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異世界チートは標準装備〜ピンチでも、ピンチじゃなくても起死回生〜  作者: 悠悠ー自適
二章 二等世:プロドシア篇
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二章ー25 デンジャー制圧

〜デンジャー領〜

 早朝、デンジャー領を見下ろすような丘に建っている、豪華な屋敷を包囲する影がちらほら。

 それらは実に俊敏に、そしてとても静かに動いている。


「・・・皆、配置に付きました」


 一人の男が、司令官と見られる女にそう告げる。


「分かりました・・・」

 

 この女こそ、ユウたちを率いるこの国の叛逆姫だ。

 彼女は徐ろに、無線機のようなものを取り出す。

 そしてゆっくりと口元へと近づけ、続けて大きく一度深呼吸をする。

 かなり早い時間なので、周囲からはまるでなんの雑音も聞こえてこない。


「・・・」


 皆が指示を待つ中、静寂を壊さぬよう静かにーー。


「総員・・・突撃」


 合図により、待機していた者たちが一斉に屋敷内へと侵入した。

 そして各々、与えられたセクションをしっかり順調に制圧していく。

 それはまさに芸術、ほんの2分程度でそれをやってのけた。



「私達は地下だ!」


 そしてユウも、マブロとともに地下へと急ぎ向かう。

 何故この過剰戦力なのかというと、地下にここのボス、即ちデンジャー本人がいる可能性が高いからだ。

 たった二人、しかし間違いなく最高戦力の二人が、敵にとっては逃げ場のない地下へと侵攻する。

 

 しばらくして、道を塞ぐ雑魚を超極小ノイズで蹴散らして、いよいよ最奥へと至った。


「な・・・なんデゃ、お前たちは!?」


 見ると、そこには豚が、豚のような人間がいた。

 それは朝であるにも拘わらず、脂汗を少々流し、そしてベッドで横たわる女性をじっと眺めていた。


「・・・! その女性から離れろ!」


 ユウは直ぐ様警告した。

 同時に周囲の様子を確認する。

 

(・・・どうやら、捕まっているのは一人だけみたいだな)


 幸い、周囲には他に女性の姿はなく、また護衛のようなものも一人たりともいない。

 それを確認した二人は、お互いアイコンタクトを取る。

 あの女性さえ救出すれば、あとは少々手荒い真似もできる、と。


「お・・・お前ら! どこから入った!? 護衛、護衛はデょうした!?」

「・・・護衛? それならば今頃は、全員仲良く夢の中でしょう。いい夢が見られているといいですね」


 マブロがここで煽りに行く。

 すると案の定、相手はとてもわかり易く怒り出した。


「ユウ君・・・では、私の次のアクションを上手く使ってください・・・」


 マブロは小声でユウに指示。

 そっと頷く。


「・・・もう諦めろ! お前に逃げ場はない!」


 まさに、相手の混乱が頂点に達したあたりでマブロは、突如抜刀、剣先を相手へと向け、追い打ちをかける。

 

「なっ・・・ま、ま、まままま、待て!」


 剣を見て余計に興奮状態に陥ったデンジャーはパニックになり、手を差し出して静止するようなポーズを取りつつ後退りする。

 

(今だ!!)


 その瞬間、デンジャーの意識にはもう女性のことなど含まれていなかった。

 それを見計らい、ユウは旧接近。

 女性を守るようにして、デンジャーと女性との間に割って入った。

 

「なっ!」


 そして実に流動的に、頭の追いついていないデンジャーに一撃をいれ、気絶させた。

 

「ふぅ・・・」

「ユウ君、お疲れ様! 流石の反応だね! やっぱり私はいらなかったようだ」


 今回は所詮大した敵ではなく、本当にユウ一人で大丈夫であったと、そう思ったようだ。

 しかし今回は、一応ユウの実力を確かめるという意味合いもあったので、その点で言えば最高クラスの評価がついただろう。


「いえ、そんなことは・・・一人では、少々心細いですし・・・」


 そう、能力があるのと実際にそれをこなすのとでは、雲泥の差がある。

 またユウは今までに、人質を取られる等の、保護対象となる第三者が存在する戦いは経験していない。

 なので、正しいノウハウがまるで分からず、そして過剰に第三者を考慮した挙げ句、魔術等の行使も選択肢から除外されていたので、もし相手がそれなりの人物であったら、そこを突かれてやられていたかもしれない。

