二章ー21 中途
「クッ・・・だめか!」
勝ったーーそう思った矢先、それを打ち砕くようにして、声が聞こえてきた。
薄々そんな気がしていたが、見るとやはり彼は、またも復活したのだ。
流石にもう嫌になったかと思いきや、しかしユウは再度、アフォスへと向かって行く。
すると遂にアフォスも行動を開始、いよいよあの立ち位置を離れた。
(本気・・・ってことか・・・)
お互い向き合いながら、ゆっくりと歩く。
勿論剣は抜刀されている。
そして牽制するように、また、相手の仕掛けるタイミングを見逃さぬよう、両者真剣である。
「・・・仕掛けないのですか?」
「今回は、譲りますよ」
「そうですか・・・ではーー」
と、そこでユウが先に動いた。
「譲る」などと言いながら、先に動いたのはユウだった。
しかしなんと、それと殆ど同じようにして、アフォスも動いた。
二人は同タイミングで足を運び、同タイミングで剣を振り上げ、そして振り下ろした。
「!!」
本日何度目か、再び剣が交わる。
当初、力比べになれば、身体強化をしているユウが優勢だと、そう本人は思っていたようだが、現実はそうではなかった。
なんと、刃はお互いを同じ力で押し合い、完全に静止してしまった。
「これは!?」
そこでユウは、更に力をかける、が、一向に動かない。
しかし、だからといって力を抜けば逆にやられてしまう。
二人は完全に、その場に拘束されたのだ。
クラスレッド・ベント
「何なんだ!? 「< 赤魔術・風切 >」」
硬直状態を打開すべく、なんとかユウはその至近距離から何とか魔術を行使する。
これは先程もかなり有効なものであったが、なんとそれと全く同じタイミングで、あちらも同様にして魔術を行使。
それらは全く同じ威力、速度を纏い、わずか近距離であったこともあり、溶け合うようにして一瞬で消滅した。
「何がどうなってーー」
そしてそれに動揺し、ユウは一瞬パフォーマンスがアフォスのそれを下回ってしまった。
故に、あちらにまんまと隙を与え、見事に蹴りを一発御見舞されてしまった。
「グッ・・・!」
それはかなりいいとこに入ったらしく、ユウは踏ん張れずに後方へと吹き飛ばされてしまった。
それにより、ようやくお互い呪縛から開放された。
(・・・もう魔力が!)
復活したてのアフォス、おまけにどうやら剣の能力を使用しているらしく、いよいよ本気である。
一方のユウは、二回も彼に勝利して、魔力は底をつき、全力の全力を出し切った後。
ピンチという言葉は恐らく、この状態のことを指すのだろう。
そしてとうとう、ユウは疲労で足元がふらつき、地面に片膝をついて、最早肩で呼吸をしている。
「・・・キツイな・・・。」
「なるほど・・・流石にもう限界ですか・・・。まぁ、当然といえば当然ですね。なのでここは、私がしっかりと責任を持って、せめて美しく、あなたの最後を彩ってあげましょう。」
そしてアフォスはまたも納刀、だが依然として、手は鞘に添えられている。
「!! まずい!」
先程の二の舞いなる、と、息も絶え絶えながら、しかしなんとか抗う姿勢を見せる。
殆ど気合で立ち上がり、一旦呼吸も忘れて、残った魔力をかき集めて、もうほぼ無加工で発射。
クラスレッド・クイック
「・・・< 赤 ・・・< 赤魔術・速射 >」
一度不発に終わるが、もう一度目で成功。
だがそれは、今となっては焼け石に水、案の定意味を成すことはなくーー。
テリオ
「第七の剣” 完璧の剣 ”」
そうして、また別の剣が姿を表した。
「あなたは強い。だからこそ、しっかりと終わらせます」
放たれる殺気。
もうこれだけでも意識が飛びそうだが、なんとか踏ん張る。
その光景を見て、思わずアフォスもーー。
「素晴らしい・・・・・・さようならーー」
これは本心であると、それはユウが一番良くわかった。
そして次の攻撃で、必ず自分は殺られるということも。
ただそれでも、諦めることは到底できずに、闘気はほぼないにせよ、姿勢を正して剣を構える。
アフォスはそれを見て、一度頷いてから攻撃を開始。
「第七の剣」
剣を胸の前に構えてそう唱える。
すると魔力とも、他の何とも捉えがたいものが剣から発せられ、いよいよ死を隣に感じ、そしてその終わりがやってくるのを、術式の構築の完了を、もう呆然として待っている。
「< 完全なるーー」
ようやく、最後の詠唱の段階へと移行した、まさにその真っ最中、どこからともなく、上品さのある子犬であろうか、それが現れた。
そうしてその異常なハプニングによって攻撃は中断され、アフォスは素早く剣と殺気を収めた。
「・・・狼? いや、子犬か?」
そしてその推定子犬は、アフォスに何かを伝えている、いや、もしかしたらただ戯れているだけかもしれないが、彼の周りをちらちらと優雅に歩き回る。
「少々手の内を見せすぎましたかね? 陛下に喜んでいただきたくて、つい」
するとアフォスも、笑顔でそれに応える。
そして推定子犬を撫でようと試みるが、どうやらそれは拒絶されたらしく、またその尻尾も完全に垂れ下がり、機嫌が悪いようだ。
「ご安心を。分かっていますよ」
アフォス一礼、後に指を鳴らした。
途端にあの隔離空間は消え、もとの場所に戻ってきていた。
そしてアフォスは何も告げず、ユウに背を向けて歩き出した。
「・・・逃げるのか?」
ユウは、外傷こそないものの、もう魔力・精神共々満身創痍ながら、それでも尚挑発をする。
自殺行為だと分かっていても、もうそれしかできなかった。
アフォスはそれに、僅かに反応したが、しかし歩みを止めない。
「待て!!」
「別に・・・撃ってもいいですよ。その程度の攻撃ならば、素手でも平気です」
こちらの魔力がもう殆ど残ってないことを分かっているようだ。
そしてそんな攻撃など無意味、それが分からないほどこちらも馬鹿ではない。
ユウは悔しさを噛み締め、完全に戦闘を放棄した。
「あなたの想いは立派なものです。・・・しかし、私の忠誠のほうが、より、圧倒的に上だったというだけです」
そう言って、アフォスは闇へと消えていった。
それをしっかり見送って、ようやくユウは床に寝転がることができた。
未だ抗い続ける意志がある一方で、しかしまるで相手が去るのを、去ってくれるのを待ちわびていたようにも思えた。
[雑談]分割したうちの、後半の方です。
まだ・・・その時ではない。(色々と)
[ブクマしましょう!!]ブクマが増えればPVが増えるのか、PVが増えればブクマが増えるのか・・・。
[予告]次回の更新は、22日を予定しています。




