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異世界チートは標準装備〜ピンチでも、ピンチじゃなくても起死回生〜  作者: 悠悠ー自適
二章 二等世:プロドシア篇
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二章ー23 マブロ

 ニセ・エヴィリオの情報を聞き出して、ユウはそのまま教わった場所へと急行した。

 犯人は、それなりに名のある伯爵らしい。

 また、領地も王都からそれほど遠くなく、思いの外早く着いた。


「ここか・・・やっぱりここも発展してるな」


 領地に無事入ることができ、やはりこの国の生活水準の高さに改めて驚いた。

 犯罪がこれほど横行していなければ、かなり住みやすい国であったと、とてももったいないと、心底思った。


「・・・広いな。さっさと誰かに場所を聞くか」


 領内は想像以上に広く、大雑把な場所しか教わっていなかったこともあり、見つけるのに少々時間を要しそうだ、そう思い、潔く街の人に道を聞く。


「あの・・・」


 なんとか話しかけたのは、恐らく買い物帰りの女性だ。

 年齢は、成人する前後くらいであろうか。

 女性は突然話しかけられたもんだから少し驚いて、また、ユウの顔を見ると、かなり好みに近かったのか、今度はユウに見とれて黙ってしまっている。


「・・・えっと・・・ちょっとお話いいですか?」


 ただ、そんなことはユウが知るわけもなく、ただ無視されてしまったのかと不安になり、下手に出て再び話し掛ける。


「・・・!! あっ・・・すいません、ぼーっとしちゃって。それで、お話って・・・私に、ですか?」

「はい・・・そうです。えっと、ここの領主様のお屋敷とかってどこにあるか分かりますか?」

「・・・あっ、そういう・・・」


 自分の願望とズレがあったのか、女性はほんの少しテンションが下がった。


「それなら、このまま真っ直ぐ行くとギルドがあるんですけど・・・そこをもっと越えた先にきれいなお屋敷があるので、そんなに大きくはないんですけど、そこが領主様のお屋敷です」

「そうですか。ありがとうございます」


 やはり、先に道を聞いておいて正解だった。

 では、いざ向かおうとしたその時、女性はまだ話を続ける。


「でも・・・多分もう、領主様はいらっしゃいませんよ」

「・・・え?」

「ついさっき、マブロ公爵様がお越しになって、領主様の屋敷に突入してましたから」

「突入!?」

「なんでも領主様は、賄賂だ何だと色々とやってたみたいで・・・ただそれがバレて引っ捕らえられたみたいです。ただ、私も今さっき聞いたばかりのことなので・・・本当のところはわかりませんが・・・」


 なんと、ほんの直前に捕まってしまっていたようだ。

 しかもやはり、賄賂などをやっていたという。


(だけど、まさかこの国にも、悪人に制裁を課すような人がいるなんて・・・マブロ公爵・・・そういえば、前にもマブロ公爵は人格者だ・・・みたいなことを言っている人がいたな・・・)


 希望・・・所詮希望と絶望は、代わる代わるやって来るのだと、そう思った、そう思うことにした。

 そしてもし、彼と協力すれば、きっとこの世界の攻略ができると、そうも思った。

 故にその、マブロに接触してみたいと強く思った。

 目的を変え、いざ、同じ目的地へ。

 

「えっと・・・ありがとうございました。では!」

 

 ユウは女性にお辞儀をして、そして希望に向かって走り出した。


「ユウさん! そっち、違いますよ!」

「えっ? ・・・ホントだ」


 興奮からつい、別の道へと走り出してしまったようだ。

 女性はふふふっと笑っている。 

 赤面するユウは、できるだけ顔をあげずに再度お辞儀、しっかりと正しい道へと向かった。


(恥ずかしい・・・)


 


〜屋敷前〜

 屋敷に着くと、やはり女性の言う通り、警察官みたいな人たちがたくさんいた。

 彼らは屋敷内から色々なものを押収、せっせと運び出している。


(・・・どうしよう。ここで入っていったら、変に疑われちゃいそうだし・・・)


 さて、ゴールは目の前にあるのに入れない、そんなジレンマに頭を抱えていると、ふと声が。


「あれ・・・ユウさん?」

「・・・あっ、姫様」

「どうしてここに?」


 なんと姫様に発見された。

 なんでも、彼女もこの一件に一枚噛んでいるらしい。


「丁度良かった! ユウさんに会わせたい人がいて、いつにしようか考えてたところなの! ちょっと待っててね」


 暫しの雑談を終え、そして姫はやや興奮気味に走り出し、建物内へと入っていった。

 

