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異世界チートは標準装備〜ピンチでも、ピンチじゃなくても起死回生〜  作者: 悠悠ー自適
二章 二等世:プロドシア篇
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二章ー40 D

 「もうやめないか」そう魔王に提案したが、やはり聞き入れてもらえなかった。

 というよりは、そんな事で止めるくらいならば、こんな事など起こしていないだろう。


「本当に、あなた達のお陰で大変だったんですよ・・・おまけにお父様もお父様で、妙に頑固なところがあって、支配が凄く効きづらくて・・・。そればかりか、お父様ったらこっそりと人身売買などにまで手を出していて、すぐにどこかへ出かけて行って・・・でも、大事な場面では、しっかりと働いてくれましたので、結果的にはいいですけど。それにーー」


 ペラペラとよく喋る。

 しかしそれも当然か、なぜならば、彼女の計画に必要なピースが今ようやく揃ったのだから。

 

「僕はそんな事を聞きたいわけじゃ・・・」


 ただ、魔王が気持ちよさそうに話しているが、それはつまりユウにとっての不快であり、話題を逸らされたこともあり、つい言葉の途中で口を挟む。

 すると魔王は話を止め、不快感をあらわにする。


「女性の話を聞けない男は嫌われますよ」


 何故だろう、この言葉はユウにクリティカルヒットしたようだ。


「私の話を聞きたくないと、そこまで言うのでしたら・・・いいでしょう。丁度いいお相手をご用意致します」


 そして不機嫌を引きずったまま、魔王は次の行動を取る。

 魔力を感じた、続けて彼女の足元にあった魔法陣のような、不思議な模様が反応を示し、そこにその魔力が集まり、まばゆい輝きを放ったーー。


「折角の機会です。外で元気にしている一体を取り寄せました」


 突然のフラッシュに思わず目をつぶったユウが目を開けると、魔王の隣に、見知らぬ何かが立っているのに気がついた。

 それは全体的に黒、体長は2.5メートル位であり、全身に甲冑のようなものを装着しており、落ち武者の怨霊と言われても信じてしまう、そんな感じだ。


「個体名は”D”、攻撃力でしたら間違いなく最強です」


 ユウの初見の感想は、掴みどころのない、というもので、そして間違いなくこの個体は強いということは容易に理解できた。


「残りの四体は、東区に”G”、西区に”L”、北区に”N”、南区に”A”、地方は有象無象で十分です」


 なるほど、このレベルのモンスターがあと四体、四方位にそれぞれ配置され、それがこちらへと向かってきている、と。

 ユウはいよいよ諦めかけた。

 しかしそれどころではなく、この目の前の二人ーー魔王と”D”ーーは油断できない、というよりも全力でやっても最悪の場合片方すら倒せない、なんて事態になりかねない、そしてこの表現は強ち誇張などではないと、それは当人が一番良くわかっている。


「さぁ、お好きなだけ戦ってください。私はじっくりと観戦していますので」

クラスレッド・ウィンドバレット

「< 赤魔術・風弾 >」


 魔王は仕事をこの”D”に任せ、自分は高みの見物でもするのであろう、一切のためらいもなくこちらに背を向けるので、間髪入れずに魔術を行使。

 相変わらず、何故か高火力のものは使えないが、しかしこの機会を逃すという手はなく、まずは一撃、確実に命中させるーーはずだったのだが。


「!!」


 視界の先、この風属性を纏いし弾丸の軌道に、突如異物が混じった。

 Dが魔王との間に割り込んできたようで、そのお陰で魔術はDへと向かっていく。

 本音的には魔王に当てたかったが、しかしどちらにせよ両方とも討ち滅ぼさなければいけない、ただその順番が変わっただけだ、そう思い、ユウは次の魔術をもう準備する、がーー。

 

「Drrrrr!! rr」


 Dは奇声を発した。

 その後すぐ、順当に侵攻していった魔術はDと接触、なんと消滅した。

 消滅、いや、この表現が果たして適切なのかは分からないが、しかしとにかくその魔術がさっぱりと消えてしまった、ユウの目にはそう映った。

 そしてDは、まるで何も気にせずこちらへと、全速で突撃してくる。

 見た目では、甲冑のようなものが特に重そうだが、意外とそうではないのかかなりのスピードだ。

 

