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第六十七話「王都に到着したので、クラウディア第一王女に会いに行こうと思う」

 ノイラート王国、王都イスターツ。

 大陸中部に位置する王国最大の都市。


 予め変化を解除して人間に戻り、巨大な石の壁に覆われた都市の正門前に進む。

 正門前に立つ鋼鉄の鎧に身を包んだ衛兵達が慌てて槍を構えた。


「私は冒険者ギルド・レッドストーン所属、Cランクのサポーター、ラインハルト・シュヴァルツと申します。この者達がシュターナーの木の精霊・ドライアドの殺害を目論んでいたので拘束しました」

「ラインハルト・シュヴァルツ……どこかで名前を聞いた事がある様な……」


 若い衛兵が首をかしげると、もう一人の衛兵がハッとした表情を浮かべた。


「もしかして……ソロモン王の加護を授かったという冒険者様ですか!?」

「はい、そうですが……」

「姫殿下と同じギルドに加入されたとの噂を耳にしていましたが、本当にレッドストーンの冒険者様なんですね!」


 王都で最強の冒険者ギルド・レッドストーン。

 加入者の平均レベルは50。

 第一王女自らがギルドマスターとしてギルドの運営を行っているらしい。


 どうやら王都でもレッドストーンの冒険者は一目置かれる存在なのだろう。

 衛兵が目を輝かせて俺を見つめている。


「ギルドカードを拝見致します」


 衛兵にギルドカードを提示する。


『Lv.41 Cランク サポーター ラインハルト・シュヴァルツ』

 属性:【火】【聖】【地】【風】【雷】

 魔法:ファイア ファイアショット エンチャント・ファイア ファイアボルト ファイアボール フレイム ヘルファイア ヒール ホーリー キュア リジェネレーション アース アースウォール エンチャント・アース ストーン ストーンウォール ストーンシールド ロックストライク ソーンバインド メタモールファシス ウィンド ウィンドショット エンチャント・ウィンド サンダー エンチャント・サンダー サンダーボルト

 召喚獣:Aランク・ブラックドラゴン Aランク・九尾の弧 Bランク・酒呑童子 Cランク・ゴールデンスライム Dランク・ウィンドホース Dランク・ガーゴイル

 加護:ソロモン王の加護(言語理解・魔法習得・魔物封印・武器化・全属性魔法効果上昇・全属性魔法耐性上昇・呪い無効) 黒竜の加護(火属性魔法効果上昇) 妖狐の加護(地属性魔法効果上昇) 生命の加護(魔法防御力上昇・魔法陣効果上昇・森林地帯での魔力回復速度上昇) 鬼の加護(毒無効・麻痺無効・自己再生)

 装備:国宝級・ソロモンの指輪(魔力回復速度上昇)


「これ程ステータス欄が充実しているギルドカードは初めてです……それに、後一属性習得すれば大魔術師ですか!? 一体どんな鍛え方をしたらここまで強くなれるのでしょうか」

「国宝級・ソロモンの指輪……それにブラックドラゴンや九尾の狐からも加護を受けているのですね。全く恐れ入りました」


 衛兵が俺の身分を確認すると、続々と衛兵達が応援に駆け付けてきた。

 それから一人の騎士が姿を現すと、微笑みながら俺の前に立った。


 ミスリルの鎧に身を包んだ二十代後半程の男性。

 確か彼は一度アドリオンで会っている。


「あなたは……ロイ・ビスマルク騎士団長?」

「はい。お久しぶりです、ラインハルト・シュヴァルツ様。私の事を覚えていて下さったんですね」

「はい、今日はこの者達を引き渡しに来ました」


 俺はシュターナーでの出来事をビスマルク騎士団長に全て話した。

 どうやらユルゲンは以前にもデーモンを雇ってドライアドを殺害した事があるらしい。


「カイ・ユルゲンというのは偽名で、こいつの名前はチャールズ・ドーマク。リヒター盗賊団と同盟関係にあるドーマク盗賊団の首領ですよ。しかし……よくドーマクの悪行を暴けましたね。我々ノイラート王国騎士団が総出で探しても探し出す事が出来なかったのですが……」

「それは、デーモンのお陰ですよ。彼女はデーモンのベアトリクス。私の協力者です」


 改めてベアトリクスを紹介する。

 彼女は早く懸賞金が欲しいのだろう。

 もみ手をしながら微笑んでいる。


 彼女は不思議と一般の商人の様にも見える。

 金が絡めば積極的に働くが、金にならない事には一切興味がない。

 案外彼女なら人間とも上手く商売が出来そうだ。


 騎士団長は二十代後半程の美青年。

 長く伸びた黒髪に紫色の瞳。

 身長は百九十センチ程。

 俺とは体格も体内に秘める魔力もけた違いだ。


「シュヴァルツ様はイステルでもハンナ・リヒターを逮捕したと聞きました。クラウディア殿下はシュヴァルツ様の活躍を聞く度に再会を願っておりましたよ。さぁ、殿下がお待ちです。私と共にレッドストーンに参りましょう」

「それは良いのですが、ベアトリクスも一緒に街に入っても大丈夫ですか?」

「通常、人間と召喚契約を結んでいない闇属性の魔物の立ち入りは禁じております」

「そうでしたか……」

「この場で召喚契約を結べば街に入る事は許可出来ますが、もしシュヴァルツ様の召喚獣が他人を傷付ける事があれば、それは姫殿下の顔に泥を塗る事になるという事を自覚して下さい」

「それは承知しています」


 ベアトリクスは俺の肩に手を置き、首を振った。


「ラインハルト、私はここで待ってるから金を持ってきてくれ」

「君はそんなにお金を稼いで何か買いたい物があるのか? 街で買える物なら俺が買っておくけど?」

「買いたい物は一つだけある。ラインハルトは魔人の秘薬を知っているか?」

「確か……魔物が飲めば魔人に変化する事が出来る薬だった気がするけど……」

「そうだ。私は魔人になって人間の街で暮らしたいんだ。それが私の夢。デーモンとして生まれた私は街に入る事も拒まれるからな。かと言って魔物が巣食う場所でも暮らしたくない。知能の低い魔物連中と戯れるよりは、魔人になって人間相手にビジネスでもして暮らしたいんだ」


 どうやらベアトリクスは普段、街の外で犯罪者相手にビジネスをしている様だ。

 そしてまだ殺しの経験はないらしい。

 魔人になる事を夢見て働き始めたばかりなのだとか。


 体長二メートルを超える巨大な見た目とは裏腹に、年齢は十七歳。

 全く、魔物とは外見では実年齢が判断出来ない生物だ。


「魔人の秘薬は一本2000万ゴールド。値が張る薬だが、一度飲めば効果は永遠」

「君は人間になりたかったのか」

「私が人間に? 私は魔人になりたいと言っているんだ。さぁもう分かっただろう? 早く金を貰って来てくれ」

「ああ、それじゃまた後で」


 俺はベアトリクスと別れると、騎士団長と共に街に入った……。

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