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異世界チートは標準装備〜ピンチでも、ピンチじゃなくても起死回生〜  作者: 悠悠ー自適
二章 二等世:プロドシア篇
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二章ー34 援軍

〜東区〜

「ーー五体まとまって来たぞ!」

「魔術部隊、いつでも行けます!」

「ならもう少しだけ引き付けて・・・いまだ!」

「魔術部隊前進、攻撃開始!」


 連携の取れた動きを見せている彼らは、

 先程のザックの背を見て、どうやら初心を思い出したらしい。

 金でランクを買ったとはいえ、彼らも低ランクの頃はしっかりと基礎を大事にし、丁寧に依頼をこなし、そして昇給していったエリートたちだ。

 親の期待や同期の出世で追い詰められ、不正を働いた者たちだが、しかしまだ冒険者としての心が残っていたようで、それが上手く爆破した。


 この国は現在、未曾有の危機に立たされている状況だが、今の彼らは正直生き生きとしている。

 それぞれ年齢は重ねたが、しかし今、彼らの中には冒険者になりたての、あのワクワクで胸がいっぱいだ。


「魔物撃破、後退します」

「了解」


 どうやらもう魔物を撃退したようだ。

 そして自分たちで指示を出し合い、すぐに撤退していく。

 その様子を見てザックは、自然と笑顔がこぼれる。


 するとそこへ、一人がやってきた。


「どうしーー」

「ここは任せてください」


 男の名前はラン、長年Aランクに昇格できないでいたのを金で解決したため、やはりエセではあるが、しかし実力はこの中でも随一である。


「俺たちはもう大丈夫です。ここには俺もいますし・・・それよりも、西区がやられたらアウトなので、そっちに行ってあげてください!」

「ラン・・・」


 ザックは迷った。

 確かに西区は心配ではあるが、しかし自分がいない間にこちらに何かあっては大変だとも危惧する。

 どっちかではなく、両方守る必要があるのだ。

 もう一度彼の目を見る。

 

「・・・ザックさん」 


 そして、他のメンバーの様子も再度見る。

 するとそこには、指示を待つのではなく自分で考え、主体的に行動する者たちの姿があった。 


「・・・・・・しばらく任せた」


 それだけ残して、ランたちを背にザックは西区へと向かう。

 それをランはしばらく見送り、また仕事へと戻る。

 ザックは、自分の後ろには心強い味方がいると、そう思った。




〜西区〜

「魔物が入ってくる!」

「クッソ! 次から次へと!」


 どうやらこちらはより一層騒がしい。

 などと悠長なことを言っている暇はなく、もうすぐ魔物が侵入しようとしている。


「おい魔術部隊、早く魔術で何とかしてくれよ!」

「そんなこと言われたって・・・」

「この役立たずが!」

「何だと?」


 魔物が迫りくるにも関わらず、男たちは取っ組み合いを始める。

 そこへザックが現着、何事かと驚きつつも、素早くそれを諌める。

 当事者同士は未だ、引き離されても睨み合っているが、しかしザックが一言挟む。


「まずは魔物優先だ・・・死ぬぞ?」


 ザックの警告に、男たちは威嚇し合いつつも、ゆっくりと定位置へと戻っていき、そして無事に魔物を撃退。


「はぁ・・・能力はあるんだけどな・・・」


 ザックはため息をつく。

 見ると、魔物の討伐後にもかかわらず、やはりまた男たちは口論している。

 ザックは最早、よくそこまで喧嘩のネタがあるな、と感心すらしている。 

 そう、彼らは実は優秀なのだ。

 東区は、実践から距離をおいていたエセが多かったが、西区では、所謂問題児が寄せ集まっている側面もあるのだ。

 ただ、問題児とはいえ戦闘においてはそこそこ強く、今においては貴重な戦力だ。

 なので今回は、取っ組み合いでもない限り彼らのことは大目に見てやろうと、ザックもそういう心持ちでいるのだ。 

 と、ここでザックは何かに気づいた。


「・・・・・・人数、明らかに足りなくないか? 残りはどうした?」

「残りの奴ら? あ〜俺等が最初喧嘩始めたときに、皆揃ってどっかへ逃げちゃいましたけど」


 口論の最中の男が、そうあっさりと答える。

 

