とある街道沿いの村の話
とある辺境の村に六人の冒険者パーティが活動していた。街道沿いのその村は深い森に囲まれており、これまでも盗賊や魔物たちに襲撃を受けることがしばしばだった。
町へは遠く、急ぎ助けを呼ぶにも、となり村に行く馬さえいない。
そんな村に拠点をおいたのは物好きな冒険者たちはお人好しの集まりだった。そんなお人好しにつられて知り合いの冒険者たちも移動がてらに魔物退治に訪れる。
村の治安維持や防衛体制の構築、周辺の魔物退治などを担い、村人を鍛えてきた冒険者たちは稼ぎがあると村の酒場で村人と共に騒いですぐに使い果たしてしまうのが落ちだった。
それでもこの奇特な冒険者たちを村の誰もが愛し、尊敬していた。
ある時、村の近くに魔物の巣窟が見つかり、冒険者たちだけでは対処できなくなった。街道沿いの辺境領主がすぐさま上級諸侯を通じて王家に泣きつき、派遣されたのは英雄とも呼べる力の持ち主であった。
ふらりと現れた彼らは瞬く間に魔物を滅ぼして村を救った。
負傷した冒険者たちは無力とともに悟る。自分達は英雄にはなれず敵いもしないと。
村がお祭り騒ぎのなか、知り合いに頼んで呼びよせた粗末な駅馬車に乗り、静かに村を離れる冒険者たち。
そんな冒険者たちに声をかけたのは英雄の一人、彼は言う。
「おまえたちがいなくなればこの村の守り手はいなくなる、それこそがこの村の危機だ」と。
英雄ととも見送りに来たやせぎすな村長がいう。
「おまえたちはよくやってくれた、けれど本当の危機を救ってくれたのは英雄だった。おまえたちに感謝はするが復興にも金がかかる。ゆえに渡せる報酬はない。これに懲りたなら精々、お人好しはこれきりにするんだな」と。
せせら笑う村長に一言も言わず冒険者たちは、駅馬車に乗って去っていく。
それから村は栄えた、冒険者たちに鍛えられた若者や子どもたちが守り手となったからだ。 けれど、狭い村に嫌気がさしていた若者たちは一人また一人と村を出た。
まもなく盗賊が村を襲い、負傷した村人たちが助けを求めるなか、魔物の群れが現れて逃げるまもない村人を食いつくしまった。 その魔物たちはかつて村を守った冒険者たちが討ち取った魔物の生き残りだったのだ。 あっけなく滅びた村はすぐに森に飲み込まれた。
少しの年月が流れ森の本格的な開拓が始まる。その開拓団を率いたのはかつての冒険者たちの子孫と村を出た後彼らを頼った若者たちの子や孫であったというーー。




