とち狂った世界で妊○の危機
やばい。
「ねぇ、葵ってさ…ちん○ん無いよね?」
やばい。
「私見ちゃったんだよね。体育の着替えの時、タオルの隙間からさ」
やばい。
「ねぇ…このこと皆にバラされたくなかったらさぁ…分かるよね?」
やばすぎる。
気付いたら女になって、知らない街に一人立っていた。
装備は白いワンピースのみ。下着もお金も、サンダルすら無い。
あまりにも絶望的な状況過ぎて呆然としていたところを、警察に保護されたのだった。
つい数時間前までは、男だった。
いつも通り、死んだ目で帰宅していた。
こんな生活、いつまで続くんだろうって思ってた。
誰かのヒモになりたいなぁとか思ってた。
でも、こんなのは望んでなかった。
警察で色々調べられたけど、戸籍も身分証も何もない私。
記憶も曖昧。帰宅の時の記憶から、あそこに到着するまでの記憶が無いから。
私は何かの事件に巻き込まれていたとして処理されて。
1週間後に生活保護を受けながら、安アパートでの一人暮らしが許された。
今の私は、今井 葵。
なんとなく思いついた名前で戸籍登録された。
見た目が10代なため、16歳設定。
奨学金という名の借金を負いながら、近所の高校に通うことになった。
本当は就職した方が良かったのかもしれないけども。
つい数週間前までの、死んだ目をした社会人生活に戻りたくなかった。
葵としての私は、美少女だった。
だから転校生として入った高校のクラスでも、すぐに馴染めた。
でもこの世界。女しかいない。
これには、世界に来て数時間で気付いた。
警察が女ばかりだったし。
女しかいない世界。
どうやって繁殖しているのかと思ったら。
女は皆、ふたなりだった。
でも私、ちん○ん無いよ?
この間までは、自慢できるぐらいの逸物が付いてたのに(自称)。
なんで無くなったの????
この世界の女は、皆スキンシップが積極的だ。
ハグとか普通だし、胸を揉んだりお尻を揉んだりしてくる。
でも皆、普通だよって言ってくるし、普通なんだと思う。
前の世界でも、女同士でハグとか手を繋いだりとか、街でよく見たし。
郷に入っては郷に従えとか言うし、大人しく揉まれてる。
でも、私が揉もうとしたら、葵はダメって言われる。
なんでも、葵は違う、とのこと。
「葵おはよー」
「あ、おはようございます」
「ぎゅーっ!今日も可愛いねぇ」
「あ、ありがとうございます」
「最近、おっぱいも大きくなってきたし、お尻も良い感じよね。育て甲斐があるよ」
「そ、そうですか…?」
「うんうん。じゃあまたねー」
「あ、はい」
クラスメイトとはこんな感じ。
元おっさんが、女子高生とスマートなコミュニケーションを取れるわけないでしょ。
人形や抱き枕ポジションで良いと思う。
良い匂いがするJKにハグされるとか、前じゃ考えられないし。
で。最近体育で水泳が始まったけども。
気付いたら、冒頭みたいな状況に陥っていた。
「葵ってさー、なんか良い匂いするし、他の子よりエロいなぁって思ってたけど、ちん○んが無いなら当然だよね」
この世界、ちん○んが小さいほど、メスのフェロモンがよく出て、魅力的らしい。
要するに、ふたなりしかいない中で、オス寄りかメス寄りかということ。
どうでもいい話だけど、妊娠するのはちん○んが小さい人が多いらしい。
「ねえ、どうする?私との2人の秘密にするか、クラス皆に可愛がってもらうか」
「う、うぅ…」
ど、どうしたら…。
このままでは、どちらにしろ孕む運命では…。
私は男だ。気付いたら一人称が私になってたけど、男だ。
今だって、こんな状況でもJK良い匂いするなぁって思うぐらいには男だ。
絶対に妊○したくないし、主導権を握る側でありたい。
「べ、別に…皆に教えても良いよ」
「へ?…ふっ、ふーん。皆に抱かれても良いってこと?」
「そ、そういう訳じゃ…皆優しいし、そんな変なことしないよ」
「それ本気で言ってる?人間皆、性欲まみれだよ?
葵なんか、数時間後にはママにされちゃうよ?」
「うっ…そ、そんなことないもん」
スキンシップは激しいけど…それは普通って言ってたし、皆私を好いてくれてるし。
私が嫌がることなんか、きっとしないもん。
「葵、甘すぎるよ」
「ひゃ、ちょ、離して」
両手を掴まれ、壁に押し付けられた。
え、力強くない?
頭の上で手首を抑えられただけなのに、振りほどけない。相手は片手なのに。
「ねぇ、知ってる?ちん○んが大きい人ほど、力が強いんだって。
スポーツ選手とか、皆大きいらしいよ」
「そ、それが?」
「原理としては、ホルモンがどうとかって言ってたけど…要するにさ」
「ちん○んの無い葵じゃ、ロクな抵抗も出来ないって事」
「ちょっ、んんっ」
うおおおおおお、現役JKからの強引なキスだーーー!!!
って、そんなこと思ってる場合じゃない!
キス自体は嬉しいけど、この流れはまずい!!
「あはっ、キスしちゃった。どうせ葵って初めてでしょ?」
「そ、そうだけど…」
「葵って、ちん○ん無いくせに童貞臭いんだよね」
「うぐっ」
そうです、前の世界じゃ未経験でしたよーだ。
でも、今は美少女だし、童貞臭くなんかないしっ。
「葵、分かった?力じゃ誰にも勝てないってコト」
「わ、分かったから離して…!」
「やだ」
「ちょ、お腹になんか固いのが当ってるんだけど…!」
「あはっ、当ててるのよ」
やばい、待って、これ本当にヤバイ!!
