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リリーローズの物語

転生したみたいです

作者: ヒトミ

誤字修正しました( . .)"

それは突然のできごとでした。

天啓!

私は日課のティータイムを過ごしていたので、盛大に紅茶を吹き出した。


「リリー様、どうなさいましたか?!」


侍女のマリーが駆け寄って来ました。

記憶が混乱している私は、それどころでは無く。手を振って大丈夫だと伝えながら、俯いた。

頭の中を、走馬灯が駆け巡っています。

これは前世の記憶……?

そう、私は前世二十代の日本人女性でした。

死んだ記憶は無いのだけれど……。


「それとも幻覚……?」


社会人になって、仕事してという人の一生を眺める幻覚なんてあるのかしら。



(わたくし)、ルージュ王国の伯爵の娘、リリーローズ・ホワイトと申します。

天気のいい昼下がり、突然前世を思い出し、取り乱しました。


「これはよく言う転生、というより、記憶の焼き付け?というものですわね」


ということは、ここは何らかのゲームの世界だったりするのかしら。


「困ったわ。乙女ゲームはしたことがないみたい」


存在は知っていますが、知識はあまりありません。要するに、どうすればハッピーエンドになるかとかも分からないので、今まで通りに生活するしかありませんわね。




晩餐の時間、お父様がおっしゃいました。


「リリーも今年で十八だ。そろそろ社交界に出てもらわないと困る」


前世の本でよく見た社交界!!

憧れもあるけれど、それ以上に女の戦いが怖そうな魔のパーティですわね!


「あまり行きたくありません。そもそも、ここは辺境ですのよ。王都まで何ヶ月かかるのか、想像したくありませんわ」


お父様がため息を吐きました。そのやれやれっていう表情やめてもらっていいですか?


「お前の婚約者に頼まれたのだよ。今年こそお前を王宮の舞踏会に連れてきてくれとな」


青天の霹靂(へきれき)です。私婚約者がいたのですね。今までの記憶を振り返ってもそれらしい人に会った覚えが無いのですが。


「お父様? 婚約者とは……?」


またもやため息を吐かれました。


「お前がなんの行動も起こさないから、私がお前の肖像画を夜会で手当たり次第に配り歩き、やっと目ぼしい若者に巡り会うことができたんだぞ。それが、三年前のことだ」


「お父様?」


なにしてくれてんだ、この親!!?

失礼。動揺が前世の人格になって現れてしまいましたわ。


「お前に婚約者が出来たことは、三年前にも伝えていたはずなんだがなぁ」


身に覚えがありませんわ!


「礼儀作法の授業の後、寝そうになってるところで話したのがいけなかったのかな……」


絶対聞いてなかったと思うわよ?

礼儀作法の授業は過酷を極めます。なぜか、三年前から、一段と激化しましたもの!

寝そうになってるというより、気を失っていたのではないかしら?


「だから、リリー。父のためだと思って今年は一緒に王都に行っておくれ」


捨てられた子犬がいますわね。


「分かりましたから、そんな顔しないでくださいな」




そういう訳でただ今 (わたくし)王都に来ております。

驚きなことに、王都まで一日もかかりませんでした。

辺境と王都を繋ぐ転移門があったのですわ!

厳重に守られ、いつでも使える訳ではないようでしたけど。

魔法が存在することも、ますます乙女ゲーム()がありますわね。


乙女ゲームの世界だとしたら、私は何役なのでしょう……? 主人公? それともライバル令嬢とかかしら? はたまた、物語には関係ない一般人? それが一番平和で楽ですわね!




王都に着いた次の日は、舞踏会の日でした。

お父様。ギリギリの日に伝えすぎではありませんか?!

大急ぎで支度を整えてもらったので、ドレスは有名店の既製品です、お許しを!


婚約者という男性は、王宮で待っているとお父様が言っていたので、王宮にきました。

王宮につくなり、控え室に通されました!


……、ここって控え室で間違いないですわよね? なんだか、広くないですか? 置かれている美術品とか、飾られている絵画とか、とっても高級そうですけれど?!



「リリー! きてくれたのだな! 一緒に会場に行こう」


うぉあ! 背後からの突然の奇襲!! メーデー!メーデー!! メーデーぇ! なにごとですか!?



