二章ー20 二回目
コンセンサス
「第一の剣” 一致の剣 ”」
堂々、アフォスはそれを解放した。
超高速で発動させた魔術による妨害も、抜刀と同時にかき消された。
(やられたっ! ・・・やっぱり能力を持っていたんだ!)
あと一歩及ばず、ユウは唇を噛み、悔しさを顕にする。
一方のアフォスは、ようやく鞘を脱したその剣を数度、その場で振って調子を確かめている。
「本当ならばもう少し余裕を持って倒したかったのですが・・・仕方ないですね。」
「・・・倒す?」
唐突に、早めの勝利宣言をされ、それに対してユウは意義を申し立てる。
「そうです。・・・しかし、やはり物事とは思い通りには行かないもの。そして、そうできなかった私は本来ならば反省すべきでしょう。ですが、あなたのその戦いにおける工夫などが見ることができ、なかなか面白かったです。正直感心しました。」
「感心?」
「えぇ。」
どうやら完全に舐められているようだ。
感心だとか、面白いだとか、これほどの屈辱は、そうそう受けることのできないものであった。
だが、確かに今の状況下において、アフォスが優勢であることは誰の目にも明らかであり、よって、なかなか言い返せない自分を情けなくも思う。
アフォスは続ける。
「と、そうは言いますが、しかし私も人に仕える身、しっかりと仕事はこなさなければなりません。なのでここからは先程までとは違い・・・・・・本当に、死にますよ。」
「・・・それはどういう意味だ? さっきまでは死ななかったとでも言うのか?」
「まさに、仰るとおりです。」
暫しの沈黙の後、「は?」と思わず聞き返した。
(死なない? 本当にそんな事があり得るのか? 確かに斬られて、死んだかとは思ったけど、実際には生きてたし・・・幻覚・・・いや、なにか秘密が?)
ユウはそう思い、さしずめ剣がなにか重要な役割を果たしているのだろうと、それの能力のせいだろうと考えた。
するとその解が、あちらからやって来た。
「先程まで、私はずっと剣を鞘に納めたままで戦っていたのは・・・言うまでもありませんね? そして、たった二回、一瞬だけ私が抜刀したことも・・・。そしてそれが、まさに答えなのです。
ニヒトゥン
・・・番外の剣” 不殺の剣 ”・・・その名の通り、相手を殺すことができない剣です。」
「不殺・・・。」
相手を殺さない・・・これにどういった意味やメリットが有るのか。
その他考察するべき課題が山積みになっているが、しかし、剣にもいくつかの形態がありそうだということは、何となく理解した。
「ですがここからは、私も少々張り切って戦わせていただくので・・・どうか、どうかしっかりと、死ぬ覚悟で来てくださいね。」
クラスホワイト・フィジカルブースト
「< 白魔術・身体強化 >」
アフォスがそう締めくくると同時に、身体強化を速攻で発動、更に魔力を剣に集積させながら、アフォスへと向かっていった。
何度も、何度もこうして死にかけたが、しかしやはりこうするのが一番可能性が、攻撃が当たる可能性が高いと、そう判断してすぐ行動したのだ。
「喰らえ!!」
再度、もう数回目の挑戦、何の企みもなく、ただ上から振り下ろす。
奇襲的な感じにはなってしまったものの、アフォスはしっかりとそれに対応。
両者の刃が交わる。
「!!」
すると、ここに来てようやくアフォスの表情が曇る。
そして依然競り合う剣も、ややユウが有利だと、そんな表情をしている。
(身体強化・・・それに魔力をギリギリまで剣に流し込んで、最大限底上げしている・・・。加えてこちらはまだ”溜め”の段階。これでは折角のこの剣の特性が活かせない・・・これは速く撃退しなければ・・・。)
アフォスも負けじと抵抗する、が、やはりユウのリードは崩れない。
(なるほど・・・一筋縄ではいかない、と。・・・いいでしょう。)
だがここで、アフォスも必死に喰らいつくべく、簡易的ではあるが、身体強化を発動、なんとか粘る。
すると段々と、時間の経過とともに、ユウの魔力はどんどん消費されていよいよ枯渇しそうである。
(剣が軽くなっていく・・・なるほど。魔力が切れかけているようですね。)
ユウの魔力出力の低下、アフォスはそれを好機と捉え、剣へと魔力を流し込んで、起死回生を図る。
そしてまた、力が段々と拮抗し、アフォスにも若干の余裕が戻ってきた頃合い、しかしユウは微笑む。
「!?」
これにはアフォスも少々不気味さを覚えたようでーー次の瞬間、ユウは詰みの一手を放つ。
クラスレッド・ウォータクロス
「これで終わりだ・・・< 赤魔術・十字水斬 >」
ユウはその場で、左足を大きく踏み込む。
すると足の辺りで術式が完成、水の刃がアフォスを襲った。
これは流石に想定外の攻撃だったようで、ほぼダイレクトに喰らった。
(まさか、魔術を・・・! 先程の出力低下はこのためか・・・。)
そして、力が弱まったところでユウは上手く懐に入り込み、一撃。
「陛・・・下・・・」
なんの反撃をするでもなく、アフォスは一言呟いて、その場に倒れた。
その後、引き続き警戒を解かないユウだったが、ようやく納刀した。
「やっと・・・勝った。」
彼の死亡を確認、ようやくユウは安堵した。
(魔力が・・・ギリギリだったな。しかし、結局カラクリが分からなかったな・・・本当に、強かった。)
ギリギリだった。
先程なぜ彼が、剣の能力を発動させていなかったかは分からない、が、結局彼はそうすることがなく、勝つことができたのだ。
そう思って、そしていよいよ王を探しに行こうとした、その時ーー。
「なるほど・・・またも敗北してしまうとは・・・。認めましょう、あなたの実力を。まさか二度もやられるとは・・・本当に。」
最悪だ、と、心の底から思った。
後ろから、またも声がするのだ。
[雑談]一話が思ったよりもかなり長くなったので(目標は一話あたり2~3000字)、二回に分けました。
余剰分は明日の朝に投稿します。
[ブクマしましょう!!]目標は高く、年内一万PV(99%無理)!
[予告]次回の更新は、21日を予定しています。