「葵、警戒心無いしさ…私が身体に教えてあげるね」
「うぅ…腰痛い…足に力が入らない…」
ふらふらとしながら、帰宅する。
サラリーマンの時にも似た状況があったけど、今は原因が違う。
結局私は、襲われた。
今まで味わったことのない快感を身体に叩き込まれた。
酷いとは思うケドも。
私は中身が大人だ。
だから、怒るだけで許してあげた。子どものしたことだし、1回ぐらいね。
私以外だったら、通報されてるよって。
犯罪なんだよって。
別に、気持ちよかったわけじゃない。
違うったら違う。
今日は土曜日。
この間の事件以降も、平和だった。
私を襲った女の子も、頭が冷えたのか謝ってきたから、許してあげた。
それで今日は、お金稼ぎに都会に出て来ていた。
仕事の内容は、レンタル彼女。
え?パ○活や売○じゃないかって?
違うよ。そんなことしないし。
ちょっと一緒に映画見て、ご飯食べるだけの予定だから。
待ち合わせ場所には、美人なお姉さんがやってきた。
身長も胸もでかいけども、優しそうな垂れ目のお姉さん。母性たっぷりで、私のタイプ。
最初はお互いに緊張して喋られなかったけど、映画を見てご飯を食べてたら喋れるようになった。
やっぱり、映画という共通の話題が出来たのが良かったと思う。
「ねえねえ、これ美味しいから飲んでみてよ」
お姉さんがグラスを渡してきた。間接キスじゃん。
「い、いただきます」
ドキドキしてるのを隠しつつ、変な顔をしないよう意識しながらグラスに口づけた。
「あ、美味しい」
「でしょ?みかんの味がしっかりするし」
お姉さんが飲んでたのはみかんジュースの炭酸割り。
メニューの写真では、瓶に入っている。
炭酸のお陰で、甘さにメリハリがある。
若干の苦みは、みかんのか、はたまた炭酸のか。
「それ飲んでも良いよ。新しいの頼むし」
「あ、ありがとうございます」
この後もこんな感じで、お姉さんの飲み物を味見させてもらってたら、トイレに行きたくなった。
ということで、一旦離脱っと。
戻ってくると、お姉さんがまた飲み物をくれた。
「これ、今日1番で美味しいよ」
「ありがとうございます。…あ、ほんとだ」
リンゴジュース美味しい。
「もう無くなるし、それも飲んで良いよ」
「りょうかいです」
…あれ、さっきまで飲んでたよね…?
なんで寝てるんだ…?
それに、身体がだるい…。
「え、なんでホテル?しかもこれ…ラブホじゃん!!」
初めて入ったけど、ネットで見た部屋そっくりだからすぐに気付いた。
「え、待って、なんで裸なの!?」
「あ、葵ちゃん起きたんだ~」
声がした方を見ると、バスローブを着たお姉さんがいた。
「お、お姉さん…これってどういうことですか…?」
「あぁ、葵ちゃんが飲んでる途中で寝ちゃったから、ちゃんと寝かせてあげようと思って」
「なるほど…ありがとうございます。私重かったですよね」
「全然。軽すぎて心配になったぐらいよ」
おんぶでもしてくれたんだろうな。申し訳ない。
「私は、今日1日遊んで汗かいたからシャワー浴びたんだけど。
葵ちゃんも汗かいてるし、シャワー浴びてきたら?
服も汗でびしょびしょだったから、身体が冷えないように脱がせたぐらいだし」
「そ、そうですね…行ってきます」
寝汗なのか、凄い汗が出てる。
お尻の下のシーツなんか、お漏らししたみたいに濡れてるじゃん。
シャワーから戻ってくると、お姉さんが冷たいお茶を準備してくれてた。
ありがたい、汗をかきすぎて喉が渇いてたんだよね。
「ふわぁ…ごめんなさい、さっきまで寝てたのに、また眠たくなってきた…」
「成長期なのかな?また寝て良いわよ」
「ごめんなさい…うぅ、気絶しそ…う……」
「葵ちゃん寝た?」
お姉さんの声がする…。
「あはっ、未成年チョロすぎるなぁ。
睡眠薬飲まされてるのに、全く疑う素振りすらないんだから」
うぅ、意識が…。
「良い娘が見つかったなぁ。私のこと疑ってないし、これから楽しみ。
急に孕んでたら、どんな反応するのかな」
お姉さんの楽しそうな声がした気が…。
この世界に来てから3ヶ月。
凄く平和に生きてます。学生最高。
前に私を襲ってきた女の子とは、たまにしてあげてる。私も気持ちよかった…とかじゃないから、うん。
あくまでも、私にちん○んがない事を言いふらされないためだから。
で。
お姉さんとも偶に会ってる。
毎回のように寝ちゃうけど、お姉さんは嫌みの1つも言わないから天使様だと思う。
最近ではクラスメイトとお泊まり会をしたりもしている。
いつも私が先に寝ちゃうけど、皆それでも良いって言ってくれる優しい子ばかり。
唯一の悩みは、最近体重が増えてきたこと。
お腹がちょっと張ってきて、さすがにヤバいと思って家でストレッチとか始めてみた。
でも効果が無くて、日に日にお腹が出てくる。
ランニングでも始めようかな。
まあでもそんな悩みぐらいしかないぐらいには、今が楽しい。
死んだ目をしていた頃が懐かしい。
今の私は死んだ目とはほど遠い存在。
いずれは彼女とかほしいけど、ちん○んが無いせいで私が孕むの確定だから困ってる。
告白とかされてるんだけどなぁ。
でも、妊○とか、男の私はしたくないし…。
とりあえず悩みは先送りにして、今を楽しみたいな。
死んだ目には戻る予定のない生活を。