新たな仲間
前回の白ビキニで町を闊歩したマリコちゃん
ショッピング。友達のトラウマをえぐる。道中で百合フィールド。
ギルドの酒場に着くと30人位の冒険者がヤイノヤイノと騒がしい感じで飲食をしている。きっとみんな色々冒険してその反省会とかしているのだろう。
その中にひと際目立つや亜人さんを見つけ私は、思わず凝視してしまう。
その亜人は、酒瓶を持ったまま立ち上がり私達に歩み寄ってくる。
カノンちゃんとその亜人さんが挨拶するかの様ように同時に鳴き声のような声をだした。
「「っぎゃ!!」」
「久しぶりージョーさん」
「よう荷物持ち! 帰ってきたんだぎゃ?」
亜人さんが誰なのか分かった。トカゲのおっさんジョーさんだ。
顔とか完全にトカゲで全身鱗で鮮やかな色だ。二足歩行で人間っぽい形をして黒海パンを着用している。
トカゲ喋るのか……。昔のウンバボ族が殴って教えてたのか? 喋らなかったらこの見た目モンスだと思うんだけど。
モンスに言葉教えるとかウンバボ族マジヤヴァイ。
そんな事を考えてるとカノンちゃんがトカゲに私を紹介する。
「マリコちゃんと一緒にダンジョンで冒険するんだよ! こちらがマリコちゃん!」
「始めましてマリコです。よろしくお願いいたします」
「トカゲ族のジョーだぎゃ! みんなには、トカゲのおっさんと呼ばれてるぎゃ! 荷物持ち! 新人! 奢ってやるぎゃ! こっちのテーブルくるぎゃ!」
「っえ!? ジョーさん奢ってくれるのー? ラッキー!」
そんな感じで「マリコちゃんいこ!」っとカノンちゃんに引っ張られジョーさん達と一緒にご飯を食べる事になった。
そこには、ジョーさんとは別に二人のトカゲ族の方が……。みんな同じ顔、表情が無いのでなんかシュールだ。
丸いテーブルには、食べ物が沢山あって好きに食べていいとのこと。
お酒もあるけどこっちの世界も子供は飲んじゃダメらしい。話しながら遠慮なく料理を頂く。
「こっちがダンさんでこっちがレイさんだよー」
「ごめんなさい私トカゲ族のかたの見分けかた分からないや……」
「そっかーでもジョーさんは分かりやすいよー。一番背が高くて首筋に一枚だけ鱗が逆になってるところがあるよ」
「これ脱皮する時にひっかっかて痛いんだぎゃ! そういえば今朝綺麗に脱皮できたぎゃ! いるぎゃ?」
横に置いてあった革の袋から脱皮した抜け殻を見せてくる。なんかリアルすぎる! グロイ! グロイ! グロイ!
「い! いりません!!」
「わたし欲しー!」
カノンちゃんは、脱皮した皮を無限収納に入れる。
私の服も一緒に入ってると考えるとちょっと凹む。まぁきっと他にも変なもの入ってるだろうし今更ということで諦める。
「そうだぎゃ! その皮の代わりに今度虫取り手伝えぎゃ! 荷物持ちが居れば持って帰りたい放題だぎゃー」
「えぇーマリコちゃんとダンジョン行くからやだー。それなら皮返すー」
「分かったぎゃ、皮はただでやるぎゃ、まぁ気が向いたら声かけてくれぎゃ、小遣いくらいはだすぎゃ」
「うん! それなら気が向いたら声かけるよー」
「あの……ジョーさん今虫って仰いましたけどもしかして今このテーブルに有る料理って……」
私は思い出す。生前お社掃除してた時に弟君が捕まえたトカゲ。
ペットとして飼う事になったけど人口フードをあまり食べてくれずペットショップに生餌を買いにいったり自宅周辺で弟くんが虫を捕まえて居たこと。
もしかして今私が食べてるのって……。
「その肉は、ウンバボの肉だぎゃ」
「ぎゃーー!! 虫じゃなくってウンバボ族なの!?」
「そんなわけあるわけないでしょーマリコちゃん! ウンバボは、ダンジョンの5階層で出てくるこんぐらいで角の生えた四つ足の魔物だよ!」
こんぐらいと言いながら両腕を広げるカノンちゃん。モンスの肉か、良かった虫も人も食べて無かったっとほっとする。
トカゲ達は、笑いのツボに入ったらしく「ぎゃっ! ぎゃ!」言って爆笑してる。陽気な性格らしい。
「あーびっくりしたー」
「なんだ新人お前まだ5階層までいってないんだぎゃ?」
「マリコちゃんは昨日初めてダンジョン入ったばかりだからねー。マリコちゃん強いし直もっと下の階層いけるようになるよー。わたし一人でも8階層くらいまでは慎重にいけば行けるんだから。多分!」
「まー危なそうだったら言ってくれだぎゃ。暇だったらまた一緒に行ってやるぎゃ」
「カノンちゃんジョーさんと一緒にダンジョン行ったことあるの?」
「うんうん、8階層が虫だからたまに一緒に採りに行ってたよー。魔石はわたしがもらってドロップアイテムの虫の足をジョーさん達が食べるの」
「足は筋張ってるからあんまり旨くはないんだぎゃ。でも肉ばっかり食ってると調子もでないぎゃ」
筋張ってまずいとかいらないよそんな虫ソムリエ情報……。
でもやっぱトカゲ族、虫も食べるのか。屋台とかでうっかり食べないように気をつけないと。
そんな事を考えていたら酒場の演奏とかやりそうなお立ち台で一人の女の子が突然叫んだ。
「突然すみません! 何方か私をパーティーにいれてください!! なんでもしますから!」
その綺麗な通る声に私は聞き覚えがあった。カノンちゃんも舞台を見てそれに気づく。
「「銀猫!!」」
酒場がどよめく。一人の男性冒険者が立ち上がり骨付き肉を振り上げて叫ぶ!
