二章ー39 防御
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諸事情により、1/31日における投稿ができなくなりました。
大変申し訳ございません。
それの振替は2/1に行う予定です。
〜東区〜
ザックの耳に、自然と魔物の足音が入ってくる。
それは今までの比ではなく、どんどんと大きくなっており、その規模の大きさが窺える。
その無言のメッセージを気にしつつも、しかし今は目の前の問題で手一杯だ。
「ではザックさん・・・さよなら、ですね」
ザックはまだ闘える、魔力も僅かながら残っている、しかし体が動かない。
気力はこれほどあるというのに、どうしても地面から起き上がることができない。
そしてランはトドメを刺そうと、少し勿体つけて剣を抜刀、と、その僅かな隙にザックは動いた。
「・・・!! まだ抵抗できるのか!?」
クラスホワイト・フィジカルブースト
「< 白魔術・身体強化 >」
身体強化、何とか立ち上がると直ぐに発動、相手に抜刀させる前に行動。
クラスホワイト・ブロウ
「< 白魔術・飛吹 >」
威力は殆どない技だが、しかし隙を突かれた相手を吹き飛ばすことは、造作もない。
ランとその後ろにいた仲間二人はきれいに吹き飛ばされ、ザックと距離を取らされてしまった。
だが相手も黙っていない。
残りの数人が、もういよいよ疲労で倒れそうなザックへと向かう。
一方の吹き飛ばされてしまったランは外を気にして、思いの外魔物の進行速度が速く、もうそこまで迫ってきているのに気がついた。
彼らにしてみれば、ザックを殺してから逃げるでも恐らく大丈夫だと思うが、もし万が一この男が想定よりも抵抗し、魔物の襲来のほうが先になってしまったら、そう考えた。
(別に例の数体以外は脅威でも何でもないが、しかし数が数なだけに・・・。それにザックはもう満身創痍、ならばここに放置しても、魔物に対抗することはできない・・・・・・見てみたい!! 百を超える魔物に一人立ち向かう冒険者の姿!! もう魔力も殆ど尽きた状態で、この男はどうするのか、ヒトの極限の状態を!! あぁ・・・見たい・・・)
するとランはニヤリと笑い、そして仲間に撤退を命じた。
ここから距離を取り、高所に避難し、自らの安全を図る。
また去り際に、ランはザックに言葉を残した。
「残念です。僕の手で、あなたを殺ることができなくて・・・魔物にその役目を負わせてしまうなんて・・・ですがあなたは誇り高き冒険者、し〜っかりと、最後まで抗って見せてくださいね」
ザックはこれに応えなかった。
そんなことよりも、もう目の前まで迫った脅威に対してどのように対応するか、どのようにして生き延びるか、それが圧倒的に優先される。
(・・・何とか、また生き延びた、が・・・どうする? 体は思うように動かない、魔力もあまり余裕がない・・・。ならばどうする・・・?)
やっと、変な輩がいなくなってくれたかと思えば、次は魔物の大群だ。
もうかなり限界が近い、それはずっと感じており、どう対処するか、いっそもう諦めてしまおうか、と、何度も何度も考える。
だが、ふとした時、仲間の体が映った。
自然と思考を止め、奇跡的に未だ綺麗なままである仲間たちを、せっせと近くの建物まで運んだ。
中に入らせてもらい、そして丁寧に安置する。
(・・・これでよし。あとは自分の身をどうやって守るかだが・・・?)
