め食おうとする本能がある。

 交配により生まれた魔物であれば、多少我慢も効くだろうから、危険を敢えて冒そうとはしないだろう。

 けれど、交配により生まれていない、本能の塊のような魔素溜まり魔物は、それに抗えない。ならば漂う魔素と、そこにいる別の魔素溜まり魔物の中にある、魔力の塊の魔石、どちらを選ぶかは明白。


 名前のついていないダンジョンモンスターは、戦っても強くならない。Lvは階層数で、その他は生成時の設定項目やダンジョンマスターが獲得している勲章の効果でしか変わらない。

 だがこの魔物達は、ダンジョン産であるがダンジョンモンスターではない。敵と戦い敵を倒せば、倒す程に強くなる。


 生まれる魔物の種族的強さは、きっと一番強くても100Pいかないくらいだろう。期間も3ヶ月しかないので、Lv200を倒せるようにるどころか、Lv120と肉薄できるくらいにすらならないかもしれないが、この魔素溜まり地下空間を、進行ルートに8つも作っておけば、混乱を誘うには十分過ぎる。


「じゃああと7つお願いします。……しかしそうか、周辺の魔物も倒しちゃうのか」

『そうしなければ、ダンジョンの権能による変更は、行えませんので』


 ダンジョンの環境の変更や、魔物の配置は、侵入者が同階層にいると、不可能になる。

 ただし、自然型ダンジョンは、1階層などが極端に大きくなるため、階層自体にある程度以上の面積があり、尚且つ侵入者と指定位置が離れていれば、限定的に可能となる。

 地下を指定位置とする場合は、元からある空洞ならば、地上とは別範囲扱いで変更できるのだが、新たに作る場合は、作る際のみ、地上と同じ範囲扱いになってしまい、地上に侵入者がいれば変更不可能となる。


 ……でもね、そう、魔物から離れていればできるんだから、魔物がいない場所を選べば可能なんだよ。


 どうしてわざわざ排除するのかな。不思議だね。

『では参りましょう。敬愛していないご主人様からの勅命です』

 俺のせいです。

 あと、敬愛してくれ。



「ふう、なんとか終わったか」

 そうして、8つの魔素溜まりの設置が終了する。続々と魔物が誕生しているようだ。


「なぜ何もしていないご主人様が疲れているのでしょう」

 すると、帰宅したセラにそんなことを言われた。


 セラは服にも髪にも、乱れを一切見せない、いつも通りの美しい佇まい。あんなバイオレンスショーをしていた子と、同一人物とは思えないね。

 もし違ったんなら、どれだけ嬉しいか……。


「そりゃ疲れるよ。自分のとこのダンジョンモンスターが、ルールをビリッビリに破ってるのを見ながら、いつ魔物が襲ってくるかも分からない心労に襲われるのは辛いよ」

「そうですか。お可愛そうに」

「ありがとうセラ。そう言って貰えると……、いやなんかおかしいな」

 何がおかしいのか分からないまま、俺はセラに入れてもらった緑茶を飲む。うむ、美味い。


「しかし、セラも悪よのう。魔素溜まりを使うなんて」

「考えたのはご主人様です。素晴らしい閃きと、素直に賞賛致しております」

「いやいや、セラが進軍してきた奴等の近くに地下の魔物を移動させる方法を思いついてくれなかったら、実現できなかったよ。さすがセラ」

「恐悦至極にございます」


 色々あるが、なんだかんだ俺達は良いコンビ。

 冷たくあしらわれることもあるし、殺されるんじゃねえかと思うくらい、冷たい目の時もあるが、良いコンビ。


 いや、マキナを忘れちゃいけないな。あいつがいるから、俺達も余裕とゆとりを持ってやっていけるんだ、俺達とっても良いトリオ。

 ズズズ、と俺は再び緑茶を飲む。


「あれ、マキナどこ行った?」


 だが、お茶を飲んで顔を上げると、マキナの戦いを映していた映像から、忽然とマキナが消えていた。

「マップマップ」

 俺はマップをさらに広範囲表示にして、マキナを再発見する。が、……どっちに向かってるんだコイツ。もう階層を移動してしまうのは諦めてい……いや、諦めたくない……、色々言いたい、言いたいんだ。いや言ってるな、俺、結構散々。

 言ってるのに止めないのか、そうだったか。


 しかしマキナ、そっちにはもう侵入者いないぞ? どうして、地面に向かって行くんだ? どうして空間魔法を使ってワープしようとしてるんだ?

