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異世界チートは標準装備〜ピンチでも、ピンチじゃなくても起死回生〜  作者: 悠悠ー自適
二章 二等世:プロドシア篇
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二章ー44 中央区へ

〜中央区手前〜

「あと少し、あと少しの辛抱や!」


 ヤクザたちは一般人を連れ、あれから振り返ることなくただ中央区目指して走っている。

 ヤクザ等は流石、体力はあるようで、皆余裕はあるようだが、しかし一般人はもうかなり限界まで来ており、速度が徐々に徐々に遅くなっているが、必死に前へと足を踏み出している。

 その後ろから遅れて、ランの頭を脇に挟んでいるデンジャーが、その巨体を弾ませついて来る。


「おいっ! 放せ!」


 ランは何とか抵抗しようと、デンジャー自慢の肉付きの良すぎる腕を叩き、声を上げる。

 だがそれはまるで効いていないようで、しかしやかましかったのか、デンジャーは無意識のうちに更に腕に力を加え、お陰でランの頭はもう殆ど可動しなくなった。


「お前、許さないからな! こんなことし・・・ウッ・・・苦しいっです、すいませんでした私が悪かったですから少しばかりその腕の力を緩めてはいただけないでしょうか?」

「・・・デュ、デュフッ?」

「クソッ・・・話が通じないのか!? ・・・苦しい」


 ランの頭部はかなり圧迫されており、もの凄く苦しそうに、そしてそれをデンジャーに必死に訴え、敬語まで使ったがしかし、分かってはもらえなかった。

 途端に、ランは大人しくなった。 


 そんな様子を見て、一般人の中の、母に抱かれている子供が笑っている。

 ランは威嚇しようとするが、もうそんな元気はなかった。

 そんなこんなで、もうすぐ中央区だ。


「ただ・・・中央区って、あれやろ? あの金持ち共の巣窟」

「あぁ・・・果たして入れてくれるやろか・・・?」


 などと憂いでいると、いよいよ中央区への入口が見えてきた。


「あれが・・・やっと、か・・・」

「いや待て・・・誰か・・・!! 魔物や!!」

「何やて!?」

「誰かが交戦しとるみたいや!」


 もうゴールは目の前、しかしその途中、どうやら魔物たちがいるらしく、一行はその手前で立ち止まる。 


「クソッ・・・どこから入ってきやがった!? こんな奥地にっ!」

「・・・どうする?」

「ここは・・・よし、なら俺がここを引き受ける。その隙に、お前らは門まで走るんや」

「・・・・・・分かった」


 作戦は決まった、一人が残り、二人はとデンジャーが、一般人を連れて門まで駆け抜ける。

 すると魔物のうちの一体が、こちらに気づいたようで、ゆっくりと向かってくる。


「もう・・・ぶっつけ本番しかないみたいやな・・・」

「まぁでも・・・博打は好きやろ? そういうこっちゃ」


 三人は顔を合わせ、少し微笑み・・・一斉に飛び出した。

 残留意思表明ヤクザを先頭にして、団子のようになって進んでいく。

 魔物はそれに気づき、それぞれ向かってくるがしかし、ヤクザ等はそれぞれ一撃で魔物を仕留める。


「道開けろやボケェ!!」


 視界に捉えた魔物を片っ端から撃ち抜くその姿はまさに鬼神の如く、みるみるうちに魔物が減っていく。

 玉がなくなっても、慣れた手付きで補填して、また発砲、まさに職人技だ。

 

