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異世界チートは標準装備〜ピンチでも、ピンチじゃなくても起死回生〜  作者: 悠悠ー自適
二章 二等世:プロドシア篇
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二章ー46 因縁

〜玉座の間〜

 魔王によりまたも治癒されたユウへ、高速の刃が向かう。


「ーーマブロさんっ!! ど、どうして?」


 Dを危なげなく制圧したマブロの刃は、次の相手にユウを選んだ。

 ユウは、もう先が粉々に潰されてしまった剣で、何とか防ぐ。


「彼は、私の協力者ですよ?」

「協力者・・・本当ですか?」

「・・・」

 

 ユウの問いかけに対する答えはなく、そして剣を交えるマブロのその表情は、いつもの明るく頼りになる、そんなものとは正反対の、深い悲しみと憎悪が現れたもので、その瞳はどうやら濁ってしまったらしい。


「・・・どうしてーー」

「私の目的は唯一つ・・・アフォスだ」

「アフォス・・・!?」

「あぁ・・・そうだ」


 剣を交えながら、それを通して自分の想いをユウにぶつける。

 普通、冷静さを欠いた人間ほど御しやすいのだが、しかしこの男はそうではなく、寧ろパワーが上がり、攻略が一層困難なものへとなった。

 

「私の父は強かった。自慢の父だ。実力で、剣一本で貴族にまで成り上がり、そしていつしかこの国の秩序を守る、警察的な役割を担うようになった」

「クッ・・・」


 一瞬、ユウが態勢を崩し隙ができたーーマブロはその隙を的確に攻める。

 能力ではない、そんなものに頼らない、純粋な剣撃ーーそれ故厄介だ。


 マブロは攻撃の手を緩めることなく、そして話は続く。


「そして父は、この国最強になった。誰も父に敵わなかった・・・」

 クラスレッド・フォルド

「< 赤魔術・炎撃 >」


 こちらも負けじと隙を付き、直ぐ様魔術を放つ。

 しかしマブロは剣でそれに合わせ、いとも容易くそれを無力化、そして魔術発動直後のほんの僅かな遅れを見逃さず、流れるようにまた仕掛ける。


「だがある時、父は最強ではなくなった! 強大な魔物との大きな戦いにおいて、多数の死者を出し、そして父本人も瀕死の状態、絶体絶命の危機、そこを僅か九つほどの子供に救われた。その剣撃は、この世のものではないほど美しかったそうだ。その後、その子供が貴族の息子だと知り、何とかもう一度その剣を見ようと必死にお願いし、ならば決闘という形で、そのチャンスを掴むことになった」

「・・・決闘? 子どもとか?」

「あぁ・・・誰もがそう思ったさ。あの家は子供に厳しいことで有名で、当主は代々国王の護衛を務めている。だからこそ、最強である父と息子を戦わせてみたかったのだろう。しかし父は、勿論子供など殺す気はサラサラなく・・・」


 そこで話と剣撃とが一旦途切れる。

 マブロは自分のその手に宿る剣を見つめ、ほんの僅か優しい表情を見せ、目を瞑りそして回想に浸る。


「・・・・・・」

 

 今ならば、ユウはそう思ったが、しかしマブロはこちらに集中せずとも余裕で対応できる、そういった自信の現れなのだろうと警戒し、ただ折角の僅かな休息、息を整え好機を待つ。


 ようやく、マブロは回想の世界を脱し、戻ってきたようだ。


「しかし、どうやら父は負けたらしい。・・・でも、何だか前よりも楽しそうだった。きっと最強であることに疲れていたのかもしれない・・・だから、当時俺は、その子供に感謝すらしたさ・・・」


 彼は向かってこない。

 心なしか、先程よりも表情や、声や、雰囲気が穏やかになったようにも思える。


「そしてある時、アフォスの家へと向かったきり、父は帰って来なかった」


 声が若干震えている。

 自分で抑えようとはしているようだが、しかし全てを隠すことはできないようだ。


「しばらくして、父は死んだと告げられた。真相はわからない・・・その後すぐ、アフォス家の当主が変わった・・・どうやらその、当時の当主も死んでしまったらしい・・・・・・そしてあいつは当主へと成り上がり、加えて父の仕事も同時に担うようになった」


 徐々に、燃え盛る炎のごとく、彼は自身の感情をコントロールできず、今にも暴発してしまいそうだ。

 溢れ出ずる、負の感情。


「それからは早かった。あいつは淡々と、完璧に業務をこなし、まるで元々自分の仕事であり、それが普通であり、以前とまるで変わっていないかのように、周囲も段々とそうなっていった」


