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第四十九話「王都を目指す前に仲間達の装備を揃え、久しぶりに旅支度をしようと思う」

 早朝からエリカの声が聞こえる。

 どうやら今日もエリカが俺の上に馬乗りになっている様だ。


「起きなさい……ラインハルト」

「……」

「起きないとキスするわよ……」

「……」


 もしかしてエリカは俺に対して毎日こんな事をしていたのだろうか?

 俺は返事をせず、エリカの出方を伺う事にした。


「本当にキスするわよ……良いの? べ、べべべ別にラインハルトとキスしたい訳じゃないけど、お前は私のものだからな! 私のものだと証明するためにキスしてやる!」」

「……」

「起きないと本当にキスするんだからなっ!?」

「……」


 エリカの手が俺の頬に触れた瞬間、俺はエリカを抱き寄せた。

 まさか俺が起きているとは思わなかったのだろう。


「ば、馬鹿……! 離しなさい……!」

「キスするんじゃなかったの?」

「お前がなかなか起きないからからかっていただけなのだ! 別に……お前とキスしたいなんて思っていた訳ではないのだからな!」

「そうなんだ。俺はエリカとキスしたいけど……」

「え……? わ、私をからかっているのか!? それとも、本気でキスしたいのか……?」


 彼女の頬にキスをすると、エリカは顔を真っ赤にして目に涙を浮かべた。


「ラインハルトの馬鹿……!」


 エリカが俺の頬を叩くと、隣で眠っていたアナスタシアが目を覚ました。


「どうしたのじゃ……? また朝からエリカが騒いでおるのか?」

「ああ、今日も朝から元気みたいだよ」

「それは何よりじゃ。ラインハルトや、わらわにもキスをしてくれんかの?」

「起きてたの?」

「勿論じゃ。エリカが部屋に入った時から起きておったぞ」


 アナスタシアが俺に抱き着くと、俺は彼女のおでこにキスをした。

 胸につかえていたゴブリンロード問題が解決したので、何だか朝から気分が良い。


「ラインハルトや、わらわはお稲荷さんを所望するぞい」

「今日もデニスさんの厨房を借りて料理しようか」

「うむ。わらわ、エプロンドレスが気に入ったのじゃ。将来、ラインハルトが家を建てたら、わらわをメイドとして雇ってくれはせんかの?」

「アナスタシアはメイドになりたいの?」

「それはわからんのじゃ。まだわらわは人間のなったばかりだからの。今は興味が湧いた事は全て経験したいのじゃ」

「王都に着いたらまずはみんなで暮らせる家を買うのも良いかもしれないね。そしたらアナスタシアにはメイドを頼もうかな」

「楽しみにしておるぞ……」


 朝日がアナスタシアの銀色の髪に当たって輝き、幻想的な美しさを醸し出している。

 人間には無い赤と緑の瞳もまた美しい。


 それからレーネとフローラを起こすと、レーネは寝ぼけながら俺に抱き着いた。

 パジャマのボタンが外れており、彼女の豊かな胸が露わになっている。

 アナスタシアはレーネの着替えを手伝い、乱れた髪を梳かした。


 毎日女性陣の着替えを見ない様にするのもなかなか大変だ。

 レーネやエリカは俺が居ても躊躇なく服を脱ぐので、目のやり場に困る。

 特にエリカはわざと俺に見せつける様に着替えをする。


 ギレーヌは無事に宿に戻って来られたのだろうか。

 着替えを済ませてから隣の部屋の扉を叩く。


「おう、入れ」


 俺は男性と会話しているのだろうか。

 ギレーヌの酒呑童子らしい口調に困惑しながらも、扉を開ける。


 室内には酒瓶が散乱しており、ギレーヌは浴衣姿でだらしなくソファに座っている。

 酒場から戻っても部屋でひたすら酒を飲んでいたのだろうか。


 手には葡萄酒のボトルを持っており、テーブルには大量の乾燥肉が積まれている。

 それからおもむろに葡萄酒を一気に飲み干すと、俺の手を引っ張った。

 思わず姿勢を崩し、彼女の胸元にダイブ。

 顔にギレーヌの大きすぎる胸が触れている。


「昨日はあたしを置いて先に帰っちまうなんて、付き合いが悪いじゃねぇか。今日はとことん付き合って貰うからな?」

「いや、今日はサシャの装備を買いに行かなきゃならないから……」

「おいおい、あたしとは酒が飲めないってのか?」


 ギレーヌがエールのボトルを俺の口に押し当てる。

 やはり酒呑童子は何よりも酒が好きなのだろう。


 これからは俺が彼女を養わなければならないのだ。

 不意に今後の酒代が心配になる。


「ギレーヌ、君も旅に同行するんだから、一緒に装備を揃えに行こう。好きな武具を買ってあげるよ」

「それは本当か!? 何でも買ってくれるんだな?」

