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異世界チートは標準装備〜ピンチでも、ピンチじゃなくても起死回生〜  作者: 悠悠ー自適
二章 二等世:プロドシア篇
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二章ー22 ニセ・エヴィリオ

「頼む・・・頼む頼む頼む! 頼むよぉ! 見逃してくれ!」


 男は地に這いつくばって、必死にユウに懇願する。

 しかしユウはただ見下ろすだけ。

 そして今、頭の中ではこの男をどうするか、その一点を話し合っている。


「・・・」


 現在ユウは、とある貴族の屋敷に来ている。

 ほんの一日前に依頼を受けたからだ。

 依頼主はまだ年若き青年、内容は「敵討ち」、相手はまさにこの男であり、こいつこそエヴィリオの名を語っては悪事を繰り返しているものの一人なのだ。

 

 もう数日前のことになるが、ユウはアフォスとの対決に破れた。

 いや、あれを敗北とするか否かは少々意見が別れるところであろうが、結果としてこちらの計画を阻止され、最後には見逃されてしまった。

 この事実を前にして、どうしても”引き分け”だとか、そういった曖昧なものにしたくないと、ユウのプライドがそうさせた。

 そう決めた途端、自分は正しいことをしているのに、なぜ勝てなかったんだと、強く思った。

 他人からしたら別に大したことなどないように思えるかもしれないが、それでも当人にとっては重要なことだ。

 守れなかった悔しさ、理不尽に対する怒り、正義を全うできないもどかしさ、そして、それ以外。

 そういった色々な、小さな積み重ねが、少しずつ彼にストレスを蓄積させ続けた。

 当初、アフォスに敗北後すぐは、漠然とした倦怠感のようなものに支配され、しかし今は、また別のステージに立っている。


(・・・僕はどうしたら・・・。)


 正直、自分の行動や選択について、より深く迷い続けるようになった。

 この世界に来てからというもの、違和感に対する戸惑い、悲しみや絶望感その他を味わってきて、正直心が疲れてしまっている。

 よく、小説の主人公なんかは、人が死んでも何をしても、特段そこまで深く傷ついたりするというよりは、意外とふんわり受け止めて、どんどんと先に進んでいるイメージがあった。

 自分もそうできると信じていた、が、そうではないと理解するのに、そこまで時間は必要なかった。

 そして今回のこれは、その迷いを少しでも払拭するために、自身を取り戻すために、やや自分のための行動とも言えるかもしれない。


「な? 俺だけでいいんだ! 俺だけで! だから頼む、直ぐにここからいなくなる、邪魔はしないし誰にも言わないから!」

「・・・・・・」

「なぁ!」


 なおも必死にユウに縋る男。

 なぜ必死なのか、それは当人にしかわからないが、もしかしたら、周辺に転がっている彼の手下のような奴らが、ユウが迷いながらも結局惰性で斬り捨ててしまった者たちが、またそういった状況が、彼を追い詰めてしまったのかもしれない。


(別に・・・いいけど、結局またなんか悪さしそうだから・・・今ここで止めたほうが・・・いや、)


 依頼において、生死等については問われていない。 

 故に、ユウが自分で判断する必要があるのだ。

 再度、男を見る。

 こいつは犯罪者だ、しかし、見るからに小物っぽくて、また率先して人を殺そうとも思わない。


「頼ーー」

「分かった・・・。今後犯罪からは手を引いて、被害者にしっかりと謝って、あとは僕の協力をするというのならば・・・赦そう。」


 結局、また逃げたのだ。




〜一週間後・ギルド〜

 あれから対した事件もなく、進展もなく、ただユウはいつものようにギルドへとやって来た。

 するとギルドで何かあったようで、人々が異様なざわつきを見せている。

 

「なんて・・・・・・クッ・・・酷い有様だ。」


 ざわついている、そう言っても、実に静かなのだ。

 また、その集まった人たちの視線は一箇所に集まっておりーー。

 遠くからでも、何か重大なことが起きてしまったのではないかと、そんな予想は何となくたち、途端に心臓の鼓動が不自然な動きを見せる。

 それでも近づいてゆく。


(何があったんだ・・・何があっ・・・!)


 見るとそこには、荷台に積まれた、そしてお大きめな布を掛けられた何かがあった。

 しかしよく見てみると、布から飛び出している。

 まるで何かに手を伸ばして硬直した、人間の、手や、脚。


「・・・これ・・・は?」

「朝、あっちの山道で見つけたんだ。・・・・・・みんな・・・みんな・・・人身売買で売れ残って・・・そして捨てられた・・・。」

「噂だとどっかの貴族が、悪事がバレそうになって、それでその証拠を処分した・・・みたいなのを聞いたよ。」

「まったく・・・酷いな。惨すぎる。」


 それぞれがそれぞれの想いを言葉にする。


(悪事がバレた貴族・・・証拠隠滅・・・)


 その言葉で、ふと自分が見逃した男の顔が頭をよぎる。

 否定しつつも、しかし不安材料は残してはいられない。

 ユウはすぐに踵を返し、そして自分の不安が杞憂であることを立証するべく行動した。



 男は現在、ユウの協力者ということになっているので、当然場所も把握している。

 そして彼は、なんとかその場所で会うことができた。

 開口一番、ユウは彼に彼自身が無実であることを証明させた。


「いや・・・自分はそんなことしてないですよ! そもそももう自分の手元には何も残ってないので・・・。自分、あんまり奴隷商売とかはやってなかったですし、珍しく手に入れたとしても、すぐに王様に買われていったんで、本当に何もないんすよ!」

「王様に?」

「そうですね、なんでも最近熱心みたいで。」

 

 王様が急に奴隷を収集し始めた、そういった情報は、確かにユウにも届いており、また冷静になってみれば、彼にはもうそういったことをするためのものが欠如していると、そう以前に確認したのだと、やっと納得できた。


「・・・そうか・・・疑って悪かった。」

「まぁ・・・自分のせいですから。」

「・・・そうか。」


 一旦の終結、しかし余計に謎が深まった。

 犯人は誰なのかーー手掛かりは完全にゼロだ。


「・・・あのっ! 自分、報告することがあるんですけど、いいですか?」


 悩むユウに、何かを差し出そうとする男。

 ユウはそれを止めるわけもなく、男に意識を向ける。


「実は、思い出したんです。・・・”エヴィリオ”を語る奴らと、そして居場所を。」

[雑談]なんか・・・ちょっとズレた気が・・・。

   でも取り敢えず今は、つなぎとしての役割を果たしてもらうことにします。

[ブクマしましょう!!]

[予告]次回の更新は、24日を予定しています。

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