「ああっ」

 地下の魔素溜まりにっ。せっかく生まれた魔物達が惨殺されていく。

「やめるんだ、やめるんだマキナ君っ」

『丁度良い肩慣らしだぜーっ、カタストロフ――』

「やめるんだーっ」


 

 トリオを解散し、マキナに地下に入らないよう、厳重注意した後、俺は回収したもの一覧を再び見る。

「聖剣って凄そうなのに、P変換しても少ないよね」

「アイテム類は、P変換効率が悪いものです。回収したアイテムは、修繕または強化し、誘引剤としての放出が、主な用途ですから」

「うむうむ」


 この聖剣は、俺がこちらに来てから死んだ、剣聖さんの持ち物。

 さすがに、このレベルの武器は1つしかないが、他にも良い武器はたくさんある。


「壊れた、と表示の付いている物は、Pを消費すれば直せますが、いつか鍛冶のできる魔物を生成し、修理させても良いでしょう。マスプロモンスターでも、習性と合えば近場に置いておくだけで修理します」

「なるほど」

「しかし今はそのまま使いましょう。ゴブリンはダンジョンの仕様上、あまり良い装備を身に付けられませんからね。壊れている方が都合が良いです」

「うむ」


 プランのいくつかには、ゴブリンを向かわせる作戦がある。

 ノーマルモンスターにでもして、再生不可能設定にしておけば、生成Pはグっと下がるので、500Pくらいで2000体が生成可能になる。


 置く階層は、19階層でLvは19。

 ゴブリンみたいな雑魚魔物は、Lvが高くても低くてもステータスに変化はないのだが、戦い方は高階層の方が柔軟になるため、一応の措置。

 通常はコストの問題もあって、2000体という膨大な数を置くことは、エリアを幾つも持てる巨大なダンジョンでなければと不可能だが、我がダンジョンにはコストなんて関係ない。2000体が群れを成して待ってるぜ。


 なんてこったい。


 本当はそんなことしちゃダメなんだよ?


 しかし、装備を置いておけば、自分達で勝手に装備してくれるという、ありがたい特性を持つゴブリンだが、所詮ゴブリンだ。

 数は力、と素直に言えない程度の力しかない。けどまあ、とにもかくにも、数の力はどんな時でもそこそこの力になる。

 たかがゴブリン、されどゴブリン。

 2万名の軍隊が再び来るとしても、補給部隊などの非戦闘部隊を含めての数だろうし、戦闘部隊の数VS2000体のゴブリンなら、十分な戦力と足止めにはなる、500P分の役には立つ。


「全軍を倒す必要はありません。主要な者を狙い打ち、行軍を止めれば良いのです」

 それに、それが俺達の作戦。


 ダンジョンとして倒す相手の選択は、案外重要なものである。例えば強くなりそうな才能を持った者は倒さない、だとか、その逆だとか。それの見通しが上手くなければ、経営が傾いてしまうほどに重要だ。

 つまり、倒す倒さないの選択に、胃が痛むことはない。


 ふう、久しぶりに胃が痛まないやつだぜ。

 ……、いつもいつもゴメンよ。謝る相手は大体死んじゃってるけど、ゴメンよ。


「そりゃあゴブリン2000体に、軍隊とがっぷり四つで戦って損害与えろ、って言っても無理だもんなあ」

「はい。ですが魔素溜まりの魔物と戦っている最中に、ゴブリン軍と戦うことになりますので、疑心暗鬼となり、不必要に慎重さを重ねる人種風情の軍勢相手であれば、十二分に足止めの役割を果たしてくれることでしょう」


 人種風情……。

 マキナもセラも上位種族だからか、人のことをちょくちょく見下してるよなあ……良いけど。でも君のご主人様も人間だぜ? 忘れてない?

 忘れてないんだろうなあ……。


 ゴブリンを召喚するのは決戦前日。

 前の日に召喚しても意味無いし、斥候に対して、わざわざ真実の情報を掴ませる気もない。……マキナに狩られてもたまらない。やっちゃったー、で終わらせそうだし。事実終わるし。


「では、強者を倒す武器を使う者を、生成しましょう」

「おうよ、弓使う子だっけ?」

「ええ。この弓を使う者を生成して下さい」


 そう言ってセラから差し出されたのは、戦争の際の戦利品の1つ、必殺の弓、とかいう、強力な弓だ。


 ダンジョンでは、武器や防具をPで生成することもできる。

 それは宝箱の中に入れ、人を惹きつける材料にすることもできるのだが、自分達で使うこともできる。最強の武器を作り自分達で使う。なんという自作自演、なんというマッチポンプ。


 でもそんなことはしていません。

「弓ならば、使い捨ての矢を強化して生成することで、安価なまま高威力を出すことができます。10発ほど撃てるだけで構いませんので、今回の戦いにはピッタリです」

 

 必殺の弓で、1本100P200Pくらいと、ボス魔物の生成にかかる費用と同額Pを使用した、超強力な矢を撃てば、ダンジョンの弱体化仕様を乗り越え、Lv200だろうが一撃で粉砕できるというわけだ。なんて素晴らしい作戦。