(会わせたい人か・・・もしかしてーー) 



 しばらくして姫は、屋敷から出てきた、一人の男性を連れて。

 

「はい、紹介するね! 正義の味方のマブロ公爵!」

「正義の味方だなんて・・・とんでもない」


 その優しい顔つきの男性は、少々イタ恥ずかしい事を言われ、少し困ったような、それでも少し嬉しいような、そんな表情をしている。


「では、改めまして、マレル=マブロです。どうぞよろしく」

「えっと・・・ユウです。こちらこそよろしくお願いします」

「そんなに堅くならなくてもいいよ、ユウ君」

「そう・・・ですか?」


 公爵様だと聞き、つい少し距離をおいてしまう。


「マブロ公爵は、アフォス公爵と同じで、王家の次に偉いのよ! それに・・・」

「凄い人格者だって、みんな言っています」

「そうなのよ!」


 姫様が、いつになく興奮している。

 また、正義の味方に続いて人格者だなんて言われ、マブロはやはり恥ずかしそうだ。


「色々話したいことがあるから、一旦中へ入りましょうか。さっき許可も取ってきたから」


 外では色々と話しづらいことがあるので、一同は屋敷内で話すことになった。


 


「実は、ここだけの話し、マブロ公爵と私は協力して、お父様の配下の犯罪を暴いては、秘密裏にそいつ等を引っ捕らえてるのよ」

 

 中に入ってすぐ、姫がかなり大きなことを打ち明けた。

 また、横に座っているマブロも大きく一回頷く。


「この方は、こんなに優しそうなのに、まぁ実際優しいのですが、本当に凄い方なんですよ」

「いえいえ・・・私個人の力ではありません。姫様やラック伯爵を始めとする、色々な方の援助もありまして、それでやっと成立しているのです」


 やはり噂通りの人格者のようで、力もありつつ謙虚な姿勢も忘れない、そんな人物であるようだ。


(ラック伯爵・・・懐かしいな。確かにあの人も、何となくこの人と雰囲気が似てたな)


 どうやらこの国も、まだ捨てたもんではないらしい。


「まぁでも本当に、裏で動くのは大変で・・・」

「それに、最近だと、いよいよ大物しか残ってなくてね・・・特に本気で抵抗されるとこっちにもかなりの被害がでるから・・・」

「私が不甲斐ないばっかりに・・・面目ない」


 どうやら秘密裏の作戦も、かなりの佳境を迎えているらしい。

 ただ、それもそのはず。

 情報収集からなにから、やること全部がとても大変なのは、ユウ自身が一番良くわかっている。


「えっと、戦闘みたいになることはあるんですか?」

「・・・まぁ何回か。でもいっつもマブロ公爵が先頭に立ってくれるから、お陰でかなり楽に戦えているわ。マブロ公爵は、アフォス公爵には劣るものの、この国でもトップクラスの実力者なのよ」

「それは・・・かなり強いですね」


 心の底からそう思った。

 正義感然り、民からの信頼然り、そしてあの化け物に次ぐとまで言わしめる、この男ならば、と思った。

 

「それで・・・マブロ様のお陰で、この国にも一筋の希望が見えてきたのです! なのでユウ様、是非、協力していただけないでしょうか?」


 どうやらこれが本題らしい。

 王女とマブロと、二人の視線が一点に集る。


(・・・奴らのやってることは、決して許されるべきではない。でも僕は負けた。正義は一度折れたんだ。・・・でも、もしあと一回チャンスがあるのならーー)


 この世界に来て、良い事なんて全然なくて、自分の無力さをただ実感するだけだった。

 でも、諦めることはできないからーー。


「勿論、是非僕にも協力させてください!」


 ただ真っ直ぐ、迷いはない。


「・・・! そうか! それは良かった! 君の噂は聞いていたので、仲間になってくれて、とても心強く思うよ」

「ユウさん! 一緒にこの国を救いましょう!」


 二人は温かい笑顔で、ユウを迎え入れた。

 その温かさと、やっと掴んだ希望とで、ユウも自然に、そして久しぶりに、ようやく笑顔になることができた。

[雑談]本日は、クリスマス・イブですね。

   皆様はどうお過ごしでしょうか?

   寒さに気をつけて、楽しいイブを過ごしてください。

[ブクマしましょう!!]特に深い理由はないですが、クリスマスということで、明日も投稿します。

[予告]次回の更新は、25日を予定しています。

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