「あまり高価な物じゃないならね……」

「折角人間になったんだ、人間用の武器が欲しいと思っていたんだよ。こんな美女に生まれ変わったのに、棍棒なんて振り回してもダサいだろう?」

「ああ、ゴブリンロード相手に使ってた巨大な棍棒か……あの武器は巨大すぎるから馬車には積めないし、人間用の武器を買おうか」

「そうだな。まずは一杯飲んでから支度でもするか。おいラインハルト、あたしの服はこれしかないのか?」

「新しい服も買わないとならないね」


 ギレーヌはエールをラッパ飲みしてから、昨日冒険者から貰った服を着た。

 部屋の外でサシャが待っている様だ。

 エリカは今日は赤い方のドレスを着ている。

 彼女の腰まで伸びた黒髪に良く似合っている。

 レーネは眠たそうにあくびをしてから俺に抱き着いた。


「レーネ、お腹空いたよ」

「まずは武具を揃えてからデニスさんの店に行こう。今日の朝食が俺が作るからね」

「ラインハルト、レーネだけサラダとかフルーツしか食べられないから、何か特別な物が食べたい」


 肉、魚、卵、乳製品を摂取しないレーネはいつもサラダばかり食べている。

 ウィンドホース時代の名残なのか、彼女は菜食主義なのだ。


「それじゃ、今日はシュルスクのパイを焼いてあげるよ」

「シュルスクのパイ!? 楽しみ!」


 俺に抱き着きながら上目遣いで微笑むレーネの頭を撫でる。

 普段は物静かだが、戦場ではゴブリンを蹴散らし、勇猛果敢に戦う。

 そんな二面性を持った彼女だが、俺はどちらのレーネも好きだ。


「ラインハルト、私にはきな粉餅を用意してくれ」

「ラインハルトさん……私はたこ焼きが良いです……」

「あたしはそうだな……ゴブリンの丸焼きって出来るか?」

「いやいや……出来ないから。というか、今のギレーヌは人間なんだからゴブリンの丸焼きなんて食べないでくれよ。グロテスクだろ? 美女がゴブリンの丸焼きを食べる姿なんて」

「そうかそうか、それじゃ何か旨いもん作ってくれよ」

「ああ、わかった。まずはギレーヌの服を買いに行こうか」


 宿を出て街を歩くと、市民達が何度もゴブリンロード討伐の礼を言ってくれた。

 こうして他人から感謝されると、冒険者になって良かったと思える。


 それから俺達はギレーヌの服を購入し、装備を揃えるために武具屋に入った……。




〈主要メンバー紹介〉

 仲間が増えてきたので、この辺でキャラ紹介を挟ませて貰います。


『Lv.35 Cランク サポーター ラインハルト・シュヴァルツ』

 外見:十七歳 身長百七十五センチ 黒髪 青い瞳

 情報:冒険者歴五年 冒険者ギルド・レッドストーン所属 イフリートに変化可能


『Lv.40 Cランク・ゴールデンスライム フローラ』

 武装時:上級・闇払いの盾(闇属性魔法耐性上昇)

 外見:十五歳程 色白 身長百六十センチ 金髪ロング 緑色の瞳 Eカップ

 好物:トマトソーススパゲッティ ペペロンチーノ カルボナーラ


『Lv.80 Aランク・ブラックドラゴン エリカ』

 武装時:支配者級・黒竜刀(火属性魔法攻撃力上昇)

 加護:黒竜の加護(火属性魔法効果上昇)

 外見:十六歳程 色白 身長百四十センチ 黒髪姫カット 釣り目 赤い瞳 Dカップ

 好物:きな粉餅 ミネストローネ 温泉饅頭 敵対する魔物全般


『Lv.82 Aランク・九尾の弧 アナスタシア』

 武装時:支配者級・妖狐の魔装(魔力回復速度上昇・魔法防御力上昇)

 加護:妖狐の加護(地属性魔法効果上昇)

 外見:十七歳程 身長百五十センチ 銀髪ミディアムボブ 赤と緑のオッドアイ Fカップ

 好物:たこ焼き お稲荷さん フローラのチャーハン


『Lv.25 Dランク・ウィンドホース レーネ』

 武装時:中級・風の弓(必中)

 外見:十三歳程 身長百四十五センチ 栗色セミロング(くせ毛) 垂れ目気味 茶色の瞳 Dカップ

 好物:シュルスクの果実 果物全般(ベジタリアンなので、肉、魚、卵、乳製品は摂取しない)


『Lv.21 Dランク・ガーゴイル サシャ』

 武装時:中級・烈火の双剣(攻撃速度上昇)

 外見:十五歳程 身長百五十センチ 黒髪短髪 青い目


『Lv.63 Bランク・酒呑童子 ギレーヌ』

 武装時:上級・鬼鎚(攻撃速度上昇・雷属性攻撃力上昇)

 加護:鬼の加護(毒無効・麻痺無効・自己再生)

 外見:二十歳程 褐色 身長百七十センチ 赤髪ロング 赤い瞳 Gカップ

 好物:ゴブリンの丸焼き エール 葡萄酒

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