表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/28

第5話「庭園での邂逅」

第5話「庭園での邂逅」

凄いやここは...

見渡す限りの美しい景色、それはまるでおとぎ話の中に入り込んだようだった

宝石に光が反射してキラキラ輝いている赤、青、黄...様々な色の宝石が光を反射し虹色に輝く

「綺麗なところだなー、ここも誰かの場所なのかな?」

「これだけの魔力の溜まった宝石があっても全く気づけなかったなんて、注意した方がいいよここの主は相当に手強いかもしれない」

「この宝石も魔石みたいなものなの?」

「魔石は魔力が固まって出来たものだけどこれは宝石に魔力を込めて人工的に作られた物だと思う、でもここの主は洞窟と同じ人かもね」

ユリアの言う通りここが洞窟の主と同じ人の領域だとしたら、むしろこちらを通って進む方が危険かもしれない

「引き返した方がいいかな?」

地図を見ながらユリアに質問する

「でもあの爆発跡を見られてたらこっちに来てるはずだよ、ボクから先に進むけどなー」

ふぁーユリアがあくびをしながら答える、爆発で目が覚めてしまったからだろうかまだ眠そうだ

「じゃあ先に進もっか」

地図から目を離し周りの景色を見ながら進んでいく

色鮮やかな宝石が織りなす光の輝きは見ているだけで時を忘れてしまいそうな程美しかった

少し進むと宝石で出来た花が小道に咲いている場所に出る、そこでは羽をキラキラと輝かせる蝶が優雅に飛んでいた、きっとあれも魔力で出来ているんだろう

さらに進むと色々な色の宝石で出来た台座の噴水が何個かあった

黄金色の宝石の噴水に触ってみる

「痛っ」

体が少し痺れる

どうやらこの噴水は雷の魔力を帯びているらしい

次に青色の噴水に触れる

「これは普通の水みたいだ」

「噴水の水に宝石で魔力を送り込むなんてどんな魔法を使っているんだろう」

ユリアがぼそりと呟く

「これってそんなに凄いことなの?」

「普通水に雷の魔法を当てたらどうなると思う?、キミも魔石を使ったみたいだし結果は見えてると思うけど」

水が爆炎をかき消したように魔法同士が反発し合うということだろうか

「そっか魔石は魔力の出力調整が出来ないのか」

「うん、だけどこの宝石は魔力制御が出来ている

恐らく誰かの管轄下に置かれてるんだと思う」

そんな話をしながら歩いていると開けた場所が見えた

「もうそろそろ出口かな?」

この場所とももうお別れか、美しい森を後にするのをちょっぴり悲しみながら出口を出ようと来た時

「痛いっ」

何かにぶつかった

驚いてよく前を見てみるが何もない、試しに手で思っ切り叩いてみると

ピカンッ 一瞬光の壁のようなものが見えて後ろに弾き飛ばされる

「これって結界なのかな」

「恐らくそうだろうね、キミ一回そこら辺にある宝石で魔法でもぶつけてみたら?」

僕は足元にある黄色い宝石を手に取る

「<刻め雷刃-サンダーカッター>」

詠唱を終える、ところが何も起こらない

「うちの領域の宝石を勝手に使えるとでも思っとるん?」

「誰だっ!」

声の主の姿を見るために後ろを向く

「初めましてやな、うちはジュエリーガーデンの主、名もなき宝石姫や」

「綺麗...」

思わず感嘆の声が出る

ピンクの髪に虹色のドレス、所々に施される宝石の装飾一際目立つのがまるで宝石のようなオッドアイ

まさにジュエリーガーデンの主といったところだ

「すみません自己紹介が遅れました、僕の名前は氷坂智也、智也って呼んでください」

「素敵な名前やね! うちのことは...そうやなローシャって呼んでもらえれば構わへんで」

「はい!ローシャさん」

肩に乗ったユリアが耳打ちしてくる

「キミ、彼女がここの主ということはキミの敵なんだよ親しくするのも大概にしときなよ」

わかってはいる、だが僕には彼女が悪い人には見えない

「えっとローシャさんは参加者の1人なんですよね?」

ローシャが困った顔をする

そして右手をこちらに向けて来た、その手には二本の時計の針の模様が刻まれている

「うちはもう因縁の相手は倒したんよ、だからあなたと戦う気は無いんや」

「その時計の針の模様は何なんですか?」

前から気になっていたことを聞く

あの模様は確かホームズさんの手にもあったはずだ

ローシャが不思議そうな顔をする

「これは参加者の印である時の刻印や、智也も持っているはずやけど?」

時の刻印なんて僕の手には無い、一体どうゆう事なんだ

「キミ、こんな時こそあの魔法を使うべきだよ」

ユリアに促される、そうかそれなら時の刻印の事もわかるだろう

「<リ・メモリー>」


時の刻印-全12針存在するそれは魔法戦争の参加者の証であるとともに時の水晶からの魔力を引き出すのに使用されるものである、参加者同士の戦いで相手を倒した時それは勝者に引き継がれる