 そう考えると、やはり経験者が後ろにいるのといないのとでは、自由度がかなり変わってくる。


 などと考えているうちに、どうやらマブロは姫様に報告、完了したらしい。


「良し! 他も全て順調にいったようだ」


 マブロは報告を終えるなり、どこからともなくロープを取り出して、それでデンジャーを縛りながら会話を続ける。


「ユウ君・・・君はその女性を頼めるだろうか? 私はこの部屋を捜索して、何かエヴィリオ等につながるものはないか探すよ」

「分かりました」

 

 女性を託されたユウは、ふと以前の、助けることのできなかった女性を思い出した。


「・・・」


 今回は、しっかりと助けることができた。

 見たところ外傷はなく、どうやら連れられてきて間もないらしい。

 つまり、今はただ眠っているだけで、特に何もされていないようだ。

 しかし、やはり怖い思いはしただろうから、と、お節介を焼く。


クラスホワイト・アロマ

「< 白魔術・休憩香 >」


 優しく優しく練った魔力を、彼女を包み込むようにして少しずつ放出する。

 すると、眠っている女性の表情が少し和らいだ、そんな風に見えた。


「・・・これは!!」


 ユウが一段落ついてすぐ、部屋を捜索中のマブロが声を上げた。

 

「どうしたんですか?」

「ん? ・・・これだよ。多分取引明細だ。そしてその中にーー」


 マブロの指の指し示すところ、そこをよく見ると、やはり例の二人の人物の名前が。


「国王、そして・・・エヴィリオ」

「そうだ。しかもここ、”エヴィリオ代理・マックス”とある。これはもしかしたら、本物のエヴィリオの、執事的な立場の人物ではないか?」

 

 マックス、また新たなエヴィリオ候補。

 マブロはエヴィリオの執事だと疑っているが、果たしてどうだろうか。


「とまぁ、ここまでは予想通りだったが、驚くべきは次なんだよ、ユウ君」


 そう勿体つけてマブロは、今の取引明細と似たようなものを取り出した。

 

「・・・それは、なんの記録ですか?」

「これは、武器の裏取引の記録だ」

「武器?」


 武器と言われても、一応ここも異世界であり、魔術もかなり一般的である。

 そこで取引されている武器、と言われても、なんとも釈然としない。


(武器って言っても・・・剣だとしたら、別に普通に買えばいいだろうし、裏で取引される武器なんて・・・どういうのだ? 魔剣、とかか? ・・・あるか知らないけど)


 考察を深めていると、マブロはいよいよ中身を話す。 


「これ、全部同じ取引相手みたいだ。しかも全部ナイフとか、大したことないやつばっかりだ」


 答えはまさかのナイフであった。

 そんなものを裏で取引しなくても、ととても強く思った。

 だがまだ気になることが一つ、そんな物好きな相手は誰なのかという疑問が残っている。


「そして相手だが・・・なんと次の標的の、ヤザだ」

「あいつ等の考えは、まるで分からんな・・・」

「しかし、これで確たる証拠も出たことで、いよいよ制圧可能になったというわけだ」

 

 そう、今までは、疑いがある段階であったのだが、もう今となってはもう容疑が確定、それを制圧する理由ができてしまったのだ。


「残りのターゲットから考えて、次はやはりヤザでしょうね。決して易しいと言うわけではありませんが・・・しかし残りが残りですから・・・」

「・・・そうですね」

「では一度、姫様と合流しましょうか。これを伝え、そして次の一手を相談しなければ。・・・できるだけ早く、ですもんね?」

 

 被害者を最小限に留めるためにーー。

 そうして二人は、それぞれ女性とデンジャーとを抱え、姫のもとへと向かった。

[雑談]ごめんデンジャー、すごくちゃっちゃと片付けちゃって・・・。

[ブクマしましょう!!]

[予告]次回の更新は、28日を予定しています。

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