クラスレッド・ウォータスラッシュ

「< 赤魔術・水斬 >」


 ユウはすぐに追い魔術、しかしやはり、まるで効果がないと見え、気がつけば相手の間合いだ。

 すると相手はその漆黒の剣を抜刀、それは持ち手から剣先にかけて、かなり禍々しいオーラを放っているようで、またサイズ感も通常の二倍以上のリーチだ。

 からの繰り出される瞬速の剣撃、ユウは剣を出す暇もなく、< 身体強化 >をしてギリギリで、かつ丸腰で躱す。


「DDrrr!」


 猛攻をしばらく凌ぐと、またDは叫ぶ。

 そのタイミングでユウは素早く抜刀、相手の集中が切れているのを狙い突進する。


「DrrDrr・・・」


 相手もようやく反応するが、だがユウはすれ違いざま、何とか一撃を胴に当てる。

 あまり深くはなかったが、しかし纏っているものを少しだけ削り取ることはできた。


(何とか一発入ったが・・・でも、全然効いてなさそうだな・・・致命傷なんて、本当に与えられるか? というよりも、恐らくこっちはワンヒットでやられる気がするし・・・)


 などと考えるうちに、いつの間にかすぐそこに、剣を振りかぶっているDの姿があった。


「っ!! クッ・・・」


 重い一撃、なんとかそれを剣で受け止めるが、しかし力の違いは歴然のようで、剣が悲鳴を上げている。

 更に、そんな若干の硬直状態が続く中、何やらユウの剣に暗黒物質、まさにそれとしか言いようのない、黒とも言い難い何か異様なモヤが絡みつく。

 それはどんどんと侵食を始め、今のとろこ実害はないものの、ユウは恐怖を感じたため何とか重撃を弾き、後方へ撤退する。


「・・・さっきのは? でも・・・何ともないな」


 考えている余裕はない、体を動かす。

 今、理由はわからないがしかし、敵がフリーズ状態であり、攻撃するには絶好の機会だ。 

 今度はこっちから距離を詰め、間合いに入る。

 そして刃が順調にDへと到達した際、ようやく異変に気がついた。 

 無防備な相手の胸元に、確かに剣を当てたのだが、しかし弾かれたのだ。

 さっきは確かに、ほんの少しであっても削ることができたが、しかし今回はそういった感じではなく、寧ろこちらの剣が真っ二つに折れた。


「何!? これはーー」


 ーー気がつけば、いつの間にか自分の体が壁にめり込んでいた。 


(・・・攻撃された・・・のか?)


 動けない、動きたくない、そんな気持ちを抑え込み、何とか立ち上がるとそこには、Dが待っていた。

 ユウはもう咄嗟に、長さが半減してしまった剣で防御を試みるが、しかし相手の圧倒的な重量・速度の剣撃は、やはりどうしようもなく強力で、右半身を縦に斬りつけられた。

 辛うじて構えた剣はもう粉々に、また足場が不安定であり、丁度後ろへと体が傾いていたおかげか、そこまで深く斬りつけられはしなかった。

 ユウは直ぐ様傷口を手で抑える、といっても範囲が広いため、精々胸部周辺を抑えているだけだが、そうしつつ、治癒魔術を全力で自分に行使する。

 その間も攻撃は続いたが、しかし死に際の馬鹿力で、本当にスレスレで何とか、転びそうになりながらも、這いつくばってでも避けていく。


 だがそれも長くは続かず、だんだん意識が朦朧とし始め、視界がぼやけてきた。

 そしてつい、足元にあった何かに躓いたようで、いつの間にか天井を捉えていた。

 いや、天井かもわからない、自分が今どういう状態なのかもわからない、ただとても気分がいい。

 ユウは死を感じたーー。

[雑談]昨日は更新できず、すいませんでした・・・。

   ここ最近特に帰宅が遅く、気がつけばまた朝がやってきていたので・・・なので3日の更新もやや怪しいですが・・・その時はどうか察してください、お願いします。

[ブクマしましょう!!]

[予告]次回の更新は、3日を予定しています。

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