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赤い部屋

作者: 緒方 零

 私は友達から妙な噂を聞いた。

 私が通っている大学の裏にある病院、皆は廃病院と呼ぶ。

 20年前に廃墟になったらしい。


 もともと大学が建っていた裏に建設したらしくて、人目につかず静かに廃墟になった。

 医師が下手で何回も術死していると言う噂もあった。




「ここが廃病院か・・・」




 何年も人が来てないからか、壁には蔦が張っている。

 所々の壁にもヒビが入っていて叩いたら壊れそう。




 早速、中に入ってみた。中は埃が積もっていて歩くだけで埃が舞う。

 昼間なのに中は薄暗い。壁は思ったより厚く出来てるみたいだ。




 パキッ




 下を見るとガラスの破片がいっぱい。

 ガラスが割れてる?

 窓ガラスはすべて黒のベニヤ板で覆われている。




「うっ、堅っ!」




 なんとか、ベニヤ板を外し、ほかるとガッシャンと音を立てて割れた。

 誰かの悪戯で板を付けたみたいだ。窓と板の大きさが疎らになっている。




「この窓からは大学が見えるんだ。眺めは最高なのに、廃墟なんだよね・・・」




 次に階段を上った。

 2階も窓は覆われていて霊安室や手術室などがメインらしい。

 ここは“幽霊”が出る、そう思った。




「え、なにこれ・・・。血・・・?」




 白い壁に付いている赤いもの。でも、血にしては赤すぎる。

 誰かの悪戯みたいだ、ペンキだろう。

 ビックリしたのは血だけではない。ペンキなのにその下、つまり床に植木鉢に砂が入っていて線香の燃えカスが置いてある。




「悪戯にしてはこってるなぁ」




 さらに廊下を進むと不自然に開いている扉。中は真っ暗だった。

 扉を開けてみた。




「・・・・・。嘘・・・」




 ここは霊安室だった。しかも、壁一面が真っ赤に染まっている。

 見て言葉を失った。

 不自然に染まっているのだから。誰かが引っかいたように線になって真っ赤になっている。




「誰かが引っかいたのかな?これ私以外が見てたら絶対、気絶してるわ」




 それから霊安室を出た。

 さっきみたいに不自然に扉を開けておいて。




バンッ





 50mほど歩いたところで大きな音がした。

 この音はドアを思いっきり閉めた音と似てる。

 まさかと思いさっきの霊安室へ走って戻ってみた。




「ありえない」




 扉が閉まっていた。しかも、無理に閉めたのか壁にヒビが入っている。

 その扉を開けようと手にかけ、引いたが一行に開かない。

 仕方ないから霊安室を諦め、次の階に進むことにした。




「ここは病室ね・・・」




 病室の一つ一つを調べたら、必ず血痕が残っている。

 ペンキなんかじゃない。それに一人部屋が一番酷かった。


 これが噂の赤い部屋なのか・・・?




 とりあえず、写真を撮ることにした。

 何枚か撮り、さっきの霊安室に向かうことにした。






 さっきは開かなかったが次は、と思いドアノブに手をかけた。

 今回はすんなり開いた。




「・・・・・・・」




 さっきとは雰囲気が変わっている。

 血の位置が変わっている。平行方向の壁に血が付いていたのに、今は上と下に血がどっぷり付いている。




「この霊安室が赤い部屋なの?」




 ここで写真を撮ることにした。

 しかし何回シャッターを押しても、フィルムが出てこない。




「・・・赤い部屋・・・」




 ここの霊安室が赤い部屋だと悟った。

 写真が撮れないなら帰ろうと廃病院を後にした。




 廃病院を出た後、カメラが急に動き出し、さっき押した分のシャッターが動いた。




 それに写っていたのは血塗れになった人間が数えられないほど、写真にはい切らないほど写っていた。

 すべての写真がまったく同じだった。

写真のすべての人間は手を伸ばし、見ている人に助けを求めているように見える。その手は今にも写真をすり抜けてきそうで気味が悪かった。

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