6/6
phrase6 : cloze procedure
そういえばふたたび
きみの名をよばれることが多くなったね。
よばれるつど、
きみはふえていくのだけれど、
よばれるたび、
質量は
ゼロにむかって
きみが
ゼロにむかえばいいのだと
いつからか言われるようになったね。
――美しい名前は消えてしまった。
喜びをもって迎え入れられるべく
名付けられた筈なのに。
名付けられた意味を
きみは信じていた。
想いにも、言葉にも、
底溜る未送信メールたちにも、
きっと宛先があるのだと信じていた。
たしかにそこにあったのだ、
重さ。
たとえその質量がゼロだったとしても、
たしかにそこあるのだと信じていた。
○ は隠喩だと誰かが言っていた。それを
私は認めない
○ はおわらぬ夢をみて
夢の続きの夢を見て
夏の夜の夢の中に
○(くうはく)よ、きみは
どんな夢をみているの
○ よ
名もなき○ よ
できたらでいい
おやすみなさい
よい夢を