 みるみるうちに道が開け、そこを全力疾走、門までやってきた。


「上手く・・・いきましたね・・・」

「これやから、博打はやめられんのよ」

「ほな・・・俺はここに残って、あそこで戦っとる奴らに加勢するわ。幸い魔物の数も少ないし、すぐに終わるやろ」


 そして三人は、今更ごちゃごちゃ言うことなくスムーズに、互いを信頼し合い、残留意思表明ヤクザは駆け出し、避難組はすぐさま門を開け、すばやく入り、また門を閉めた。  




〜中央区内〜

「しっかし、まさかここにまで魔物が来とるとは・・・」 

「でも中は安全みたいですね・・・人が全然いませんけど・・・」

「せやな・・・何かこう、不気味やな」


 中に入れ、一行は一安心したが、しかし何故だが人の姿が見当たらない。

 外はあれ程騒がしかったのに、中はこれほど静かで、それが彼らを不快に、そして不安にするのだ。


「デュ、デュフ・・・」

「・・・なんか、あんたのそれ聞くと、逆に安心するようになってきたわ」


 人はいなくても魔物もいない、ひとまずは安心だ。

 と、ここで、一般人と一緒にやってきていたザックが、自分は戦闘に戻ると言い出した。


「これ以上・・・戦いから逃げるなんて・・・できません」

「あんた確か、ザック、とかいうんやっけ? まぁ何だ、あんたはずっと一人で戦ってくれてたみたいやし、これくらいは、いいんやないか?」

「・・・ですがーー」

「そういうことや、それにもう、魔力も残ってないんやろ・・・あんま無理されても、誰も喜ばんで」


 ヤクザ達は、優しい視線を彼に向ける。


「・・・・・・本当に、助けられてばっかりだなぁ・・・西区でだって、マブロさんたちが助けに来てくれたし・・・あれだけの軍隊だ、きっと大丈夫だろう」

「よく分からんが・・・まぁ普段の行いがいいからやろ、知らんけど」


 ザックは感極まり、僅かに涙を湛えている。

 と、向こうに人影が見えた。

 

「やっぱり、皆できるだけ中央に中央にって集まっとったんか」


 案の定、といった感じで、しっかりと安心して、そこへと向かう。

 安息の地は、もうすぐそこだ、足も少し軽やかに動く、そんな気がする。

 

 中央区の広場、そこは普段、この近辺に住む子供が元気に遊びはしゃいでいる、平和で楽しい公園なのだが・・・。


「何や・・・これ?」


 目の前の光景に、一同は絶句する。

 彼らが、進んだ先で見たものとはーー




〜中央区外〜

「まったく・・・俺等は・・・そんなに強くないんだよ! 大体何でこんなところまで魔物が来やがるんだ!? 冒険者はどうした!? 入口守ってるんだろ? 俺等よりも給料いいだろ! ならそれ相応働いて、弱い俺等を守ってくれなきゃ困るってもんだ!! なぁ?」


 延々と文句をたれながら、怒りを全開にしながら、ハンマーの下位互換のようなものを振り回し、ゴリ押しで魔物を屠っている男が、そこにはいた。


「先輩・・・早口過ぎて聞き取れませんでした・・・」


 それからもう一人、弱々しくも何とか魔術を行使し、その男のサポートをしている者もいる。


「あ!?」

「・・・何でもないです」


 二人はこのように喧嘩、いや、どちらかといえばこのハンマー下位互換男がパワハラをしながら、それでも魔物を屠り続けている。

 そこへ、彼が駆けつける。


「助太刀するぜ!」


 登場と同時に魔物を二体、ピストルで仕留めた。

 その手には、二丁のピストルがあった。


「・・・誰だあんた!?」

「ただの・・・善良な一般市民や!」


 決め台詞なのか、そう言ってキメ顔をする。

 それを受けて、男二人は意味がわからないといった顔をするが、しかし今は魔物優先、協力して屠る。


 しばらくしてーー三人は、その場にいたおよそ二、三十体の魔物を撃退した。


「で、あんたは?」

「だから、善良なーー」

「真面目に答えていただけますか?」

「ーーただのヤクザです」

「よろしい」

 

 下位互男の笑顔がとても怖かったのか、ヤクザは結局変なノリを中断した。

[雑談]そういえばなんですけれども、16日で連載開始から半年が経つとのことで、驚いております。

   16にはギリギリ間に合いそうにないんですが・・・・・・ね。

[ブクマしましょう!!]

[予告]次回の更新は、15日を予定しています。

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