刻印は魔法戦争に参加する意思があるものにしか現れない


僕に刻印が現れない理由は意思の問題なんだろうか

考え込んでいるとローシャの声で現実に引き戻される

「今なんの魔法使ったん?」

そうか周りの人には何をしているかわからないのか

「この魔法は情報を得るような魔法なんです、これを使うと知らない事も思い出せるような、そんな魔法です」

「へー便利やなー、あともう1つ質問があるんやけど」

うんうんと僕はうなづく

「これやったん智也なんか?」

そう言って手に取ったものは先程僕が起こした爆発の中で生まれた凍りついた炎だった

一瞬場が凍りつく

「ごめんなさい!」

僕は洞窟の前で起こったことをローシャに説明した、僕はローシャの顔色を伺う

ところがローシャは嬉しそうな顔をした

「そうだったんか、やっぱりこの氷智也の魔法やったんか」

「へっ?」

予想していた反応と違いすぎて拍子抜けする

「うちは人の心が見えるんや、この氷の魔法にはえらい純粋な心が見えてな、是非会いたいと思おて魔力を追わせてもらってたんや」

人の心が見えるってそれも魔法なのかな

「あの氷はキミがやったのかい?」

そうかユリアはあの時寝てたのか

「爆発に巻き込まれてもうダメかと思った時に突然炎が凍ったんだ、ローシャさんそれは僕の魔法なんですか?」

「智也の心と氷は同じように見えるから恐らくそうなんやろな」

ローシャさんになら僕の魔法について詳しくわかるかもしれない

「僕は氷の魔法の使い方がわからないんです、

どうしたら使いこなせるようになりますか?」

ローシャさんが難しい顔をする

「うちにわかるのはこの魔法は魔力を封じ込める力があることくらいやしな〜」

「魔力を封じ込める?」

「洞窟の前で爆発に巻き込まれたのは結構前やろ?だけどこの氷の中の炎はまだ燃えてるんや

多分氷の魔法が炎の魔力を封じてるんやろうな、智也がいいならうちの洞窟で稽古つけたるで?」

それは思ってもみなかった誘いだった

ユリアの方をちらりと見る

「ボクはキミに任せるよ」

そうか、なら

「是非お願いします、でもローシャさんはいいんですか?」

そうだ僕を鍛えるということは敵に塩を送るに等しい

「さっきも言うたけど、うちの刻印は二針つまりもう一人倒してるんや、うちはそいつを倒しただけでもう十分や」

きっと因縁の相手だったのだろう、追及するのは避けた方がいいかな

「それにほんとはもう棄権しよう思うとったんやけど時の水晶はどっかいっとるし、いけすかん男はおるしでどうしようか途方に暮れとったんや」

いけすかん男? 安倍晴明のことだろうか

「それじゃあお言葉に甘えて、これからよろしくお願いします」

「ボクからも一応よろしくね」

一応ってユリアはまだローシャの事を疑っているのか

「ほな下の洞窟に行こか」

「下もローシャさんの領域なんですか?」

ローシャはかぶりを振る

「全然ちゃうねん、下はうちのじゃないねんけどほっといたらうちの領域が侵食してもうてな今じゃ殆どうちのもんや」