あれよあれよと会場へ連れていかれた私は、びっくり顔の猫だったと思います。

そして、現在。死んだ魚の目になっているはず。


「ヴィットーリア・カエルレナ侯爵令嬢。申し訳ないが、私はそなたとの婚約を破棄する!」

「アレクシス王子殿下、何を言っているのですか?」

「そなたにはすまないと思っているが、私は真実の愛に目覚めたのだ!」

「……。そうですか、お好きになさってくださいな。私は陰ながら見守っております」



私の肩を抱いているアレクシス王子?が言うと、気の強そうな迫力美人が、豪奢(ごうしゃ)な扇で口元を隠しながら呆れ声を発した。



お父様……。私の婚約者は、もしかして王子殿下なのですか? 本当に? それでしたら、ちょっとどころか、全力で遠慮して、いますぐ、領地に戻りたいのですけれど!

……だれかあ! たすけてぇぇ……。


まわりからも、ヒソヒソと声がします。私、大分場違いですよ? いやだぁ!




「アレクシス殿下……? 何をしている、その女性は私の婚約者だ。離しなさい」


ハッと現実に意識が戻りました! 救世主? もしかして、現状を打開してくれる救世主がきてくれたのですか!?


隣に儚げな少女を連れて、男性がこちらに近づいてくる。少女は私と同じドレスを着ていた。既製品ですものね!

男性は私の救世主だからか、輝いてみえます。


「アレクシス様、そんな方だとは思いませんでしたわ!」


儚げな少女は、涙目で訴えている。チラリと私を睨むのも忘れずに! なんだかわかりませんけど、力いっぱい無罪を主張しますわ!!


「リリー??!」


はい? 私がなにか?


「この女性は誰だ……?」


未だに肩を抱いている王子殿下がこちらをみる。いい加減離してもらっていいですかね?


「だから、私の婚約者のリリーローズ・ホワイト伯爵令嬢だ」

「……ッ、ホワイト伯爵家だと!?」

「そうだ。だから、離しなさい。怯えているだろう」




王子はやっと私を解放してくれた。なんだったんだろう、本当に!

緊張がとぎれ、フラつく。

男性は、私を支え、テラスの方に移動してくれた。


「大丈夫か? 貴賓室にいなくて心配した」

「助けてくださり、ありがとうございます」


ピシッと体勢を立て直す。恩人に対して無礼は働けません!

貴婦人の礼をとる。


(わたくし)、リリーローズ・ホワイトと申します。本当に助かりました!」

「私は、イグナイトだ。よろしく頼む」


家名は無いのかしら……? まあ、そのくらいの方が私にはちょうどいいかな。


「やっと王都に来てくれたな」

「婚約者がいることを最近まで知らなくて……。申し訳ありませんでしたわ」

「……、伯爵め……」


なにか小声で呟いたみたいですが、まわりの音にかき消されました。


「リリーローズ伯爵令嬢。私は三年間、貴女の事を待ち続けた」

「それは、本当に申し訳ないと思っております」

「では、そんな私に何をしてくれる?」


イグナイトは、イタズラげに笑う。

なにって、なにをしたらいいのでしょう……?

高価なお礼の品? それとも、キスでもしたらいいのかしら、いや、早まるな! キスはない!


「……、改めて、リリーローズ・ホワイト伯爵令嬢。私は貴女に結婚を申し込む。受けてもらえるだろうか?」


「はい! 喜んで!」


イグナイトから提案してくれた事に、これ幸いとのっかる。


「本当か!? では、結婚式の日取りはいつにしようか」



うぇ?! ちょ、ちょっと待って、私いま、取り返しのつかないことをしたのでは?


「ま、待ってください、結婚式は待って!」


それこそ、まだ早いです!! 心の準備が必要なので!


「ま、まずは、お互いのことをよく知るためにデートからにしませんか?」

「デートとは……?」


しまった、デートは前世の言葉だったぁ!


「一緒にお出かけすることからはじめましょう!」




それから、しばらくあとで、なんだかんだで絆された私は、イグナイトと結婚式を挙げることになりました。


結婚式でイグナイトの姓が分かり、逃げ出そうとするのは、また別の物語。


お読みいただきありがとうございました( . .)"

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