すると奥から物音が、次いで人の声がした。
不思議に思って見ると、そこには十人ほどの市民が隠れていた。
中には一人、子供も混じっている。
(!! どうしてここに・・・? 逃げ遅れたのか? クソッ・・・)
誰もかれも怯えたような表情をしており、しかしザックを見てすぐ、皆ゆっくりと近寄ってきた。
「あの・・・冒険者の方ですよね・・・?」
「どうか・・・どうか助けてください! この子だけでも・・・この子、まだ生まれたばかりなんです」
「おね・・・お願い、します・・・」
「・・・っ」
(助けて、か・・・俺だって、縋りたいさ。もう限界で・・・でも、ここではやっぱり、俺は冒険者で、だから守る側で・・・けど、あの数の魔物を捌き切るのは・・・)
視線の先、その風景は地獄絵図であるかのようであった。
百を超える魔物が、目的地を同じくして、野生全開でこちらへ突進してくる。
それらは競い合うように、我先に我先に、内部へと侵入を試みる。
すると一般人等は遂に、一人が発狂し、そうでなくとも泣き喚き、もしくは天に祈りだす者も。
その様子を見て、それが今、本当に自分の目の前で起きていると改めて感じて、そしてザックは、そもそも最初から、自分に選択肢など与えられていなかったと気づいたーー。
クラスホワイト・フォース
「< 白魔術・強魔結界 >」
ーー諦めるという選択も、助けないという選択も、そして迷うという選択も、最初からなかったんだ。
ザックは気力でなんとか体を動かし、持てる魔力を絞り出し、全員を守るように、不得手な結界術を行使した。
建物の中、それも奥の方、しかし魔物のセンサーは敏感で、すぐに何体かはこちらへと迷わずやって来た。
そして魔物が結界の前に到達、寸分の躊躇もなく結界へ突撃、それを間近で見た一般人等は、男は助けてくれとの一点張り、老人は神に祈り、母は泣きながら、それでも子を守るように抱きかかえている。
皆目を瞑る、もう殺されてしまうとーーしかしそうではない。
目を開けると、魔物は忽然と姿を消していた。
これはザックの結界の特性によるものだが、しかし彼らはそれを理解しているはずもなく、ただ今を生きているという事実が嬉しかった。
するとまた、魔物がやってきた。
だがやはり、少しして、自ら死んでいった。
エヴィリオの魔力と反比例して、人々は希望を見た。
しかしその希望も、所詮はただの虚像である。
また新たに、魔物がやって来た、それも数十体が同時に。
どうやら死んだ仲間の僅かな魔力を辿って来たようで、すぐに人間を見つけた。
そして一体、また一体と魔物が襲来する。
さっきまでとは違い、複数体による同時攻撃、これは想像以上の負荷のようで、早くも結界が悲鳴を上げ、人々もまた、悲鳴を上げる。
一方の魔物は絶えることなく結界の中の餌をめがけて、また我先に我先に、競い合っている。
周囲には魔物の大群、後ろには少気を失いつつある一般人、それらから発される情報が、ザックの視覚聴覚を蝕む。
(・・・これは・・・無理だ)
ザックの結界は、気力は、もう尽きようとしている。
〜中央区〜
マブロを残し、いよいよユウは城へと到達した。
それはやはりかなり大きいが、しかし何故だろう、迷うことなく玉座の間へと向かった。
「あらユウ様、ご機嫌よう。もう少しゆっくり来ていただいても良かったのですのに」
「・・・姫様」
見た目はやはりいつもの、ユウの知る姫様、だが雰囲気はそんな感じではなく、魔力の感じはやはり、魔王のそれだ。
「すみませんね、感動の再開だというのに、部屋がこんなにも汚れてしまっていて・・・たった今終わらせたところですので」
見ると、恐らくエヴィリオであろう老人が、姫の足元に倒れている。
出血しているようで、意識もない、かなり危険な状態のようだ。
「・・・その人は、エヴィリオ、なのか?」
「えぇ・・・所謂兄弟子でして・・・私に必要な知識を持っていたので、」
自分が今まで必死に追っていた人物、まさかこんな形で会うことになるとは、誰が予想できただろうか。
そしてその奥、荘厳な椅子に誰かが座っている。
「・・・! 国王!」
「あぁ・・・大丈夫ですよ。彼はもう動きませんから。あの女を始末し、エヴィリオをここに連れてくる、その努めを全うしたこの国王には、永久的な有給を与えたところですので」
「あの女、とは・・・」
「勿論、あなたのお連れさんのことですよ」
魔王はニコっと笑う。
「フィーネル・・・っ! もうやめないか、魔王!」
「やめる? ・・・フフッ、どうしてですか? それにそれは、あなたの方ではなくて?」
[雑談]次回は戦闘描写もやや入ると思います。
[ブクマしましょう!!]
[予告]次回の更新は、31日を予定しています。