領域の侵食、だから下の洞窟の周りにも魔石がたくさん落ちていたのか

僕たち一行は宝石の庭を引き返す

「そう言えば智也はどっちの方から来たん?」

歩きながらローシャに質問をされる

えっと...僕は地図を出し左下を指差す

「ここら辺ですかね」

ローシャは地図を見てビックリする

「これも智也の魔法なん?」

「これもさっきの魔法の延長線みたいなもんですけどね」

「凄いな〜どないなってんやろ」

ローシャがうきうきしながら綺麗な目で地図を見つめている

あれっローシャさんの目ってオッドアイじゃなかったっけ、さっきまで確かに真紅に輝いていた目が今は翡翠色になっている

「あっ、うちとしたことがついつい見とれてもうた、それでさっきの続きやけど智也はここまで来る途中魔物に合わんかった?」

「会ったのは他の参加者くらいで他には何も」

「そっか、なら教えんとな、魔物っていうのは魔力で作られた厄災みたいなもんや」

「それってここら辺にもいるんですか?」

「ちょっと前までは時の水晶の周りでしか見かけなかったらしいんやけどね、最近になってこっちにも来とるみたいや」

時の水晶の周りにだけ現れていた魔獣....関係しているのは水晶自体かあるいは水晶を引き寄せている領域の支配者か

「でも魔獣は領域の中には出ないみたいなんよ、だからここを出るまでは気張らんでも大丈夫やで」

先程通った噴水の場所に出る

「ローシャさん、これも宝石の魔法なんですか?」

「いいこと聞いてくれるな〜、この噴水はうちの魔法の中でもとびきり特別なもんでな宝石を作るのにも苦労したんよ、宝石に2つの魔力を内包させて互いに反応させないようにしないようにしとるんよ」

「じゃああの水自体が他の属性を持っているんじゃなくて同時に2つの属性が存在してるってことなんですね」

「せやで魔法には属性言うんがあって本来は2つ以上交わることはないんや、まあうちでも双極の属性は流石に出来へんけどな」

双極の属性、つまり相反するものということだろうか

僕が悩んでいるとローシャから補足がはいる

「双極いうんはね一緒に存在することが出来へんような組み合わせの事をいうんや、それを扱えるのは基本的にエレメンティア-属性使いだけなんや

エレメンティアはな原初の五って言われとる

火、水、風、光、闇の属性なら双極同士でも使えるんや」

そうしているうちに宝石の庭の入り口まで辿り着く

森がさっきより暗くなっている気がする、僕らはそんなに長く宝石の庭に居たのだろうか

「魔獣が来てしもたみたいやね」

ローシャさんの目が真紅に染まる

「魔獣が来るときはいつも辺りが闇の魔力に包まれるんや」

だからこんなにも暗く感じたのか

「キミ前方の木陰から来るよ!」

ユリアが声を発した瞬間木陰から狼のような姿をした黒い瘴気を纏った獣が現れた

僕は咄嗟に後ろに下がる、下を見ると先程まで1つも無かった魔石が何個か落ちている

真紅の魔石を拾い上げ詠唱する

「煉獄よ纏て燃やせ<炎蔦-バーンウィップ>」

魔獣に投げつけた魔石が炎のツタとなり絡みつく

ウォーン!!!