「そんな気はしていたが、まさか本当に逃げるとは・・・」


 やはりというか何と言うか、ザックは思ったよりも驚かなかった。

 それよりも、彼らは今までたった五人でこちら側を守っていたのかと、少し彼らを甘く見ていたと、そう思った。

 そしてザックは、喧嘩し続ける彼らを一旦放置して、外の魔物の群れを観察する。

 やはりこちらもかなりの数の魔物があとに控えており、どうして一斉に襲ってこないのか、改めて甚だ疑問に思った。


 すると、急に静かになった。

 どうやら喧嘩が一段落したようだ。

 

「どうした・・・もういいのか?」


 ザックが彼らにそう問いかける。

 少し元気づける意味合いで言ったのだが、しかし反応がない。

 振り向くと、皆いつの間にか座り込み、中には目を瞑っている者もいる。


(全員かなり消耗している・・・こちらの魔物は一体一体がかなり重いみたいだ。他で言うところの中型がゴロゴロいるし・・・人数も足りないから疲労度、特に魔力の消費が凄いのか、もう限界ギリギリだな・・・) 


 見たところ、彼らはもう残り数発分の魔力しか残っていないようで、息も切れ切れだ。

 喧嘩をしているので元気が有り余っているのとばっかり思っていたが、しかしそれも空元気のようなもの、何とかあれでお互いを鼓舞し、立っていたようだ。


 すると、魔物が何体か向かってくるのが見えた。

 

「仕事か・・・」


 目を瞑る男はすぐにそれを察知、なんとか立ち上がろうとするが、しかしザックがそれを静止。


「もう少し休んでいろ」


 そう言って、ザックは一人で魔物を撃退した。


(・・・これは、かなりまずいな。明らかに人数が足りない。・・・応援を要請、いや、他の区は流石に無理だし、東区からはなんとか連れてこれそうだが・・・最悪両方防衛失敗する恐れが・・・)

 

 さて、限りある資源をどうしたものか、ザックだけでは到底決めることはできない。

 だが、今手が空いているのは自分だけ。

 そしてその自分も、ここを動けなくなってしまった、などと考える間もなく、次の魔物がやってくる。


「まだ来るか・・・」


 ザックは、もう諦めて、魔物を撃退すること以外、考えるのをやめてしまった。




 しばらくして、ザックはずっと一人で戦い続けている。


「なんか・・・段々と侵攻してくる周期が早まってないか?」


 そんな違和感を抱えながら、また魔物がやってくるのを待つ。

 すると、後ろから足音が、それも物凄く沢山である。

 流石に市民ではないだろうが・・・不思議に思って見ると、なんと軍隊がやってきたではないか。

 そしてそれを先導するのはーー


「マブロ様!」

「ザック君、久しぶりだね・・・と、そんなことを言っている場合ではないね」

「どっ、どうしてこちらへ?」


 相手は貴族、疲れていても敬語は忘れない。


「・・・我が軍隊をかそう。つまり、増援だ」

「本当ですか!?」

「あぁ。既に地方には派遣済みだ」


 すると軍員は、さっさと簡易的な拠点を作り、早くも迎撃準備が整ったようで、それと同時並行で負傷者たちを治療している。

 

「・・・これは・・・凄いですね。人手、ずっと欲しかったものが目の前に・・・」


 これにはザックも安心しきり、少し肩の荷が下りたような、希望が見えたような気がした。


「ところで、ユウ君の居場所を知らないかい?」

「ユウ・・・あぁ、彼ですか・・・彼なら恐らく北区を担当しています。一人なのでかなり苦しいと思います! どうか、彼もーー」

「あぁ、勿論そのつもりさ」


 ザックは殆ど知らないユウの身を案じて、その援助もマブロに願い出る。

 またマブロもそれを快く承諾。


「では、北区には私の選りすぐりの精鋭を連れて行こう。少し大変だが、彼らには少人数で対応してもらう。人員が足りているとは言い難いからね」

「ありがとうございます」


 思わぬ援軍、ザックはこれ以上の喜びはないと、心の底から思った。

[雑談]最近あんまり時間取れなくて・・・次回更新遅れたらごめんなさい!

[ブクマしましょう!!]

[予告]次回の更新は、16日を予定しています。

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