第二十三話「銀髪ミディアムボブ、のじゃロリ狐娘が可愛すぎる件について」
人間にしか見えないアナスタシアはフローラよりも豊満な体つきをしている。
推定Fカップ。
大きすぎる胸に思わず釘付けになる。
髪形は銀髪のミディアムボブ。
第一王女の様な綺麗な銀色の髪が彼女の美貌をますます引き立てている。
「これこれ、わらわを裸にしてどうしようというのじゃ?」
「ごめん……そんなつもりはなかったんだよ」
「別に怒っている訳ではないぞ。何百年も生き続け、人間に憧れ、森で一人で暮らしていたわらわがやっと人間になれたのじゃ。こんなに嬉しい日はないぞ。お主、いやラインハルトとの出会いを心から光栄に思う。これからはわらわがラインハルトの傍に居てやろう」
「ありがとう。仲間が増えて嬉しいよ」
フローラは慌ててアナスタシアに服を着せた。
フローラのブラジャーではアナスタシアの胸が収まらない様だ。
身長はフローラの方が十センチ程高いが、胸はアナスタシアの方が大きい様だ。
エリカを人間に戻すと、彼女はため息をついて俺を見上げた。
「また仲間が増えたのだな……それも女とは。全く、ラインハルトは油断ならん男だ」
「そうですね……これ以上女性が増えると、ラインハルトさんを奪われそうで怖いです」
「うむ、珍しくフローラと意見が合った様だな。フローラ、先ほどの戦いではよくラインハルトを守ってくれたな」
「はい! だって私はラインハルトさんの盾ですからね」
エリカがフローラの頭を撫でると、アナスタシアはそんな様子を嬉しそうに見つめた。
「わらわはアナスタシア。種族は九尾の狐。ラインハルトの召喚獣である」
「私はゴールデンスライムのフローラです! よろしくお願いします、アナスタシアさん!」
「わ、私はブラックドラゴンのエリカだ! よろしく頼むぞ」
三人が自己紹介を終えると、ウィンドホースが近付いてきた。
彼女も自己紹介をしたいのだろう。
だが人間の言葉が話せないので、寂しそうに俺を見つめている。
「アナスタシア、俺達はイステルを目指しているんだ。まずはリヒターをイステルの衛兵に突き出す」
「イステル!? わらわがずっと夢見ていた人間の街! 道中はわららがラインハルトを守ろう」
「ありがとう。それからアナスタシア、俺は封印した魔物を武器に変える力を持っているんだ。アナスタシアも武器化してみて良いだろうか?」
「わらわを武器に? 面白そうじゃの。試してみるが良い」
「わかったよ。アナスタシア・武装!」
瞬間、アナスタシアの肉体が輝いて豪華な鎧に変化した。
素材はミスリルに近い、青白く輝く立派なメイルが俺に向かって飛んできた。
まるで生き物の様にメイルの前面が開き、俺の肉体を包み込む。
これはもしかすると魔装なのではないだろうか。
メイルが上半身を覆うと、アナスタシアの魔力が肉体に流れた。
「ラインハルトさん! 今度は鎧を手に入れたんですね! ダンジョンを攻略する冒険者みたいです!」
「うむ。立派な武具だな。だが私が黒竜刀に変化した方がラインハルトを強化出来る事は間違いない」
『わらわは鎧に変化したのじゃな? まるでわらわとラインハルトが一体になった様じゃ。ラインハルトの火の魔力がわらわの心を温める様で、何とも心地良い』
すぐにギルドカードを確認する。
『Lv.28 Cランク サポーター ラインハルト・シュヴァルツ』
属性:【火】【聖】【地】
魔法:ファイア ファイアショット エンチャント・ファイア ファイアボール フレイム ヘルファイア ヒール ホーリー キュア リジェネレーション アース アースウォール エンチャント・アース ストーン ストーンウォール ストーンシールド ロックストライク ソーンバインド メタモールファシス
召喚獣:Aランク・ブラックドラゴン Aランク・九尾の弧 Cランク・ゴールデンスライム
加護:ソロモン王の加護(言語理解・魔法習得・魔物封印・武器化・全属性魔法効果上昇・全属性魔法耐性上昇・呪い無効) 黒竜の加護(火属性魔法効果上昇) 妖狐の加護(地属性魔法効果上昇)
装備:国宝級・ソロモンの指輪(魔力回復速度上昇) 支配者級・妖狐の魔装(魔力回復速度上昇・魔法防御力上昇)
どうやら新たな加護を得た様だ。
それに地属性の魔法も大量に習得している。
九尾の狐は支配者級の魔装に変化していたのだ。
魔装は壊れても自動で再生する特殊な力を持つ。
非常に高価なマジックアイテムなので、なかなか市場には出回らない。
『お主はなかなか不思議な力を持っているのじゃな。魔物を人間に変える事も出来れば、武器に変える事も出来る。そしてわらわの魔法を一度に全て習得するとは』
「これはソロモン王から授かった力なんだよ」
試しに左手を空に向ける。
新たに習得した魔法を使ってみよう。
「ロックストライク!」
瞬間、上空に大岩が現れ、高速で地面に目掛けて落下を始めた。
エリカは瞬時に右手を大岩に向けると、途方もない大きさの炎の球を放った。
「ファイアボール!」
エリカの魔法が大岩に直撃すると、上空で爆発が起きて大岩を吹き飛ばした。
流石にブラックドラゴンのエリカは戦闘能力が高い。
「アナスタシア・武装解除」
アナスタシアを人間の姿に戻すと、彼女は俺の手を握った。
近くで見ると緑色と赤色のオッドアイが美しい。
またパーティーに美少女が増えたという訳か。
「ラインハルトや、わらわは腹が減ったぞ」
「何か食べたい物はある?」
「ネズミを所望する」
「いや……ちょっと待って。人間の体でネズミを食べるというのはちょっとどうかな……」
「わらわは以前人間からお稲荷さんという食べ物を貰った事があるぞ。ネズミが駄目なら、わらわはお稲荷さんを所望するぞい」
所望するぞい……?
エリカ以上に不思議な女の子との出会いに戸惑いながらも、俺達は馬車に乗り込んだ。
「お稲荷さんか。今は材料がないから、イステルに着いたら作ってあげるよ。今日の昼はチャーハンでも作ろうか」
「ラインハルトさん、チャーハンって何ですか?」
「米を炒めた料理だよ。米は知ってるかな?」
「米? ちょっと知らないです」
「それなら、今日は米のとぎ方を教えてあげるよ」
「はい! 私、ラインハルトさんと一緒に料理を作るのが好きなんです。私は戦闘向きじゃないので、回復魔法でしか皆さんをサポート出来ませんが、料理を覚えたら今よりパーティーに貢献出来る様になると思うんです」
「フローラには今でも十分助けて貰ってるよ。いつも俺を支えてくれてありがとう」
「どういたしまして……私はラインハルトさんだけのゴールデンスライムですから、当然です……」
フローラが頬を染めながら俺を見つめた。
いつもフローラの優しさと強い回復魔法に支えて貰っている。
仲間達が誇れる主になるために、ますます戦闘技術を磨かなければならないな。
「さぁラインハルトよ! 早く私のためにチャーハンとやらを作るのだ!」
「ラインハルトは若い連中にこき使われて大変じゃの」
「そうでもないよ、こんな生活も楽しいんだ」
それから俺はリヒターを縄で拘束し、家の中に運んだ。
まずは昼食を食べてからイステルまでの移動を再開しよう……。