「女の子が何でもするとか言うんじゃねー! この糞ガキが! ジョーさんコイツどうにかしてやってください!!」
「トカゲのおっさーん! 最年長なんだからなんとかしろー!」
っえ! ここでジョーさんに振るの!? ジョーさんが彼女に近づきなにやら話しこっちのテーブルに彼女を連れて歩く。
「マリコちゃんマリコちゃん! 銀猫! こっちくるよ!!」
唖然とする私とテンションMAXのカノンちゃん。緊張でガチガチだ。
銀猫の子が怯えた様子で私の隣に座る。そりゃ怯えもするよね。酔っ払いのおっさんに叫ばれてトカゲのおっさんに連れてこられてトカゲとエルフが座ってたら。
よく考えたら人間私だけじゃん。銀猫の子が呟く様に言う。
「ごめんなさい……でも私……どうしても冒険者にならなきゃならなくて……」
「いったいどうしたんだぎゃー」
銀猫、横でプルプルしているよ。これは助け舟出さざるを得ない。優しいお姉さんせざるを得ない。
「怖がらなくっていいよ。何があったの? 私達にできることだったら手助けするよ」
「……昨日の夜に劇場が盗賊団に襲われて全て奪われて……劇場は燃やされ劇団は解散して怪我をしなかった団員もみんな散り散りになってしまって……父も大怪我して教会の診療所にお世話になってって…………」
「よく言えたね。がんばったね」
私は、目に涙を浮かべる銀猫の子を抱きしめる。この前カノンちゃんにハグされてから辛い気持ちはハグされると癒される事を覚えたのだ。さぁ私に癒されるがいい銀猫よ。
キューーー
彼女のお腹が鳴る。私の抱擁から解放されると。顔が赤くなっていた。
「お話しながら一緒に食べよっか!」
「銀猫ちゃん! お料理一杯はあるから好きなだけ食べていいよー。ジョーさんの奢りだからー。っあ! お姉ーさーん追加でから揚げお願いー!」
「ぎゃーーー」
「エルフのお姉さん! 銀猫観てくださったんですか!? 私名前カタリナって言います! お姉さんの名前! 教えてください!」
「もちろん観たよ! 大感動! わたしの名前はカノン──」
***
話をするとどうやら盗賊被害で無一文らしい。まだ14歳のためいい働き口もなくギルドに登録するお金もなくて冒険者に着いていってダンジョンで稼ごうと思ったとのこと。
お父さんは、女神教の教会で治療してもらったが、完治とは行かずリハビリ生活になるらしい。
直に動けるとも限らないし何はともあれ自分が稼がないといけないらしい。
私は少し考える。今日ぶらぶら歩いたことによりこの世界の生活水準が分かってきている。
この世界、貧富の差がかなりある。でも平和なのは、なんとかなっちゃうからだと。
食事は安い、その気になれば一日二百円と掛からない一ヶ月六千円以下で食っていけるしカノンちゃんみたいにその辺の草食べたり狩ったモンス食べれば餓えはしのげる。
地球と違って電気ガス水道通信費なんて掛からない。服だって女神教で貰えばいいし。あの白ビキニ、衣服を施してると考えると結構いい事してる。
そうなると住むとこが問題だ。家賃だけやたらと高いのだ。
普通の人はそこに稼いだお金を使ったりしてるものと思われる。
銀猫の子改めカタリナちゃんに提案してみよう。
「カタリナちゃんよかったら私達の家に来ない? いいよね? カノンちゃん?」
「もちろんだよーカタリナちゃんなら大歓迎だよ!」
「いいんですか!? 私冒険未経験なんですよ!」
「私も昨日初めてダンジョン入ったばかりだし一緒にダンジョン攻略しよう! 最初のうちは稼げないと思うけどご飯位は私達でなんとでもできるから」
「それでいいと思うぎゃ。この町の最年少で冒険者登録した荷物持ちと同い歳だし調度いいぎゃ。よかったな荷物持ち初めての後輩だぎゃ」
「よろしくお願いします! マリコさん! カノンさん!」
カタリナちゃんが微笑む。カノンちゃんは「わたしが先輩……わたしが先輩」っとそわそわしてる。
こうして私達は、三人パーティーになった。女三人寄れば姦しい……。
カタリナちゃん大人しそうな子だけど私とカノンちゃんだけでも騒がしいから確実に姦しいって感じになりそうだ。
でもそんなこれからの日常が私の望む日常なんじゃないかなっと思った。