 彼が何を言いたいのか、何に対して怒っているのか、それを推し量るだけの能力が、ユウにはあった。

 故に、ほんの少しばかり彼に、同情に似た感情を抱いてしまっている、それも理解できてしまっている。

 と、ここで話が若干飛んだ、恐らく彼にとって、そこは説明するまでもないものであったのだろう。


「何度挑んでもだめだった・・・どんなに速い剣でさえも、ただの一度も、掠りさえしなかった・・・。俺は諦めず技を磨いた。そして挑んで、また負ける、それの繰り返し。そして、自分が技を研鑽し、実力がつくにつれ、いかに自分が手加減され、生かされているのかを理解できるようになっていった・・・それが辛かった・・・」


 彼はまだ話す、きっと、一日や二日などでは語りきれないほど、ずっと溜め込んできたのだろう、止まることなく無限に喋り続けるので、ユウはなかなか攻撃開始できずにいる。

 そして、気がつけば、いつの間にか彼の方でもクライマックスに差し掛かっている。


「俺は、何としてでもアフォスに勝つ!! あいつに奪われた父の仕事と名誉と、その他全てをあいつから奪い返す・・・そしてお前はその糧となれ! ・・・前哨戦だ」


 決意の瞳、その曇りきった眼には、一点の迷いもなく、ただその負のエネルギーを支配し、また支配されている。

 いよいよ、またあの猛攻がスタートする、ユウは改めて気を引き締める。


 だがーーどうやら何かがおかしくなったようで、マブロは一瞬フラついてしまう。 


「まだ・・・効果が現れないようですね・・・」

「・・・」


 姫は想定どおりといった顔で、しかしマブロは不快感をあらわにする。

 今ーーマブロは剣を握る、その力が弱まっている、ユウはそれに気がつき、そして気がつけば、マブロの首を狙える距離まで来ていた。

 相手の不調、圧倒的集中による反射、これにより過去最も速く、気づかれず、そして自分でも驚愕するレベルでの流動的な移動をなしたのだ。


「・・・!!」


 刹那における、声にならない驚き、「いつの間に」と、そんな事を言いたかったのだろうし、それは自分でも思っているさ、しかしここで余計なことが影響して止まってしまったら、きっともうこんな奇襲は成功しないし、機会もないだろう、だからこそ、ここで決める。

 移動速度も相まって、それを利用して、恐ろしく速く剣を振るう。

 下手な技や小細工はいらず、ただの一撃が最も有効であろう。

 

 マブロは何とか、僅かにユウに反応、だが体はそれほど速く動くことはできず、精々体を数cm後ろへとずらせるかどうか、その程度ーー絶体絶命。


 ”勝った”


 だがーー剣が触れた感覚は、とても人の感じではなく、まるで同じ剣のようであった。


「な・・・!?」


 そしてユウに、なにか大きな力が加えられ、かなり後方へと吹き飛ばされた。

 しかし今回は当たりどころが良く、それほどのダメージにはならなかった。


「今・・・絶対当たったと思ったんだけど・・・ん? 誰かいる・・・」

「やれやれ・・・自分の力に限界を感じ、そして信じることができなくなった・・・それが弱さの原因です」

「お前・・・アフォス・・・!!」


 マブロを殺しうる一撃、恐ろしく速いあの一撃を、完全に無力化したのは、そもそもそのような事ができるのは、まさにこの男、アフォスであった。

 しかし彼はいつの間にやってきたのだろうか。

 ユウは過去最高速で、マブロでさえもほとんど反応できなかったのだが・・・しかし彼にはそれさえも、簡単な芸当であるかのように思える。


「お前・・・どっから湧いてきた? ・・・いいぜ、今からお前を殺してやるよ・・・!」

「マブロさん・・・彼は仲間です、喧嘩はいけません」


 アフォスを見るなりマブロは、自分が彼に助けてもらったことなど関係なしに、まず先に彼を討ち果たそうとやる気全開、だがそれを魔王に止められる。


「・・・アフォス、さん・・・どうして?」

「私には、私の考えがあり、それに基づき行動しているのみです。では・・・・・・始めます」


 スタートと同時の加速ーー一瞬で最高速へと到達。


「・・・これはっ」


 刃がもうそこまで迫ってきている・・・。

[雑談]いつの間にか、半年も連載してたんですね・・・。

   これからもよろしくお願いします!

[ブクマしましょう!!]

[予告]次回の更新は、19日を予定しています。

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