 マッチポンプしてました。今からすっごく憂鬱だ。

 でもセラさんが言うから……、顔を引き裂かれるから……。


 俺は魔物の生成リストから、弓を上手く使えそうな種族を探す。


 どれだけ威力が強力な弓矢でも、躱されてしまったり、しっかり防御されてしまったりしたなら、意味がない。そしてそういう理不尽な攻撃でも躱し防御するのが、Lv200っていう、一度のきりの命で幾多の試練を乗り越えた化け物だ。

 勝てるかどうかは、これから生成する魔物の腕次第。弓適性が最初からついてるやつが良いね。


 ……けど最近思う。自然型ダンジョンって、大軍と相性悪いよなあ。

 異空間型ダンジョンだと、進路を区切るのも簡単だし、部屋に入れる人数も調整できる。

 でも自然型ダンジョンは、通路を区切るのも難しいし、にかなりのPを使うし、入れる人数なんて、侵入者側が狭くても良いと思うんなら、基本的にどれだけでも詰め込める。


 こんなことなら、異空間型ダンジョンにしておけば良かったと心から思う。自然型ダンジョンのメリットってなんだよっ、そんなもんねえよっ。


「あ、コイツにしよ」


『 ダークエルフ

   ハイダークエルフ・・・1000P

   マジシャンダークエルフ・・・400P

   アーチャーダークエルフ・・・300P

   ・・・・

   ・・・

   ・・ 』


 弓を使うんだから、アーチャーダークエルフ、と見せかけて、ハイダークエルフっ。


 「……そうですか」

 し、視線が冷たい。


 だってだって、ハイダークエルフだって初めから弓術適性も持ってるんですよ? たった、たった700Pの違いじゃないか。

 それにステータスは、ハイダークエルフの方が遥かに高い。

 矢がなくなった後だって、色んな仕事ができるかもしれないし、矢を構えている最中に見つかって攻撃されても、防御できるかもしれないじゃないか。


 うん、そうさそうさ、この子が1番良いさっ。

 大丈夫、マキナやセラの時のようにPをぶち込んだりなんてしないさ。


 えーっと、造形は身長小さめで可愛らしくして。


 性格は無口が良いかな、マイペースで。でもとっても良い子にして。


 特徴はやっぱり弓を使って仕留めるんだからそういうのが得意なように、攻撃力高め。それから魔眼、と。


 適性もちょちょいのちょいです。


『 ハイダークエルフ

   ユニーク

   性別:指定無し

   造形:銀髪 褐色 容姿端麗 身長小さめ 華奢でか弱そう 細部まで完璧 銀髪は1本1本サラサラツヤツヤ どこにいても絵になる ・・・1750P

   性格:無口で職人気質 子供っぽい一面もあるが基本無関心 冷静沈着 独特でマイペース 振舞おうと思えばどうにでも振舞える 悪口は言わない ・・・1900P  

   特徴:森の暗殺者 魔弾の射手 克服した狂戦士 死の鉄槌 サイレントキラー デスパレード ピンポイントショット 矢の墓標を築きし者 植物の友達 甘い物好き特に飴 心音感知 熱源感知 呼気感知 ランダム魔眼 ・・・7450P

   適性:斬撃 射撃 風魔法 土魔法 空間魔法 火耐性 水耐性 土耐性 風耐性 雷耐性 疲労耐性 罠工作 直感 見切り 学習 木工 医療 暗殺 HP吸収 MP吸収 ・・・4900P

   能力値:全能力成長率上昇 ・・・3000P 』


 計20000P。

 めちゃくちゃ少ない。


 セラの3分の2とか、どんだけ少ないんだ、上級竜1体分も少ないんだぜ?

 俺も節約が上手になってきたなあ。


『これで生成を開始します。よろしいですか?』


「よろしいです」

「……」


 ……、セラが、なぜかダメだコイツみたいな顔をしている。……忠義厚い設定のはずなんだけど。


「忠義に厚いからこそ、このように、主人の悪いところを見つけ、お知らせしているのです」

 心を読まれた上に、ぐうの音もでない意見を言われてしまった……。


 銀の光と茶色の、ツルツルした何か、そして緑の何かが混ざり合ったものが現れる。

 マキナの暴風とも、セラの闇とも違う、なんだか安心する光。いや多少ビリビリきてますけど。


 現れたのは、褐色の肌をした耳の長い可愛い女の子。

「名前はオルテだ、よろしくなオルテ」


 魔女のような帽子を被り、可愛らしい服装のオルテ。大きな瞳で俺を見つめる。

「……」

「……ん?」

「……」

「オルテ?」

「……」

 

 なんか喋れや。

元9話を分割した話ですので、あれ、読んだぞこれ、と思われる方もいらっしゃるかと思います。

申し訳ありませんっ。

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