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アレンは失意の底にあり、かつて英雄を夢見た自分と今の惨めな現実とのギャップに押し潰されそうになっていた。冒険者としての人生は思い描いたような栄光ではなく、仲間に裏切られ、冷たい視線に晒され続けた末の絶望の日々。そして何よりも、最愛の妹を失った悲しみが彼の心に深く影を落としていた。
「もう、何も残っていない...」
アレンは力なく呟いた。疲れ果てた彼にとって、冒険者としての夢も故郷も、全てが崩れ去っていた。妹を看病しながら自分が無力であることを痛感し、その無力さゆえに失った大切な存在。彼の心に残っているのは、深い虚無感と絶望だけだった。
ダンジョンへの決意
ある夜、アレンは決断した。彼に残されたのは、もはや「生きる理由」ではなく、「死ぬ理由」だけだった。だからこそ、彼は冒険者しか足を踏み入れない危険なダンジョンに向かうことにした。その場所は、まさに彼が最後を迎えるにふさわしいと思えた。
「ここで全てが終わる…」
そう思いながらアレンはダンジョンに足を踏み入れた。彼にとって、それは生を捨てるための最後の旅だった。闇に包まれた石の回廊を進み、罠が潜む道を歩く。だが、アレンの意識はどこかぼんやりしていた。自分の死を覚悟している以上、周囲の危険さえも感覚が鈍くなっていたのかもしれない。
最下層への墜落
そんな中、アレンは不意に足元の仕掛けに気づかず、落下式の罠にかかってしまう。気づいた時にはすでに遅く、彼の体は急速に暗闇の中へと引き込まれ、重力に従い深淵へと落ちていった。
「あぁ、これで死ねるのか…」
暗闇の中でそう感じた瞬間、彼の体は水の中へと叩きつけられた。体は少し痛むが、奇妙にもまだ生きているという感覚があった。アレンは水から這い上がると、薄暗い空間の中を見回した。
ダンジョンの力
その先に、彼は「迷宮核」と呼ばれるダンジョンの中心にある神秘的な存在を見つける。それは淡い光を放ち、彼を引き寄せるように輝いていた。アレンは迷いながらもその光に近づくと、強力な力が自分の中に流れ込むのを感じた。
「これは…何だ…?」
彼の心の中で何かが変わった。失望と憎しみに押しつぶされていた彼の心に、新たな「力」が芽生えた瞬間だった。夢も希望も無くし全てを失ったはずだったアレンに残されたのは、唯一の願い――「復讐」だった。
「かつての仲間を、この憎い世界を…俺は必ず全てを潰す。」
彼は新たな力を手に、復讐の誓いを胸に秘め、再び立ち上がる。