魔獣が叫び声をあげて消えていく

「消えた....」

「あれは魔力で出来てるんやだからある程度のダメージを与えれば消えてまう」

そう言っているローシャの背後から魔獣がどんどん出て来る

「今日は大盤振る舞いやな、ええでうちの本気見せたるわ!」

そういうとローシャの周りの地面に魔石が現れる

どうやらあれはローシャの魔力に影響されて出現しているらしい

「その輝きは星が如く<輝宝の瞬き-ライトニングジュエル>!」

魔獣の周りに黄色に輝く宝石が無数に出現し共鳴して溢れんばかりの輝きを放つ

「ちょっとやりすぎてしもたかな」

その言葉に偽りはなく奥にいた魔獣達をも巻き込んで消滅させていた

だがまだ森の奥から魔獣が出て来る

ローシャが率先して奥に行き魔獣を倒していく

「あんたらなんかに負けてられへん!<限界共鳴焔火-レゾリミテッドファイア>!」

ローシャの周囲に浮いた真紅の宝石が共鳴し輝きを増していく、そして爆発が起こった

「ローシャさん!」

だが爆発の中心地であるローシャが居る場所だけ全く被害を受けていない

デタラメな共鳴で大爆発を起こしたあの時の僕とは違って完璧に魔力が制御されている、あれが宝石姫の名を持つ者の力なのか

「うちの心配なんかしてへんで自分のこときおつけなあかんで!」

気がつけば魔獣に周囲を包囲されていた

「智也、これ使い!」

ローシャさんが空色の宝石をこちらに投げつけてきた

「これは...氷の魔力?」

「智也が氷の魔法使いならきっと上手く使えるはずやで」

四方から魔獣が飛びかかって来る

意識を集中し宝石の魔力を自分の力に変える

もしこの僕が魔法を使えるのなら、この戦いに参加する理由があるのなら、戦わなくちゃいけない、願いを知るためにも

「こんなところで止まってられない!」

僕の右手が輝き時の刻印が現れる

「これが僕の魔法だ、凍り付け<夢魔氷-ブリザードメア>」

僕の足元に魔法陣が展開されそこから氷の刃が飛び出て魔獣に突き刺さり凍りつかせる

ふぅ、どうにかなって一息つく

「綺麗な魔法やな、やっぱりうちの目は間違ってなかったんや」

「ボクが先に見出したんだけどね」

ユリアが皮肉を言う

「そんなんどっちだってええやん、頭の固いやっちゃなー」

「まあまあ二人とも落ち着いて、それにしても何で突然刻印が現れたんだろう」

「多分智也が戦おうと思ったからやないかな」

「キミの意思の力が刻印を導いたんだよ」

またもやローシャとユリアの言葉が被る

そんな光景を眺めているとローシャの後ろで影が飛び上がる

「危ない!」

僕は咄嗟にローシャを突き飛ばし黄色の魔石を手に取る

ローシャが僕の取った魔石を見て叫ぶ

「それ使ったらあかん!」

しかし後数秒遅かった

「神雷よ纏て砕け<ボルトインパクト>」

詠唱を終えると魔石から雷が紡がれる

「えっ」

それの襲いかかる対象は僕だった

「うわぁっ」

体中に雷撃が走る

かすれる意識の中何とかローシャ守ろうと動こうとするが体が動かない

まずいこのままじゃ僕の方が魔獣の餌になってしまう

魔獣が飛びかかって来る、避けきれない

僕は目を瞑り衝撃に備えた、しかしそれは来なかった

ローシャが僕の前に立ち詠唱する

「あんたの価値はどれだけや?<宝石転換<ジュエリーメイク>」

ローシャの片目が紅く光り目前まで迫っていた魔獣が消滅する、いや消えたのではない魔獣は淀んだ宝石になったのだ

「智也大丈夫か?」

僕の意識はそこで途絶えた

次話 料理



第5話いかがだったでしょうか?

今回のサブタイトルにもなっている「邂逅」皆様は読めるでしょうか?僕は今までしゃくへんだと思っていてこれを書いた時に初めてこの漢字が「かいこう」と読むことを知りました、よくゲームや小説で見る漢字も意外と勘違いしていることがあるかも?

一括投稿はこれで終了です、ここまで読んで次も読んでやってもいいかなという方は是非、つまんねえなと思った方はたまに覗きに来てくださったら嬉しいです

では次の物語で


更新は基本作者が朝起きたらします

感想等はこちらまで

https://mobile.twitter.com/atorietsubasa

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